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 顧客満足の複雑さ126「プラごみ削減に関する視点」

   顧客満足の複雑さ126「プラごみ削減に関する視点」

 プラスティックごみによる海洋汚染の深刻化を受けて、主に先進国主導の規制の動 きが活発になっている。世界の海に流出しているプラスティックごみが激増しており、魚類にもたらす被害がひいては人体に及ぶ危険性に、先進国が危機感を覚えた、ということなのだろう。被害が後進国内で収まっておれば、これほどの動きはなかったのではないかと勘繰りたくもなるが、海の汚染となると見捨ててはおけない。そこで、有機廃棄物の国際移動を規制するバーゼル条約の対象に、汚染された廃プラスティックを加えることが国際会議で決まった。先進国から途上国へ輸出されてきた膨大な廃プラの相当量が処理されぬままに捨てられ、結果として海を汚してきた。だから元を絶つことで、海への廃棄量の減少をはかろうとするのは、分かりやすい方策ではある。その他にも、取り組むべき対策は気が遠くなるほどあるが、まずは一歩一歩ということだろうか。 

 で、新聞各紙も廃プラごみ問題は、かなり重要視して頻繁に取り上げている。ただ問題の核心をどこに置くかで、論調がかなり異なるのは言うまでもない。某新聞の最近の社説を読んで、徹底した上から目線の内容に失笑を禁じ得なかった。まず日本は米国に次いで一人当たりの使い捨てプラごみ量が世界で二番目に多いとし、その量を減らしていかねばならないと説く。それには一人一人が日々のくらしを見直せとも説く。レジ袋や食器、ストローなどの使い捨てプラを利用しないようにして意識の共有が大切だとし、プラスティックの使い放題はもはや許されない、と結んでいる。日々、家から出る半端ではない量のプラごみに心を痛めている身としても、減らす具体的策を教えてほしいところだが、廃プラの一番の配給元である企業の姿勢に関しては、その新聞社説には一言もない。また実際に海を汚染させている海洋ごみ排出国に関する記述も無い。ちなみに喫緊のデータでは中国が882万トンで全体の28%を占め、以下インドネシア、フィリピン等アジア各国とアフリカが続く。アメリカは28万トンで20位、日本は6万トンで30位だ。これをもって、日本は少ない方だなどと逃避するつもりはさらさら無いが、現状は正しくかつ合理的に把握しなくてはならない。情緒的論調だけで読者を教育してほしくはない。 一方、前後して他新聞に、プラごみ撲滅の切り札、と称する記事が掲載されていた。日本の化学メーカー大手カネカが、海水中の微生物による分解が可能な素材を開発したという。それは生分解性ポリマー「PHBH」だ。100%植物由来のプラステ ィックで、30度の海水で6カ月以内に90%以上が水と二酸化炭素に分解されるのが特長。同社はPHBHの世界需要の増大が予測される2022年までに、2万トン規模の生産可能な製造設備の導入を検討している、とあった。すでにセブンイレブンなどでPHBH仕様のストローを提供するほか、資生堂はカネカとPHBH由来の製品共同開発に合意したという。なかなかの朗報で、国が積極的に支援すべきだと思う。廃プラごみ問題は、量の削減で効果が出るのを待つより、プラスティックそのものの環境への無害化を実現する方が解決への道筋が早いのは、だれもが考えれば分かることだ。先の新聞の一人一人の心構えを諭される記事より、はるかに前向きで現実的な内容に、各メディアの基本的姿勢の違いを見たというのは、早計すぎるだろうか。  

 

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顧客満足の複雑さ 125 「個人主義と集団主義がもたらす光と影」

   顧客満足の複雑さ125「個人主義と集団主義がもたらす光と影」

関西国際空港近辺エリアではホテル建設ラッシュが続いている。100室~250室の中規模スタイルで、部屋はツインルームが主流、価格は1万円足らず。ビジネスマンの出張需要型シングルルームが多い、既存の都市型ビジネスホテルとは一線を画した仕様になっており、対象を100%訪日外国人観光客に絞り込んでいるのは明らかだ。その殆どはレストランを有しておらず、宿泊客の朝食は、ラウンジやそれ専用の宴会場をもって対応している。そういう流れの中で、最近オープンしたホテルは、国内でのチェーン展開を図る有名企業のブランドのひとつで、上階に正式なレストランが入っていると知り、大いに期待していた。車で20分前後の距離にあり、利用してみたいものだと。ところがオープン後のホテルホームページを見ても、レストランの詳細案内は掲載されていない。で、よく目を凝らしてみるとレストラン写真の下部に「朝食1000円、夕食2000円」の提示があった。そういうことか、と納得がいった。このホテルは、いわゆる宿泊客囲い込み型施設であって、レストランも宿泊客専用であり、外部客を対象としていないのだ。 途端に興 味を無くした。宿泊客は、ここで1000円の朝食を取って観光に出かけたのち、2000円相当の夕食を取って一日の閉めとする。修学旅行生をメイン顧客ととらえてオープンした、ユニバーサルスタディオジャパン近隣のホテルと同じコンセプトなのだ。一人一律数万円の特定格安団体ツアーをさばくためのホテルであって、地域住民は全く無視されている。このような完全に特定外国人団体観光客を対象と捉えたホテルは、外国主要都市にもあるのだろうか。ただ時代の趨勢が変われば、このレストランも一般客向けのメューを用意して対外に宣伝する日が来るかもしれない。集団から個へ。そんな変わり身の早さを予感させるホテルの誕生だった。

 1948年に祝日法が制定されて以来、最長という10日間大型連休の話題はもっぱら日本からの海外旅行状況に集まっている。JTBによると海外旅行の予約はこの時期の例年8割増だとか。期間が長いことから、行き先も欧州やハワイ、近隣国に わたって分散されているようだ。その意味では選択肢の広がりを持てる連休となった。一方、喜んでばかりもおられない企業・人達も多い。非正規雇用者しかり、病院しかり、製造業しかり、激務が予想されるサービ業しかり、教育関連しかり。要となる道路やエリアの酷い混雑等は、普段使いの人にとっては大いなる迷惑だ。某新聞が実施したアンケートでも、10連休を歓迎しない派が、6割を超えていた。連休イコール旅行イコール経済効果、という何とも古臭い政策を政治家や役人の浅知恵、と切って捨てた意見があった。お上の号令の元、一斉に休む日本人の働き方に疑問を抱く声も多い。このような集団での休暇の取り方しかできない日本人が外国人観光客のことをとやかく揶揄するのも、妙なことかもしれない。ご退位ご即位という慶事を国民として喜びつつ、いつになれば、個々人がまとまった休暇を独自の計画に基づいて取れる時代が来るのだろうかと思う。

 

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顧客満足の複雑さ 124 「健全なおもてなし」

      顧客満足の複雑さ124「健全な、おもてなし」

 日本の労働生産性の低さの遠因として、度が過ぎるサービス文化をあげる意見がぼちぼちと聞かれ始めてきた。日本が誇るおもてなしは、結果として生産性を低めている、ということらしい。ただ、一口にもてなし文化と言っても、様々な要素がからみあっているので、どの部分を削れば、より生産性が上がるのかの明確な分析は難しい。喫緊の具体論で言えば、コンビニを始めとする店舗の24時間営業や、希望時間宅配システムなどがあげられるだろう。消費者にとっての便利さは、ときとして企業と働く人の消耗を生む。果てしの無い消費者のニーズを満足させるために、企業はまい進してきた。まずは自社商品を購入し、利用してもらわなくては利益を獲得できないのは自由市場では当然なので、便利さと、高品質と、安価は、そのための必須条件ととらえられてきた。勿論、その範疇に入らない絶対的価値を持つ商品もあるが、概ねその三つがビジネスの根幹条件だろう。その中で、最も日本的なものは、便利さではないかと思う。その便利さの永続性が、今、問われている。少しは不便さも我慢すべきではないかと。でないと、提供側がもたないと。でもちょっと待ってほしい。コンビニは24時間営業すべきだと、消費者がデモをしたという話は聞かない。過度ともいえるサービスやもてなしは、いつも提供側の忖度と競争心と決意によって実施されている。 

そろそろ、おもてなしの意味の転換をはかっても良い。少子化はいや応なく加速する。人的サービスは限界に達する。便利さの象徴ともいえる日本全国にある自動販売機も、定期的に補充する人の手が無ければ成り立たない。訪日外国人観光客目当ての商法も右肩上がりの保証はない。国別に偏り過ぎた現状が、盤石だとは思えない。もっとも直接的に顧客と接する飲食店や宿泊関連も、今後のサービス体制を見直すべき時期かもしれない。健全で合理的ながら利益が出る、おもてなしへの転換だ。客自身の志向の変化に気づかないままに、旧態依然とした接客体制を続けていると結局、新たな顧客層の獲得が出来ずに、じり貧になってしまう恐れがある。一例として、多くの客にとって、部屋食は決して有難いシステムとは捉えられていないし、仲居制度や布団敷きも、ときとして面倒なサービスと思われている。だとすれば、今は大きなチャンスといえよう。接客行動の集約化を図るとともに、施設面への投資によって、未来構図を描くことだ。投資額は、客単価の上昇で回収するのが望ましい。消費傾向の潮流は変化し続けている。 

すぐにでも実施すべきは、笑顔とウィットで顧客の満足度を高めることで、言葉は悪いが、このふたつで、かなりの欠点はごまかせる。実際に、このふたつが不足している施設は結構あって、ただただ客をこなしている感は、意外に老舗や旧公的施設に多い。消費者も提供側も、未来にわたって持続実行可能なサービス体制のあり方を、模索することが望まれる。

           2019年4月1日  間島   

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顧客満足の複雑さ 123 「プラスティックゴミの憂鬱」

量販店でのㇾジ袋の有料化が加速している。プラスティック海洋ゴミによる環境汚染が問題化し、その対策のひとつとして先進国間で取り入れられており、日本でも早晩レジ袋有料化の義務づけが実施されると思われる。しかし、レジ袋有料化が、プラスティックゴミの減量にどれだけの効果をもたらすかは、はなはだ疑問でもある。何故なら、レジ袋は大方の家庭でゴミ袋として有効利用されているからだ。我が家でもしかり、生ゴミなどは必ずレジ袋相応の袋に小分けしたうえで、大袋に入れて出しているので、配布されなければ買うことになる。よって、使用する全体数が変わることは無い。ゴミ袋有料化による変化と言えば、月に80円ほどの家計負担がふえることと、無駄なゴミ量は若干抑えられるかもしれない。ただ、プラスティックゴミ量を減らすことは難しい。生ゴミと異なり、消費者だけの努力でゴミ量を減らせるものでもないからだ。殆どの商品がプラスティックゴミを連れてくる。 

最も問題化しているプラスティックゴミによる海への環境汚染だが、2050年にはプラスティックゴミ量が魚を上回るだろうという説もある。海洋ゴミを多く排出している発展途上国にまで、その危険性の意識が浸透するには気が遠くなる時間がかかりそうだ。となるとやはり喫緊の解決策は、発生させないこと、に尽きる。ペットボトルが一応、リサイクルゴミとしてかろうじて還元できているとするなら、すべての包装にプラスティック材の使用を禁止すれば、一気にプラスティックゴミ問題は解消する。無いものからは、問題は発生しない。ただ、一時的でも経済は後退するだろう。取扱い企業の混乱とダメージは予想を超えて大きいと思われる。また、プラスティック製品の世界規格を建てようと模索する欧米企業に、日本はうまく連携が取れないままに、後追い型になってしまう恐れもある。先進国では、プラスティック材の生産~消費を規制する動きが現実化している。 

プラスティックゴミ問題の解決は簡単ではない。国同士の攻めぎあいもあるだろうし、何より企業と消費者の責任所在の着地点もまだ見いだせていない。消費者としての小さな対策としては、詰め替えタイプの商品を買う、ばら売りの野菜や果物を買う、などがあるが、スーパーの売り場を見るとめまいがしてくる。ずらりと並んだ即席麺コーナーはプラスティックのオンパレードだし、対面のお菓子・コーヒー売り場も、プラスティック包装が殆どを占める。加えて、野菜や果物、魚・肉類までも、廃棄するしかないプラスティック材に大切に包まれている。日本はプラスティック天国だ。消費者が出来ることは限られており、これらのゴミ化防止への道は容易ではない。ただ世界の、特に先進国での動きは過激かつスピーディで、日本も現在の企業寄りの消極的な姿勢から脱する、有効な対策を世界に示す必要がある。プラスティック素材に代わる、自然回帰型の画期的な技術が日本から生まれる可能性を信じたい。今をときめくIT関連のGAFAより、地球そのものの存続に貢献できるのは確かだ。                       2019年3月1日  間島   

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顧客満足の複雑さ 122 「飲み放題の質」

      顧客満足の複雑さ122「飲み放題の質」 

東京で焼肉食べ放題の店を訪問した欧米系観光客の男性が、テレビの取材で放った一言が、耳に残った。“こんな店、僕の国にあったなら、一週間でつぶれてしまうよ!”他国でも、ホテル内朝食のビュッフェスタイルなどは根付いているが、日本のように、○○食べ放題や飲み放題、を看板に掲げている一般店は少ない。このシステムは、食事量の上限を想定して、なおかつ儲けが出る計画に基づかないと成立しない。つまり日本人の平均的食事量が基礎となって生み出されたヒット作戦なのだ。先の欧米系男性の国で、もしこのような店があれば、想定した上限を遙かに超えた需要で、たちまち店の経営収支は成り立たなくなってしまう、ということだろう。 

飲み放題も同じく、日本でしか通用しない飲食店の経営方法だ。和製英語のフリードリンクは、むしろ食べ放題システムよりもよく目にする。コース料理とセットされていることが多く、いくらかの上積みでドリンク類は飲みたいだけどうぞ、の誘惑はなかなかに強い。どの店もビール、赤白ワイン、日本酒、焼酎、ウイスキーにソフトドリンク類ははずせない定番としてメニューに入れている。ただ、この飲み放題システムの質的内容は、店によってかなりの差異があり、トータルでその店の価値を左右する力を持っていると思う。まずビールだ。飲み放題では、瓶ビール指定の場合が多い。生ビール提供の手間を惜しんでのことだろうが(たまに、客自身がサーバーを使えるところもある)、ここで魅力が半減する。生ビールのフレッシュな味わいを飲食店の魅力のひとつにあげる人も多い。それに瓶ビールについて回る、注ぎ注がれる、という行動が、今や面倒がられる時代だ。極めつけはワインで、飲み放題で用意されるのは、安っぽいグラスでのまずいワインかデカンタで、まれにボトルで供されても、残り物をつぎ足した感が否めないほどのレベルだ。紹興酒を6分ほどに減った状態で出した店もある。日本酒も純米吟醸などは期待できない。 

そして今、レベルアップしたフリードリンクが登場し、飲み放題の差別化が浸透しだした。ビールは洒落たグラスでの生ビールOK。ワインは重厚なグラスに、本格的レベルのものを注いで出してくれる。勿論、飲み切った上での追加オーダーになるが、飲んでいて気分が良いのは確かだ。食べ放題でも、飲み放題でも、一般化すればするほど、質の上昇による差別化が始まっていく。高級店やホテル内レストランでも飲み放題を導入するところが増えていくと思われる。日本に来る外国人観光客にとっては、まるで奇跡のようなサービスと映るに違いないが、質の良いフリードリンクシステムは、集客における強い誘引力になるだろう。ドリンク類の利益率の高さは周知の事実なので、質を高めることで出る不利益よりも、集客力アップによる利益を期待する方が効率が良さそうだ。                            2019年2月1日  間島   

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顧客満足の複雑さ 121 「日本を守り抜く覚悟」

   顧客満足の複雑さ121「日本を守り抜く覚悟」 

昨年は、様々な災害が日本を襲い、わが身に照らしても台風21号の洗礼を受けたが、清水寺恒例の一年を表わす一字に「災」を使われると、いささか、げんなり感が否めない。何故なら、日本の地政学的宿命とでもいおうか、何も無かった年をあげるのも難しく、被害規模の差はあれど、なにがしかの自然災害はどこかで必ず起こり得る。なので、ここは「克」とか「翔」、また「守」とかにしてほしかったと心から思う。 

自然災害だけではなく、一年間という時間は、政治・経済・外交でも変化と達成と混乱などが入り混じり、どういう年であったと一口で表わしにくい長さを持っている。だから日本が日本のままであり続けている限り、その年はまあ、よしとせねばなるまい。それほど、世界では自国が自国で無くなったことで、悲惨な目に会っている人達が多いのが現実で、その結果が大量移民へとつながっていく。その意味では、成立に反対の多かった出入国管理法改正案は、確かに移民対策では無い。が、しかし、自国に人種の異なる人間が観光以外に多く入ってくる状態が簡単に出来上がるという構図は、社会に良く似た結果をもたらす。成立してしまったので、しばらくは様子を見るしかないのだが、歓迎できない法案だった。 

一方、立法関連ではないが、朗報も結構あった。大阪万博開催決定もそうだし、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効も、快挙だと思う。万博開催は長きに渡って大阪府のお荷物だった広大な夢洲が生き返るチャンスで、IR誘致が決定すれば、万博以後も生き長らえることが出来るだろう。TPPは、米国が離脱した後をよくまとめたものだと思う。関税引き下げは、輸入面では幅広い食品の値下げで、消費者が恩恵を受けることが期待されるし、輸出面では企業にとって追い風になりそうだ。色々な問題はその都度、解決していくことになるだろう。 

外交は益々、混乱していきそうだ。激動とまではいかないにしても、世界の潮流の変化は避けられそうもない。その中で、日本が盤石であり続けるためには、好き嫌い・支持不支持が当然あるものの、長期政権がもたらす安定感は確かにある。この一年、しっかりと日本を守り抜く覚悟が、一人一人に必要になると思う。国家といっても、基盤は一人一人なのだから、それさえ崩れなければ日本は大丈夫だと信じたい。企業も個人事業も、背骨の補強がますます求められる年になりそうだ。年末には、心地よい一字を聞けることを祈りたい。                               2019年1月4日  間島   

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顧客満足の複雑さ 120 「出入国管理法の怪」

      顧客満足の複雑さ120「出入国管理法改正案の怪」  

国会は立法の府だけあって、会期中は様々な法案が提出され審議される。無事に成立する法案もあれば、差し戻しあるいは廃案になるものもある。大して話題を集めない地味な?法案が結構あり、したがって興味を惹かないままに、成立しているケースも多い。無責任なようだが、おおむねその法案が必要だから提出され、成立後は行政側で適切に施行されるのだろうとの信頼感もある。然しながら、今国会に提出された出入国管理法改正案は腑に落ちない。当方の理解不足・知識不足なのだと思うが、どうも怪しさをぬぐいきれない。そこに経済界の欲が臭うからだ。 

色々な業種業態で人手不足であるのは現実問題として認識している。政府が試案した現時点での人手不足数が最も多いのが外食業の25万人で、農業の7万人、介護業の6万人と続く。一方、人手不足感のある建設業は2万人で、経済の軸を握る自動車整備業は1600人と少ない。つまり、合理化・機械化を進めてきた業種はそれほど人手不足は深刻ではなく、生産性の低い滅私奉公的要素の高い業種が、深刻な人手不足状態にあるというわけだ。慢性人手不足といってもよい。それを外国人労働者で補おうとするのは、あまりに短絡的かつ都合の良い解決策であり、企業そのものの努力や倫理観を求める姿勢の欠落感が否めない。確かにこれらの業種は人の手がかかる。そして特に外食業は20年以上も前から人手不足に悩んでいる。ずばり離職率が圧倒的に高いからだ。と同時に、個人経営で開業10年後に営業を続けている店は半分に満たない業種でもある。将来的に安定感のない仕事に、優秀な人材を求めるのが無理筋というもので、個人経営の場合は、徹底して家族経営で乗り切るしかない。それはそれで筋が通っているし、手堅い経営といえる。問題なのは手厚い福利厚生や人材育成のポシリーも無いままに店舗拡大を急ぎ、人材難に陥り、喉から手が出るほど外国人労働者が欲しいチェーン展開のケースだ。外食業でも創業者の志が高く、人材育成や教育に熱心な企業は離職率も低く、外国人労働者に頼らずとも人材が集まってくる。また、技術力の高い中小企業も人材難に悩んでいるが、その解決策は外国人労働ではなく日本人自らの中にあるのだろうと思う。コンビニエンスも慢性人手不足に悩む。あちらこちらでみかけるコンビニの乱立ぶりに加え、24時間営業ビジネスが、人手不足にならないわけがない。外国人客対応のために外国人を雇っているというのは表向きで、募集しても来ない日本人の代わりに雇っているに過ぎない。外国では、日本語の通じない店の方が多い。それでもたいして支障は無い。ただ物を買うだけの動作言葉は万国共通で通じるものだ。

一方、介護施設の人手不足は、現時点においては施設の急増によるもので、利用者の増加が主要因ではない。どこの市町村でも、建築中の建物の多くが介護関連の施設だ。つまり金儲けのにおいがする業種ということだ。これも人手が足りないのに決まっている。高齢者の増加で、介護現場における将来の絶対的な人手不足は予想されるものの、入管法を急ぐ前に、打つべき手は他にいっぱいあるだろうと思う。で、某新聞の調査による主要100社へのアンケート結果が出ていた。外国人労働者受け入れ拡大には賛成であるものの、議論が拙速との意見が3割を占めた。管理監督の難しさを指摘する声も多い。しかしなお、この法案は成立する。                          2018年12月3日  間島   

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顧客満足の複雑さ 119 「静寂の本質」

      顧客満足の複雑さ119「静寂の本質」  

インターネット上で投稿される犬や猫の動画は、なかなかよく出来ているものが多く、彼らの演技ではない自然な所作が笑いを誘い愛らしさを増幅させて、時々見させてもらっている。何百万回もの視聴を誇る動画もあり、テレビのバラエティーやドラマも真っ青という人気ぶりだ。ユーチューブに代表されるネット動画は、今やあなどれない情報発信体のひとつとなっている。そのネット動画で動物ものと同じくらいに多く投稿されているのが、日本礼讃を目的とするもので、“訪日観光客から見た日本”や、“世界での高い評価”等をテーマにして、日本の良さを発信している。訪日外国人のコメントには、一方的な思い込みや短期間滞在ならではの高評価もあって、いささか面映ゆく感じるが、やはり悪い気はしない。

しかし、中には簡単に同意できない評価もある。“日本人はとても静かである”の意見などは、本当に?と疑いたくなる。あくまで自国と比較しての感想だろうから、環境の相違で評価も異なるとは思うものの、いったん街に出れば、騒音に囲まれたストレスを感じる身としては、?マークがつく。先日、その?を感じつつ都心に出たのだが、なるほど、そういうことか、と気づいた。訪日外国人の評価はほぼ正しかった。やかましいのは、提供側・企業なのだ。電車の中で途切れずに放送される駅案内と広告と事故注意喚起の声は嫌でも耳に入ってきて、親切さを通り越して、迷惑騒音と化している。見れば、客は静かにスマホをさわっているか、寝ている。知人同士でも会話の声は小さい。ただただ上方からうるさい放送が流れる。百貨店やスーパーでも館内案内が外国語も含めて流れ続けており、それが止んだら大きな音楽がとってかわる。常に音が響き続ける。外に出れば、店がある限り呼び込みや音楽や広告音が空気を揺るがす。百貨店やスーパーでも、客は静かで、同行者がある場合でも大声は聞かれない。仲間内で騒ぎ、そこに意図的な笑いを加味させたテレビ番組を、受け手の視聴者は笑いもしないで観ていることが多い。日本人は静かなのだ。たまに大きな声がすると振り向けば、元気な外国人観光客だったりする。 

飲食店でも同様で、やけに音量の大きいBGMが流れているときがあり、ボリュームを下げてほしいと頼んだこともある。ミュージック提供専門店ならともかく、会話が聞き取れないほどのBGMはルール違反だ。それも多分、店を盛り上げたいという店側の意向なのだろう。客が静かすぎるからだ。ことほどさように、日本は、提供する側の一方的な音の氾濫に囲まれてる。訪日外国人の感想は的を射ているのかもしれない。以前電車の中で見かけた欧米人男性二人は、40分もの間、喋り続けていた。内容が分からないので聞き流せたが、分かってれば気になって仕方がなかっただろう。それほどに大きなよく通る声だった。飲食店や電車内でも大声で喋る客はいるが、全体として日本人の発声音は小さく、会話量も少ない。

せっかくの静かな日本人・日本をやかましく騒々しくしているのは、提供側であり企業なのであって、それならば静謐の提供もまた、ビジネスになるであろうと思うのだが。と、ここでハロウィーンでの大騒ぎのニュースが飛び込んできた。嬌声が飛び交っている。はて、日本人も進化したのか、それとも後退したのか? 

              2018年11月1日  間島   

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顧客満足の複雑さ 118 「和風とは風情重視」

      顧客満足の複雑さ118「和風とは風情重視」  

ひどい首の凝りに悩んでいる知人がいて、整形外科の医者のアドバイスに従って、枕を固めの低反発型に変えたが、今のところ、かんばしい効果は出ていないと嘆いていた。聞けば、和室に柔らかくてふわふわの布団を敷いて寝ているらしい。即座に、ベッドに変えることを勧めた。それも、固い20センチ以上のマットレス仕様のものに。マットレスは固ければ固いほど、そして厚ければ厚いほど身体への負担が少ない、とは自論だが、経験ではその通りだ。そもそも、首や肩の凝りは、日本人独特の症状だという。欧米人には凝りで悩んでいる人は少ないらしい。様々な理由が考えられ、お箸文化も首や肩を凝らせ、お辞儀も?凝りの元だという説もある。そして、柔らかい和式布団スタイルも、体を沈ませ凝りの大きな原因になっている。 

洋式か和式かのいずれが人間が生活しやすいかの議論は、個人の嗜好によるところが大きく正解は出そうにはないが、少なくとも年齢を経るにしたがって、和式での生活は辛くなる傾向がある。食事会の店選定をまかされ、席が座敷だったときは、参加者から堪忍してくれの大合唱に見舞われ、ひたすら恐縮したことを思い出した。多くの人が正座が苦手だったのだ。あの過酷な姿勢は、中高年を過ぎると途端に試練になる。ただ幼い子供連れの場合や、若い人の集まりなどは、その自由さが有難いという声も聞く。洋式か和式かの選択は、トイレでは言わずもがなである。そして履き物は靴文化になって久しいが、かつて日本では、下駄か草履で、遠出の場合でもわらじが主流だった。稲を利用した履き物でなかなかよく考えられてはいるが、足を守るには到底、革仕様にはかなわない。牛肉摂取の習慣が無かった日本では、革技術が育たなかったのも無理はないが、堅牢な革靴と比べて、その弱さは歴然だ。 

着物は日本が誇る文化であり愛好者も多いが、一般的な生活では利便性で洋服には勝てない。ボタンやファスナーが無い衣服は、自由な動きを制するからだ。こうしてみると、生活の洋式化は、人体に優しく添う形で進んだともいえる。日本文化が今、改めて見直され、海外でも高評価を受けているのは、あくまで文化としての価値であって、そこに風情を感じるからではないだろうか。風鈴にしても、美しい音色で涼を感じるという風情で、今ではその音が近所への遠慮で気軽に楽しみにくい。床の間、欄間も芸術的で、贅沢文化だ。こうしてみていくと、和風とは風情重視の文化なのだろう。それはそれで自慢していいのだが、現実性には若干欠ける。前にも書いたと思うのだが、旅館式の宿泊施設で、最も自慢できる要素は、和風の風情が惜しげも無く用意された空間の提供である一方で、快適で安全な睡眠を約束するベッド式の寝間の提供でもある。この二重構造こそ、今後の旅館型宿泊施設の未来だと確信している。あとは販売価格努力の域に入るのだろう。

                 2018年10月1日  間島   

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顧客満足の複雑さ 117 「固定客の確保と流動化」

 顧客満足の複雑さ117「固定客の確保と流動化」  

利用する頻度が高ければ高いほど、利用先の固定化が強まる。例えば昼食の外食利用時などは、訪問店がほぼ同じという人も多い。そこまでいかずとも、数店舗を回し利用している。これが夕食となると、利用範囲は広がりを見せる。移動時間に余裕を持たせられるのに加え、利用頻度が昼食ほど高くは無いので、その時の気分や予算、同行者に応じて行き先が選択される。この状態を提供側からみると、昼食時にリピート客が占める割合は、夕食時よりはるかに高いという結果につながる。客単価が低めの昼食時に安定した客数が見込めることは売上の安定にもつながり店にとっては有難い状況だろう。ただ昼夜営業の店にとって、収入源は夜間営業時である。例外もあろうが、大方の飲食店の稼ぎどころは夜間にならざるを得ない。アルコール類が加わっての客単価の高さと、営業時間の長さからくる売上額は、昼食時の数倍となって当然だからだ。ただ、安定した売上と言う意味で夜間営業においても、固定客は非常にありがたい存在となる。ゆえに、どの店でも、リピート率をあげるための努力は惜しまないはずで、その努力の跡が見られない店は早晩閉店を余儀なくされるだろう。ならば客数を補えるほどの高い客単価で稼ごうとしても、それには料理・雰囲気・サービスの特質性と立地の優位性が必要で、一般的な店が簡単に目指せるものでもない。 

つまり、顧客固定化、なじみ客の確保は、飲食店にとって最も重要な要素であり目標でもある。これは宿泊施設でも同様で、余程のネームバリューか特別な立地を擁していない限り、リピート率は運営の成否に影響する。その視点からみると、新聞誌上で、何段かの大広告を頻繁に出しているホテルがあるが、高額な広告料を払い続ける理由は、余程、客室数が多いか、リピート客が非常に少ないか、のいずれかではないかと勘ぐってしまう。言葉を変えれば、うちは一見客だけしか来ないです、と明言しているかのように思える。広告宣伝の効果を無視するものでもないが、あまりの露出はかえって、内実の乏しさを想像させてしまう。また、何度か訪問したことがある、10室前後の殆どがリピート客で埋まる良質の宿泊施設が、食をメインにしたテレビの紀行番組で体験紹介されたとたんに、新規予約が殺到したため、“しばらくの間、満室状態が続きます。ご迷惑をおかけします”との謝罪メールが届いた。それら新規客がめでたくリピート客に移行してくれるなら、テレビへの露出も有益だが、果たしてどうなのだろう。結果の是非はかなりあとになってみないと分からない。リピート率の高さは、その対象の真の力を表わす。 

ことほどさように、リピート客の確保は、サービス業にとって何より大切な命題ではあるが、かなりの難関でもある。個人的にも、二度目の無い飲食店は少なからずあるし、その魅力に惹かれ再訪問した旅館は数少ない。次は異なった地域を楽しみ・異なった施設に泊まってみたいと思うのが自然の欲求だからだ。だから、現実の数値で、リピート客が占める割合がとても高い旅館やホテルの努力はいかばかりかと、尊敬しきりであるが、固定顧客は年を取り、環境も変わる。流動する。よって常に3割以上の新規客は必要となる。その新規客の多くがリピート客になってくれれば、その店・施設は盤石といえるだろう。                   間島

                    2018年9月3日     

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