食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第94回】 食環境の現状(73)

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食文化の豆知識 94 [食文化の現状73]

知人が病院に入院しました。あいにくと一般病室が空いておらず、個室に入りました。あ

まり協調性があるとはいえないタイプなので、多少、出費はかさんでも結果的には個室で

よかったようです。私も基本的に入院病室は個室であるべきだと思っています。入院する

ということは、手術を受けるか、重篤な症状があるとかの場合であって、健康な状態で入

るはずはないのですから、静かで落ち着く環境が求められます。相部屋の方がにぎやかで

安心できるという声も聞かれますが、やはりストレスは発生します。

その病院に設置してあるご意見ノートなるものを見てみました。苦情も謝意もオープンに

掲載しているのは感心しましたが、苦情のほとんどが相部屋での出来事に関することでし

た。他患者への見舞客がうるさい、傍若無人に振る舞う、荷物置き場が少ない、などの苦

情が多く寄せられていました。根っこは、騒音と狭さにあるようで、その二つが解決でき

るのはやはり、個室、ということになるのでしょうか。病院は英語ではホスピタル。そし

てそれを語源とするホスピタリテイは“親切なもてなし”を意味します。病いと院とで成

り立つ日本語と比べ、そこには、病院本来の役目が何であるかを示唆しているような気が

します。病院はただ治療するところではなく、身心ともに元気になってもらう場所である

べきであって、それには“親切なもてなし”がいかに大切かが問われます。

病院側の論理ではなく、患者側に立った治療や対応は、まだまだというのが実感です。

知人が入院した病院は数百もの病床を持つ大病院なのに、入院患者の家族に対する配慮が

著しく欠けていました。例えば駐車場。平均2週間以上、長くて1ヶ月に及ぶ入院生活に

足繁く通う家族も、一般外来と同様に時間払いなのです。何らかの用事で一旦出ると、そ

こで精算。帰るとまた新たな精算が待っています。買いものもしにくいし、荷物を家に取

りに帰るのも不便きわまりない。それに、強制撤去こそされませんが、午後7時30分に

は院内に“駐車場から出て行けコール”が流れます。何故、入院患者の家族用に10日契

約もしくは月極契約のスペースを作ってやらないのでしょう。そのシステムがあればどん

なに便利かを想像できないのは、まさにお役人的発想です。また院内のレストランが恐ろ

しくまずい。まずいのはかろうじて我慢できるにしても、午後5時30分がラストオーダ

ー、6時に閉店するのです。何故もっと美味しく提供できる民間の業者を選出できないの

でしょう。やり方によっては結構儲かるはずです。競わせたらいい。それにせめて8時く

らいまで空いていれば、見舞い客も家族もすこしはのんびりと夕食を取れるというもので

す。久々に病院なるものに、特に入院病棟なるものに接してみて、多くの改善すべき点が

目に付きました。要は、いかに相手側の立場に立って物事を考えられるかに尽きます。

病院経営者も、ホテル、旅館やレストランの経営マインドを学ぶべきだと痛感しました。

 

              25年5月7日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第93回】 食環境の現状(72)

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食文化の豆知識 93 [食文化の現状72]

 

手にした週刊誌の特集記事を読んで愕然としました。中国産食材の汚染度の一覧が掲載さ

れていたのです。魚介類、野菜類、コメ、菓子、加工品に至る多くの食材に、過剰農薬や

大腸菌、人体に危険度の高い化学薬品などの残存が認められるというのです。特に混ぜ合

わせ漬け物類には、まず間違いなく中国産の野菜が混入されているとか、冷凍野菜でも多

くは安価な外食産業に流れているとか。話し半分としても、愉快な記事ではありませんで

した。スーパーマーケットでは国産ものを選ぶようにしていますが、外食の場合には見分

けることは難しい。コンビニエンスの弁当にしても多くの中国産野菜が使用されています。

やはり安価だからです。現実問題として、中国産食材を口に入れないことが困難な状態に

なっているようです。自衛策としては、外食でも市販弁当でも同じものを食べ続けないこ

と、そしてせめて自分で購入する食材は出来る限り国産のものにすることです。

 

そんな中、すべて国産の野菜を使用していると明言しているのが、外食業社のリンガーハ

ットです。ほかにも、びっくりドンキーとか、バーガーキングなども国産野菜を使用して

いるとか。すべて国産野菜でまかなうのは大変な企業努力が必要だと思いますが、是非こ

のような店が増えていってほしいものです。大手ファミレスも、今後、国産食材の使用割

合の多さが、ステイタスを左右することになるでしょう。

 

ちなみに、外食で国産野菜使用の割合が比較的多いのは、レタス、トマト、大根、さつま

いも、白菜などで、輸入野菜が多くを占めるのは冷凍物や加工品のかぼちゃやほうれん草、

枝豆、たけのこ、さといも、玉ねぎ、ブロッコリーの類だそうです。それらを食べてすぐ

に体に悪影響が出るとも言い切れませんが、やはり食材は国産のものを食べたい。日本の

農業の大改革は緊急かつ喫緊の課題です。自国民がベーシックに口にする食材くらい国産

で充分にまかなえるようになってほしいと、心から願うばかりです。

 

              25年4月1日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第92回】 食環境の現状(71)

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食文化の豆知識 92 [食文化の現状71]

昨年秋に全面リニューアルオープンを果たした、阪急うめだ本店は色々な意味で新しい

百貨店像を具現化しているようです。通路が広く、ゆったりとした展示構成はもとより

最高レベル機能を備えた化粧室や大小の文化ホールを備えています。何と言っても画期的

なのは、9階に出現した4層吹き抜けの面積2000㎡の大広場でしょう。今後魅力的な

各種イベントを開催して欲しいものです。梅田の一等地にある利点を生かして、文化・

情報の発信地になれば、まさに新しい百貨店として客の支持を集めることでしょう。その

為には、ハード完成で終わらず、今後はソフト面での企画力が望まれます。

 

12,13階に出現したレストラン街は、百貨店らしく、26店舗の和洋中ほかが揃った

バラエテイ豊かな展開になっています。ただ、周辺地域にはすでに次々と新しい商業施設

が出現しており、それぞれにレストラン街を形成しています。色々な店に行きたい気はあ

っても、お腹はひとつなので、なかなか訪問できない辛さを感じるほどに、この界隈のレ

ストラン群は百花繚乱状態となっていますので、阪急うめだ本店のレストラン街も、どっ

と人が押し寄せるというより、お客さん達も落ち着いて探索している、といった印象を受

けました。350もの席数を誇る大型レストラン・シャンデリア テーブルは、百貨店大

食堂の草分け的役割を担った阪急百貨店として、まさに面目躍如の空間を演出しています。

大阪人ならだれでもが見知った、旧コンコースの天井を飾ったシャンデリアや、ガラスモ

ザイク壁画などが配されたレストラン内は、各所で違った顔を見せてくれます。勿論他に

も、関西なじみの味や伝統の味、老舗の味がそろい、関西初登場の店もあって、楽しみな

スポットが増えました。早速、懐かしい中国料理店に行ってきました。久々の梅田再登場

の店です。今風の料理も加わって、安心出来る技は健在で、満足度は高いものでした。

 

このレストラン街で、おや?と思ったのは、著名シェフを看板に掲げる、フレンチやイタ

リアンの店を見かけなかったことです。新しいレストラン街には、今までは必ずといって

いいほど、人気シェフが率いる店が出店していました。レストランも数的に飽和状態にあ

るので、出店がかなわなかったのでしょうか。それとも企画段階から予定はなかったので

しょうか。いずれにしても、充分な店舗群なので問題はありませんが、それでもすでに客

を多く集めている店と、ちょっと寂しい店との線引きがなされており、この業界も厳しい

状況下にあるようです。

              25年3月2日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第88回】 食環境の現状(67)

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食文化の豆知識 88 [食文化の現状67]

 

景気は一向に良くならないものの、人々はそれなりに楽しんでいると痛感する場面が多々

見られます。旅行に行けば平日でも観光スポットには人が溢れているし、外食シーンでも

人気店は満席状態で、客たちが美味なるものに舌鼓を打っています。でも現実に家電をは

じめ、著しく業績を落としている企業が多く出始めているのも確かです。円高が元凶なの

でしょうか。それとも先行きの見通しが甘かった?

「企業業績の悪化は、給与削減という形になってそこで働く人たちの家計をいやがうえに

も圧迫していきます。結果として消費が低迷する。そして物が売れなくなると価格競争が

発生し、企業の業績がさらに落ち込んでしまう。この悪循環に抜本的な対策が打てないま

ま、日本の活力がどんどん失われていく」とは新聞以下、メディアの論調です。日本には

それなりの経済のプロが多くいるはずなのに、何故いつまでも景気が落ち込んだままなの

か、経済に疎い頭では疑問だらけの現状です。かつてのようなバブル景気はもう要らない

けれど、やはり着実に景気は上がっていって欲しい。でも冒頭に述べたように、各所各地

各世代では、とても元気な状況を見受けることが出来るのです。メディアが騒ぎ、不景気

を表す実数が明らかであってもなお、街はそこそこ活気があり、上質のレストランは賑わ

いを見せ、観光地には多くの人が集う。第一に暴動が起きない。日本の底力は捨てたもの

ではないのでしょう。

ただ人の心理は微妙に変化しているのは確かで、言葉を変えれば、賢くなっていると言え

るかもしれません。働く女性向きの情報誌が実施したアンケートによると、OLのお小遣

いの用途が5年前とは明らかに異なっているようです。平成19年のお小遣い使い道の1

位は洋服、2位が飲食代、3位にレジャー関連、4位が趣味、そして5位が貯蓄であった

のが、24年では1位が飲食代、2位がレジャー関連、3位が貯蓄となり、4位が趣味で、

洋服は5位に下がったとか。高品質で安くて格好いい衣服が出現してきたのが大きな要因

でしょうが、飲食とレジャー関連が上位にきたのは、楽しく日々を過ごしている向きが伺

えます。見栄を張らずに実質的に楽しみ、将来への貯蓄も忘れない。何と賢いOLさんたち

でしょう。高級ブランド服には悪いですが、身の丈に合う暮らし、に日本人もやっと気づ

いたのかもしれません。より地に足の着いた堅実で賢い消費者になって、うまくお金を使

っていきたいものです。企業も、消費者がうなるようなお値打ち感のある商品を産みだす

努力が求められます。

 

               24年11月1日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第87回】 食環境の現状(66)

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食文化の豆知識 87 [食文化の現状66]

 

食が健康に寄与する割合の高さが、あらためて見直されています。一口に食といっても

この場合、“食の質”如何が健康を左右する、ということでしょうか。確かに身をもって

食の大切さを感じざるを得ません。自分のことで申し訳ないのですが、学生時代の下宿生

活での私の食事は、今思い返せばめちゃくちゃでした。朝は抜き。昼は学生食堂。夜はお

菓子や果物でお腹を満たす日々。まともな食事は昼食のみといったありさまで、結局体を

こわしました。幸いにも完治し、それ以来これといった大きな病気はしていませんが、き

ちんとした食生活がいかに体にとって重要か、の認識を持ついい経験になりました。

 

しかし、健全な食生活とは一体どういう状態を指すのかとなると、王道はなかなかに難し

い。誰が考えてもまず思いつくのは、バランスのいい食事と食べ過ぎない。この2点でし

ょうか。食べ過ぎないは、呑みすぎないにも通じます。要は、消費する以上に食べ物を摂

取しないこと。バランスとは色々な食べ物をまんべんなく摂取する、の意味の他に、栄養

配分を考えながら食べる、の意味もあります。よく、30種類以上の食材を摂取する、の

を毎日の目標にしている人の話を聞きますが、やはりバランスとは、栄養素の配分がうま

くいった食べ方、なのかもしれません。体にいいからといって、野菜ばかり30種類食べ

ても、タンパク質不足に陥り免疫力の低下を招きます。粗食もまた、お薦めできません。

適量の肉は高齢者であっても必要なのです。お茶漬けと漬け物や甘いものがメインの食生

活では、抵抗力もなくなります。

 

人間は年齢を経るに従って、食生活も変化していきます。言葉を変えれば、変化していく

べきなのです。まず消費エネルギーが落ちます。それなのに若い頃と同じ量を食べ続ける

と立派なメタボ・肥満の出来上がりです。中年以降はやや小太りがいい、と最近言われる

ようになりましたが(いざ病気と戦うときの体力保持のため?)、その小太り状態を保つの

が一番難しいと思いませんか。ちょっと油断すると大太りへ一直線です。痩せすぎも感心

しませんが、自分の足で歩き、結果として自分の頭で考えるには、体型をスリムに保った

方が有利です。回りを見ても、太りすぎの人はおおむね足が弱い。自分の体重が足に負担< /span>

を強いるのです。命つきて倒れる直前まで、自分の足で歩きたい。最近見舞った、寝たき

りの叔母が可哀相でした。歩けさえすれば環境は広がるのに、ただ足が弱って歩けないだ

けで、生活シーンは閉ざされます。車椅子に移るにも人の手を借らねばならない。他にこ

れといった病変は無いのに、こういうケースもあるのです。体重管理は、まさに自分の為

に自分を律することなのかもしれません。

 

               24年10月1日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第86回】 食環境の現状(65)

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食文化の豆知識 86 [食文化の現状65]

 

9月に入っても、相変わらずの暑さです。ただ草花や昆虫などの小さな生き物は敏感に秋

をキャッチし、主役の交代が進んでいます。蝉はクマゼミからつくつくぼうしへ。鈴虫も

登場して賑やかです。草木ではさるすべりの花が勢いを弱め、秋桜が咲き始めました。

そして待望の実りの秋。一足早く梨やブドウが店頭を飾っています。遅からず林檎や柿や

栗が加わって、豊かな景色を見せてくれるでしょう。野菜はといえば、インパクトがある

のは高嶺の花のマツタケくらいでしょうか。春と異なり、秋の野菜には胸躍るものが少な

いような気がします。その点、果物はエライ。日本の果物は世界一と、勝手に思いこんで

います。外国の方が、日本の梨(豊水・幸水など)やブドウ(巨峰など)を口にすれば、

その芳醇な豊かさに驚くこと確実です。亜熱帯地方のマンゴーやパパイヤも確かに素晴ら

しい果実ですが、品質改良にそれほど努力しているようには見えません。いわば自然の恵

み。しかし日本では、耐えざる努力の結果として、糖度の高い果実が生まれているのです。

 

でも、冷凍がしにくく、鮮度が要求される青果物は、スーパーマーケットにとって結構

扱いにくい食材かもしれません。現実としては、ナショナルチェーンの大手スーパーより、

地元密着型のスーパーの方が断然、青果物は豊富に揃っています。価格もリーズナブル。

巨大スーパーは自社PB商品や冷凍食品はさすがの品揃えですが、生鮮野菜や果物は、

何故あんなに高いのでしょう。品揃えも魅力に欠けます。一括購入なので、仕入れ先に関

して小回りに欠けるせいかもしれません。その点、地元密着型はまさにその地の新鮮な食

材が安価で並びます。消費者もうまく使い分けているのだと思いますが、ナショナルチェ

ーンも、地元野菜を中心とした新鮮な野菜や果物を安価に消費者に届ける努力が必要でし

ょう。輸入果物ばかりが目立つようでは、大手の名が泣くというものです。

 

               24年9月3日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第85回】 食環境の現状(64)

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食文化の豆知識 85 [食文化の現状64]

 

食材は季節毎に旬があり、特に四季がはっきりしている日本では、その時々の新鮮な食材

が出回ります。春には芽吹きのものが、夏には太陽をしっかりと受けとめるものが、秋に

は盛りたくさんの実りの恵みが、そして冬もどっしりとした頼もしい食材が楽しめます。

ただ、考えてみると、四季の移ろいで変化していく食材は、殆どが野菜・果物類であって、

肉類に季節を感じることはまずありません。新子や鮎、秋刀魚などの魚介類は一応の季節

を感じさせてくれますが、畜産系にいたっては、通年の印象に変化はありません。逆に言

えば、ほぼ安定している食材といえるでしょう。よって価格も安定している。だからでし

ょうか。米国では収入の低い層ほど、肉類が食事に占める割合が多いとか。肉が贅沢であ

った時代が記憶に刻まれている我が身としては、一種の驚きを隠せませんが、なるほどな、

と妙に納得してしまいました。野菜は気象条件による価格変動が避けられないうえに、調

理に手間がかかります。それなのに3種類もの野菜料理を作っても、メインディッシュに

はなり得ないのが辛いところで、その点、肉は焼いただけで立派な主菜になり、付け合わ

せに野菜をほんの少しつければ、その1品だけで食卓が成り立ちます。ファストフードの

ハンバーガーも安価な肉で、はい出来上がり。それなりに食べられる。でもそのような食

事を続ければ当然に野菜摂取不足に陥り、肥満や中性脂肪過多や動脈硬化が待ち受けてい

ます。

 

本当に、野菜類を潤沢に摂取するには努力と手間が欠かせません。最も簡単な野菜料理で

ある生野菜サラダをばりばりと食べても、到底一日の奨励摂取量350gには及びません

し、それだけの生野菜は食べきれない。蒸すか煮るか茹でるかするのが一番、量を摂取し

やすいのですが、それがなかなかに難しい。と何やら愚痴めいてきましたが、毎日の食卓

に何種類かの野菜料理を登場させる大変さは、台所を預かる側の方はお分かりだと思いま

す。で、簡単に野菜を摂取できる野菜ジュースや青汁が売れるわけです。模範的な食生活

はバランスにつきるといっても過言ではありません。食を提供するレストランや宿泊施設

も、是非、バランスの取れた料理を届けて欲しい。先日訪問した日本海を望む老舗の宿で

いただいた夕食は、新鮮な魚のオンパレードで舌鼓を打ったのですが、野菜料理が殆ど見

受けられませんでした。野菜を旨く調理し、輝く1品に仕立てることの出来る料理人こそ

が、真の料理人といえるのかもしれません。

 

               24年8月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第82回】 食環境の現状(61)

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食文化の豆知識 82 [食文化の現状61]

かつてある会合で、本物の食材とは何か、と質問されました。“余計なものが添加されてい

ない食材ではないでしょうか“と答えた記憶があります。随分と乱暴な論理ですが、根本

的に今もその考えは変わりません。生の野菜はまさしく本物です。多少の農薬が使用され

ていようと有機栽培のものであろうと、大根は大根、白菜は白菜、トマトはトマトです。

偽物の大根にはまずお目にかかれません。肉類も産地がどこであろうと肉に変わりありま

せん。ブランド力や部位、肉質で価格付けはされても、すべて肉そのものです。

ところが、これが加工食品となると、別問題となります。まさに本物と偽物が存在するの

です。特に日本では、多岐にわたっています。国が豊かであるために消費者のニーズも幅

広く、それだけ食品種が多いという裏付けかもしれませんが、それにしても劣悪商品が多

すぎると思うのです。

 

酒、醤油、味醂、ジャム、チョコレート、つゆ系、練り商品、ハム、ソーセージ、ベーコ

ン類etc。これらの中で、もどき商品が大きな顔をして陳列棚で売られています。どれがも

どき商品かは、裏の原材料欄を見れば大体判断がつきます。原材料種が多ければ多いほど、

その商品は偽物に近づいているというわけです。例えばジャム。もっとも良質なものは、

元の果物と砂糖・蜂蜜類だけです。添加物が増えるに従って劣悪商品になり値段も下がっ

ていきます。苺ジャムと銘打っても、ほんの少しの苺に大量の添加物を投与して出来上が

った練りものとしか評価できないものも出回っています。これはジャム発祥のヨーロッパ

ではジャムとは呼ばれないでしょう。チョコレートも日本では大体が、カカオより砂糖の

添加量が勝っている。本物のチョコレートではありません。日本酒も、糖類やら醸造アル

コールやらをどっさり入ったものが酒コーナーに並んでいます。ハム類にいたっては、

ハムという名称を付けてはいけない商品が多く販売されています。どれだけの添加物が投

与されているでしょう。醤油も本物は、大豆、小麦、食塩 から作られており、手間は

かかりますが、原材料はシンプルです。ところが、脱脂加工大豆を使って旨み調味料や塩

水で薄めたものでも、一応は醤油として売られています。

 

パン党の人なら多分毎朝食べているパンにしても、膨大な種類のパンが存在します。どっ

さりとこれでもかというほどの添加物が加えられているものも多く出回っています。

“美味しければいいじゃない”も、もっともですが、小麦と塩、それにバターだけを加え

て天然発酵させたパンの美味しさは、飽きることがありません。

利用者が本物を選ぶようになると、自然に偽物は駆逐されていきます。市場とはそういう

ものです。あとは価格をどう安定させるかが、大課題でもありますが。

 

               24年5月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第81回】 食環境の現状(60)

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食文化の豆知識 81 [食文化の現状60]

前回に続き、トマトウラミ節です。我が家では十年前から、朝の一杯にトマトジュースを

欠かしません。二日に500ml一本が空きますので、比較的安いPB商品をひと月に一回

程度、1ダースほどまとめて購入していました。ところが!このところ、いつも棚が空っ

ぽです。二回ふられ、先日やっと棚に並んでいました。当然まとめ買いです。でもレジで

の精算の際、トマトブームに乗った人なのだと回りから思われてるようで(思われてるの

に決まっています)落ちつきませんでした。根が小心者なので、全くこういう状況は不得

手です。このところ食卓では危険信号続きです。食用油も値上がるとか。これはセール時
に購入したのが2本あるのでストック充分です。本当に食品価格は油断が出来ません。こ

うなれば自己防衛ならぬ家計防衛しかありません。コメ価格だけ政府介入で調整しても、

他の圧倒的な食材価格が不安定な状態では困ったものです。食糧省が必要です。農林水産

省にまかせてはおけないと思います。まかせておいた結果が、無惨な食糧自給率であり、

全国に散らばる休耕田であり、世界的にも高い食料価格です。

先日、スーパーマーケットで笑える宣伝文句に出会いました。漬け物売り場の大根、いわ

ゆるおたくわんですね。その売り文句が、“野菜高騰のお助け漬け物”。語句は多少違った

かもしれませんが、要するに“野菜が値上がりしています折、安い漬け物の大根が野菜の

代わりとしてお得ですよ”ということなのでしょう。いやはや逞しい商法ですが、生の大

根とお塩たっぷりの漬け物の大根とは全く用途が違いますし、栄養素も変化しています。

それに安価な加工品ばかり食べるわけにもいきません。体をこわします。日本では上質な

野菜の缶詰や瓶詰めが欧米のようには普及していません。新鮮な野菜に恵まれてきたせい

でしょうか。和食の形がそれらを受け付けなかったのも遠因の一つでしょう。

とにもかくにも、安定的青果物の供給は、行政もからんでの緊迫課題であるという認識が

欠落しているように思います。

外食時でも、野菜の扱いについて多少の誤解があるようです。日本料理には新鮮な野菜が

多使用されている?とは、おおかたの認識ではないでしょうか。でも寿司店でどんな野菜

をいただけますか。寿司大好きで月に何回かはお手頃な寿司店に行きますが、その際は野

菜を摂取するのは諦めています。和食専門店でも鍋もの以外は野菜料理はおざなりなこと

が多い。うどん店やそば店でも野菜はほんの少し、付け足し程度です。会席料理も魚と肉

のオンパレードです。反面、イタリア料理には結構な野菜が使用されています。トマトや

きのこ、タマネギなどがどっさりと使われていますし、中国料理も青菜をはじめ野菜たっ

ぷりな料理が多いものです。日本の旅館に連泊すると、しみじみ野菜不足に陥ります。

だから、思いこみはこわいと思うのです。厚労省お薦めの一日350gの野菜摂取も、日

本では達成が難しいとか。むしろ米国の方が摂取量が上回っている状況です。これは、い

くらお上が旗をあげても、抜本的施策が欠如しているので、“ただあげてみました。それで

役割は終わりです“になってしまいそうです。

               24年4月8日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第79回】 食環境の現状(58)

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食文化の豆知識 79 [食文化の現状58]

 

環境への負荷を減らす意味合いで、エコロジーの言葉が使われるようになりました。“エコ”

の通称であらゆる業種業態に浸透してきています。そのこと自体は勿論、歓迎すべきこと

で、限りある資源を守るためにも、省エネルギーで消費電力を減らしたり、ゴミを少なく

する努力は必至だと思います。ただ、エコの名さえ出せば文句はないだろう式の押しつけ

や驕慢が見え隠れするのは、いささか興ざめです。卑近な例でいえば、かつてマイ箸ブー

ムが起こりました。森を守ろう、の大合唱が世間を席巻し、外食時に店の割り箸を使わず

自分の箸を携帯する人が結構いました。それが、割り箸や爪楊枝は、いわゆる廃材利用の

優れた方法で生まれているとの認識が高まり、自然消滅しました。放置された森は荒れて

いきます。適切に間伐しなければ、息づきません。そのときに出たくず材と呼ばれる廃材

から割り箸などを作って無駄をなくしていたのです。当時から、木の香りが漂う割り箸が

大好きな私は、マイ箸など持参する気にもなれませんでした。ところが、最近になって、

バッグにマイ箸ならぬマイ割り箸を2,3本潜ませています。使い回し可能なプラスティ

ック素材の箸を用意している店が増えたからです。理由説明は、1,大事な資源の再利用

の為、2,ゴミを減らす、のいずれかです。でもちょっと待って欲しい。箸は、ナイフ&

フォーク・スプーンと異なり、それ一本でオールマイティー的要素を持ち、いわば手と一

体化して常に口に食物を運ぶ役割を担っています。そんな個人的な道具を人と共有したく

はないし、きちんと洗浄されているかも信頼できかねる店が多くあります。かつてのマイ

箸ブームが日本で起きた頃、シンガポールでは逆にインフルエンザ感染や食中毒感染を防

ぐため、使い捨て割り箸を各レストランに義務づけたと聞きます。まるで日本と逆です。

それに、ゴミを減らす、という理由ももっともらしいのですが、木素材の割り箸は、逆に

ゴミ焼却を助けると思うのですが、どうなのでしょう。燃えにくい生ゴミに割り箸が混じ

っていた方が燃えやすいだろうに、などと妄想しながら、割り箸を常にバッグにしのばせ

る日々です。エコ崇拝といえば、スーパーでもマイバッグが推奨されているようですが、

まず先に過剰包装から脱却するのが先決でしょう。少しの食材に大仰な包装を施し、無駄

なゴミを大量に提供しています。各種トレーに包装ビニールや包装プラスティックの数々、

すぐに我が家のゴミが増えてしまう。使い回し可能な箸にしても、過剰包装にしても、そ

こには真のエコロジー遵守精神は感じられません。ブームに流されることなく、真贋を見

分ける能力を身につけたいものです。

 

              24年2月1日  間島万梨子  食生活アドバイザー  

 

 

 

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