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 顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ 」

      顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ」

5月下旬をもって、日本全国でコロナ緊急事態宣言が解除された。まずは朗報なのだが、第二波は必ずくるとの警告が、行動や心理にまだ重くのしかかる。発症者数を一定内に収め続けるために、今後も長期間にわたって、国民、企業ともに予防策は取られるだろう。死者数10万人を数えた米国を筆頭に、2万人越えの国はヨーロッパを中心に五指を超えるが次第に収束していき、その波は今後、南米とアフリカを襲うとWHOは予想する。5月末現在で約890人の尊い命が犠牲になっているが、死者数1000人未満の日本は、まさに奇妙な?成功と、欧米各国から奇妙な評価をされている。むしろ日本から見れば、各国の死者数の多さには言葉を失う。

何が異なって、何故こんなに結果が異なったのかの検証結果は、まだ待たねばならないが、日本国民の衛生意識の高さが一因であるのは間違いがないだろう。ただ、このような時に政権を任されている人々に、どれほどの危機感と責任がのしかかっているかの、想像力は持ちたいと思う。今は、この凶暴なウイルスをあなどることなく、経済再生への道を進むことが求められる。 

4月、5月の二か月で、人の生活形態そのものが激変し、同時に企業側も自粛体制の中、大きく業績が落ち込んだ。新たな流通経済による新たな需要は認められるものの、絶対的経済の不振は免れない。今後の経済体制そのものの変化は避けられないだろう。かといって、じっと動かないでいるわけにもいかない。そこで新たな需要開拓の種々対策が、巷間に満ちてくる。供給側も、国内生産を増やしサプライチェーンの多様化という変化を受け入れざるを得ないが、肝心の需要をどう喚起して増やしていくかがこれからの大きな課題で、それこそが日本の経済体制を変えることになるのだと思う。

繰り返すが、最も重要なのは内需回帰による消費拡大だ。訪日観光客によって売り上げを伸ばしてきた観光業界、百貨店、宿泊業界などを筆頭に、戦略の立て直しが必至であり、そのために国も種々対策でフォローする必要がある。いつくるかもしれない再度の緊急事態に備えて、サプライの国内生産率を上げることの重要性は誰の目にも明らかだ。ここにきてさすがに儲け至上主義の経済界も、内需拡大への方向転換を公言しはじめた。以前にも書いたと思うが、米国経済の強さは、自国でエネルギーをまかなえる絶対的強さと同時に、内需経済のボリュームが寄与している。ここしばらくはコロナ不況の波に苦しむだろうが、この国の回復は早いような気がする。そして日本だ。今後の日本が進むべき道は、まさに内需拡大と取引国の分散化で、国内旅行需要を伸ばす具体的政策や、老舗への存続補助政策、雇用促進対策、などなど、やるべきことは山積している。新システムの導入や関連立法も必要になる。幸い、医療体制の盤石化や国内観光の活況化、雇用支援、サプライチェーン国内回帰への支援などの政策は予定されているようだが、掛け声倒れに終えることなく、着実に、そして何よりスピードをもって実現していってほしいと思う。まずは財務省を抑え込み国債を発行して、大胆な金融政策で市中に莫大なお金を投入すること、品の無いいい方をすれば、お金をばらまくことで経済や人を殺さずに再生させること、これに尽きる。小手先の手当ではなく、発想の大転換が望まれる。                                 2020年6月1日

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 顧客満足の複雑さ137「乗り切るための知恵と覚悟 」

連休明けの新型コロナウイルス感染者数動向が、日本の未来を決めそうな気配になってきた。まさに正念場といえる。日本全体で二ケタ台前半までに収まっていれば、ひとまずは緊急事態宣言は中止されるだろうし、三ケタを超える状態が続いているとなると、緊急事態を解くことは到底かなわない。その間の微妙な数の場合は、政府としては決断に悩むことだろう。宣言を伸ばし続けることによる、就労者と企業の疲弊、困窮に配慮しなければならない。ともあれ、結果を左右するのは、国民一人一人の行動にかかっていることに異論はない。 

現在も、無残な数字が日々報告されている。デパートの3月の売り上げ33%ダウンをはじめ、タクシー業界が65%ダウン。中国人向け宿泊施設は売上ゼロに近い。飲食業界もかつてない苦境に立たされている。その中にあって、スーパーマーットの売り上げは0.8%の微増となったらしい。高級品を扱うデパートが打撃を受け、生鮮品を初め日用品を扱うスーパーが好調なのは当然のことだ。有事の際にはとにかく基本的生活保持に必要な分野、例えばインフラ、物流、生鮮日用品、ガソリンなどが安定供給され、病院関連がスムーズに動くことが必至となる。一方、娯楽をつかさどる落語や高級レストラン、スポーツなどは平時にあってこそ活き活きと息づく分野なので、今は大変な状況下にあるだろう。人が動くことで商売が成立するホテル宿泊業界や旅行業界への打撃も想像を超える。著名な祭りも次々と中止が発表された。 

そんな中、有名なミシュラン星獲得のレストランオーナーが、この状態が続けばすぐれた食文化が死に絶えると公的な支援を訴えていた。訪問したことは無いが、予約が取りにくいと評判の超高級フレンチレストランだ。来客数ゼロが続いているという。一方、同ランクのある高級レストランでは、2月の時点でいち早くリッチ弁当の宅配を始めた。家庭で高級レストランの味をおせち風弁当で楽しんでください、というわけだ。予想以上の需要があるという。あるタクシー会社は高齢者の買い物代行を急遽始めた。売り上げの一助にはなっているらしい。また、アルコール製造に多くの酒造メーカーが名乗りをあげた。マスクしかりである。とにかく求められるべきはスピード性だ。一日も早い収束が、背後に迫りくる景気低下の幅を和らげる。コロナ禍は実に様々な分野を凌駕している。だからこそ、各企業や店の知恵と、国民一人一人の覚悟が大切になる。収束後の種々の楽しみを頭に浮かべながら、乗り切りたい。

2020年5月1日

 

 

 

 

 

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 顧客満足の複雑さ136「危機下で見える様々な現象 」

    顧客満足の複雑さ136「危機下で見える様々な現象」

今は何を言っても、コロナウイルスがらみになるのは致し方ない。それほどに獰猛なウイルスだと思う。蔓延しやすいところを狙って、仲間を増やしていく。日本では外出禁止令が出されていないので、自由な行動が許されているが、欧米の街の様相を見るに、まさしく戒厳令下にある。命を落とした人の多さに胸が痛む。最終的にどれだけの感染者数と死者数を出して終結するのか、だれも明言できない。“はい、これで終わりにしましょう”と、手打ちをすることもできない。そういう厄介な状況の中でも、人間の叡智やしたたかさを見ることもできる。 

国際放送で知ったのだが、英国のジン酒造メーカーでは、パブ閉鎖による消費低迷を受けて、ジン製造機械を使って消毒液を製造しだした。今や需要に追いつけないほどのフル稼働状態らしい。ジンも消毒液も大差無い、という発想か。また、ドイツのダイソンは急遽、人口呼吸器の販売に乗り出した。充分な製造技術を持っているのだ。米国でもフォードが、週に10万個の防護マスク製造に着手した。いずれも臨機応変の知恵をそこに見て、頼もしさを感じた。多分、日本でも各メーカーなどが、今出来ることを模索していて、現実に知恵を出していると思うのだが、そういう元気の出る情報は流れず、聞こえてくるのは恨み節が多い。これはメディアの責任が大きい。神戸牛やズワイガニなどの超高級食材が値下がりしたと嘆くニュースなどは興味も湧かない。需要と供給のバランスが崩れただけのことだ。またオール中国人需要のホテルがガラガラ状態であるのも、気の毒ではあるが今はどうしようもない。またTOTOが中国工場の閉鎖でトイレを作れなくなったとか、ビックカメラからパソコンが消えたとか、情けない話ばかりだ。いずれも中国頼りのサプライチェーンの入荷停止によるものらしい。 

いずれ、コロナウイルスも必ず終息はする。しなくてもワクチンや治療薬が開発される。それまでは知恵を出しつくす努力も必要になる。幸い、大都会以外で患者数が一ケタ台の自治体も日本では数多くある。移動手段さえ注意すれば、そして自分自身の健康状態の安定を確認できれば、加えて予算があればのことだが、のんびりと観光地で長期間を過ごす手もある。宿泊施設も誘致するプランを練ってほしい。飲食店も店自ら、キャパシテイの半分以下の客しか入れない方針で、安全性を打ち出す必要もある。こんな時でもインフラが安定しているのは、大きな恩恵でもある。自宅にこもるのがベストかもしれないが、メディアも文句や不平不満ばかりの情報をたれ流すのではなく、希望や知恵を発信する役割もある。が、今の日本のメディアでは無理なのかもしれない。

2020年4月1日

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 顧客満足の複雑さ135「利用者側に立ったシミュレーションを 」

    顧客満足の複雑さ135「利用者側に立ったシミュレーションを」

先の見通しが立たない状態というのは、健康にも悪い。それがコロナウイルス感染騒動だろう。世界で感染が広がる中、英国船籍、米国運営会社のクルーズ船をめぐる日本の対応への批判などを言っている場合か、といささかしらけてしまうが、ここにきてかすかな光がみえてきた。新型インフルエンザ治療薬アビガン」の患者への投与を始めたと厚労省が発表した。新型コロナウイルスのような「RNAウイルス」の増殖を抑える効果が期待できるという。富士フイルムが開発したらしい。ほとんどの人が免疫を持たない新型インフルエンザの発生に備えて約200万人分が備蓄されている。実際に効果があるかどうかは確定できないが、朗報には違いない。服用の結果、重症化を防ぐ効果が確認されれば、まずは大きな関門を突破できる。世界に貢献できることを祈りたい。 

さて、先般、同エリアで二か所の宿泊施設を利用する機会があったが、宿泊費は二倍近くの差異があった。片やビジネスホテル系、一方はシティホテル系といったところか。いずれもツインタイプで寝心地は遜色がない。寝具、パジャマ、ベッドの広さにこれといった違いは無い。大きく異なるのは水回りだった。ビジネス系は言わずもがなオールインタイプで、シティ系は洗面台とトイレ、浴室の三種がそのまま横並びのセパレートタイプだった。価格の二倍差は、まさに広さからくる水回りの構造差に尽きるということか。ただ浴室利用の場合、シティ系は脱衣場所が無く、廊下で入浴する準備をせねばならない。むしろビジネス系の方が使いやすい、といった皮肉の一言も出そうになる。せっかくの広さがありながら、使う側に立ってのシミュレーションが不足している結果だと思える。独立型トイレはともかくも、浴室は洗面所と行き来できるタイプにしておくと、そこで脱衣もしやすいし、入浴後も便利だ。そのホテルでは入浴後は廊下で体を拭き、着衣するという極めて妙な具合だった。 

今まで、かなりの宿泊施設を利用したが、まさに前述の如く、実際の使い勝手に感心するほどの満足を感じたことは少ない。どこか、使いにくいことがある。思えばそれらはすべて、シミュレーション不足に尽きるといっても過言ではない。想像力の欠如と言い換えても良い。先のビジネス系のように絶対的狭さからくるオールインタイプはまだ許せるが、せっかくの広さを持ちながら、その広さを快適さにつなげ得ないシティ系の方が知恵が無い。鏡にしても、洗面台だけではなく、部屋のデスクにもある程度のものがほしい。化粧などに時間がかかる女性が洗面台を独占せずに済む。またグラス類があまりにもお粗末なところが多い、というか、用意されていない。結局、部屋で楽しむビールや水割りなどは、洗面台にあるプラスティックのコップで飲むはめになる。盗難防止なのか、破損を恐れてのことなのか、いずれにしてもそこにゆとり感は感じられない。今後益々、快適な住空間が増えていく中、プロともいえる宿泊施設が提供する贅沢感、ゆとり感は、まだまだ追い求めるべき課題は多い。

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 顧客満足の複雑さ134「非常時における日本の国力と伝統回帰 」

    顧客満足の複雑さ134「非常時における日本の国力と伝統回帰」 

特定国の減少はあっても、中国人訪日客の圧倒的人数で、訪日観光客数はむしろ増加している現状に、関係者の安堵する顔が見られた矢先の衝撃だった。いわずもがな、中国発のコロナウイルス騒動だ。極めて深刻な状況がすぐに解決するとは思えないが、一日でも早く、終息に向かうことを願わずにおられない。1月27日の中国当局による海外への団体旅行禁止などの出国制限の前に、すでに多くの中国人観光客が訪日し、相応の春節効果はあったものと思われるが、問題はその後だ。海外からの観光客増加による経済効果は今や多大なものがある一方、他国の事情で大きくその効果が影響を受ける。何も観光産業だけではなく、経済そのものが他国事情に大きく影響されるのはどの国も同様だろうが、その振れ幅を出来るだけ小さくするには、やはり自国が圧倒的かつ絶対的優勢を保てる資源と技術を持っているかどうかにかかっている。日本はどうなのだろうか。心配になってきた。こういう有事の際には、国力がすべてを左右する。

インバウンドで客室90%以上を占めるホテルがある一方で、国内客中心の宿泊施設もある。地域性が大きくかかわっているが、客層はある程度の多様性に満ちている方が、経営上安全に決まっている。自社にとっての黄金バランスを見極め、それに近づける工夫と経営手腕が問われる。外国人観光客だけに対象を絞ったビジネスが、将来にわたって盤石であり続ける保証などありはしない。まだ自国民のみで経営が成り立つなら、それを良しとする方が安全性は高い。大阪の心斎橋筋の両脇を固める店舗群は、見る限り7割以上がインバウンド用の店に替わった。老舗が軒を連ねていた昔の面影はない。中国人客が姿を消した場合、一体、心斎橋はどうなるのか?予想もつかない。

さて、既存のシティホテルに限らず、外資系ホテルでも、最近は和の風情を積極的に取り入れている。これも増加する外国人客向けの異国情緒提供策だとは思うが、率直に歓迎したい。生活そのものが洋風化した中で、和の美の再認識と採用は、日本文化のルネッサンスともいうべき位置づけもできる。外国人客のみならず日本人客も、周辺で失われた日本の伝統美を、そこで味わうことが出来る。一昔前はホテルといえば、各家庭には無い豪華さと洋風美があこがれの対象だったが、今や自宅の方が便利で快適という人は山ほどいる。水回り然り、寝具然り、インテリア然り。結構、高級な施設でも、どこか使い勝手が悪いものだ。となると雰囲気で勝負となるが、インテリアの豪華さだけでは飽きる。その面でも一流のホテルが、静謐ともいうべき日本の伝統美を取り入れた品格ある雰囲気造りに熱心であるのは、繰り返すが、日本文化のルネッサンスだと胸を張ればよい。

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 顧客満足の複雑さ133「観光産業国内消費増大の為に 」

     顧客満足の複雑さ133「観光産業国内消費増大の為に」 

あけましておめでとうございます。昨年は大型台風が日本を続いて襲い、甚大な被害が出ましたが、台風統計からみれば上陸数並びに大型度合いは平年を突出してはおらず、被害の大小は上陸したエリアの地形や住宅密集度も影響するということでしょうか。統計が取られ始めた1951年から2019年までで、上陸数が最も多いのは鹿児島県の41件で、高知26件、和歌山24件と続きます。いずれも山間地区が比較的多く、また台風への警戒度も高いことによる被害のくい止めも多少は考えられます。いずれにしても、いつどこにでも災害は襲ってくることを肝に銘じるべきですが、それがなかなかに難しい。ともあれ、今年は穏やかな年であってほしいものです。 

さて、日本の観光業において、訪日観光客数の増加は特定国の減少はあっても、集客増加を目指す意味では、まだまだ伸びしろがあるとみていい。ただ観光消費額をみると、2016年度の総額26.4兆円のうち、約21.4兆円が国内消費、つまり日本人による日本国内観光の消費額であり、大きな部分を占めているのだ。日本人による海外旅行消費額が1.4兆円。そして観光政策として力を入れている訪日旅行客の消費額は3.6兆円であった。しかし2018年度の国内消費額は約20.5兆円と4%ダウンとなった。一方、訪日観光客消費額は4.5兆円と急増したものの国内の消費減少を埋めるには充分ではない。となるといかに国内消費を高めるかの政策により力を入れてほしいと率直に思ってしまう。国内観光消費の減少は、少子高齢化が免罪符となりそうだが、本当にそれでいいのだろうか。果たして、国内観光消費を増やすための現実的な政策に、力を入れているのだろうか。 

国内観光消費をあげる最も有効的な対策は、旅行しやすい土壌を作ることだ。一泊泊二食型から二泊以上の長期滞在型旅行の推進は、確実に消費額を押し上げる。そのためには、まず休日のあり方の抜本的見直しが必至となる。ただ祝日をやみくもに増やしても、大きな成果は得られない。一定の日に一定の客が集中して押し寄せるだけで、年間を通じての底上げにはならない。休日法を作り、大型連休の各企業分散化を図るとともに、有給長期休暇の推進とそれに伴っての補助金、長期滞在型宿泊施設の増加など、すぐにでも手掛けるべき課題は山積している。いくら国が連休を増やしても、旅行業者や宿泊施設が瞬間的に儲かるだけで、持続した消費を約束できないのが現実だ。今の観光対策は古い。インバウンドの増加も喜ばしいことではあるが、その前に国民による消費減少を止めることの方が重要なのは明白だといえる。次に、清潔で無駄をそぎ落とした、安価な宿泊施設の進出が望まれる。一泊二食に3万円以上支払える層の増加も勿論望ましいが、連泊型旅行をサポートする新たな施設の登場が必要だ。サービスの省略化でサービス人員を可能な限り減らすことで労働生産性を上げ、一泊1万円以下を実現するのは可能だ。また居酒屋形式の食事処を併設することで、連泊対応可能なバラエティ豊かな食環境を整える。若者向けに施設に自炊機能を持たせる方法もある。とにもかくにも、休日のあり方の見直しと共に、廉価で充分に利益が出るビジネスモデルの構築が求められよう。

        

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 顧客満足の複雑さ132「集中需要より分散需要」

      顧客満足の複雑さ132「集中需要より分散需要」

忘年会シーズンの到来は、祝休日と同じ意味合いで、歓迎しにくい人もいるだろう。理由としては、期間中の市場価格の高騰並びに需要増加による不便さだが、まずは需要増加があって、それが高騰を呼び寄せるという、切っても切れない因果関係がある。11月中旬以降からシーズンが始まり、クリスマス後に終息するのが常で、外食業界の12月の売り上げは毎年、前年比を上回り順調に増えており、この時期のさすがの需要力を見せつけているが、身近な市場では、風景が若干変化しつつあるようにみえる。飲食店の予約が取りやすくなっているのだ。 

最近のある新聞の調査で、興味深い結果が出ていた。働く人達へのアンケート調査で、会社関連の忘年会は何回が良いか、という問いに1回が52%、0回が36.3%で、約9割の人が、1回以下が望ましいと答えた。かける時間も2時間が2.3%、1時間半が17.5%と、7割の人が2時間以内が適当とし、3時間派は2%に過ぎなかった。この結果は、会社への帰属心のドライさゆえと、とらえていいのか迷うところだ。これが、プライベートの忘年会だと、2時間が38.3%、2.5時間が18.8%、3時間派も18.3%と健闘している。この状況は、飲食店にとってはあまり有難くはない。多人数が短時間で利用してくれる会社関連の会は、席効率も良く回転率も高く稼ぎどころなのに、減少傾向にあるという。それが前述の予約が取りやすくなった、という現実に結びつく。小人数利用者にとっては歓迎すべき状況になってきたというべきか。 

数年前に友人と、ささやかな忘年会をした際、入店すると同時に2時間制と告げられ、1時間30分を過ぎたころには、ラストオーダーを催促され、5分前には精算をうながされるという、何ともあわただしい経験をした。その店は今年は2時間制を取っていないらしい。2時間制にこだわると、個人客は他店に逃げてしまうということだろう。一方、需要増加による価格高騰と予約の取りにくさは、宿泊業界での年末年始、特に31日から1日にかけては歴然と残っている。製造業では需要が増えれば量産することで対応可能だが、宿泊施設は部屋数は一定なので、需要が集中すればするほど、価格高騰に結びつくことになる。高くても売れる、という構図だが、需要集中日が年末年始に限られる、という弱さがある。会社関連の忘年会需要も飲食店と同様に減少傾向にあり、かつてのゴールデンシーズンの勢いは無い。年末年始だけで一年分を稼げれば問題は無いが、やはり一年中、浮き沈みなく集客できるのが望ましい。外から与えられるハイシーズンに頼った商売の危うさを直視し、オフシーズンを安定したオンシーズンへと変えるための知恵や努力が望まれる。地域あげての戦略も必要だが、自店自ら、魅力を創り出すことで季節を問わず集客することは充分に可能だ。飲食店の場合は、クリスマス前の一週間ほどは、多くの店が平常の3割増し以上の値付けの特別コースを組むが、果たして望むべき需要があるのかどうか疑わしい限りだ。それより、むしろこの時期には店から平常価格プラスアルファーのサービスが受けられる、というサプライズの方が余程、客の心を掴めると思うのだが。

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 顧客満足の複雑さ131「広報の意義と実行」

      顧客満足の複雑さ131「広報の意義と実行」 

ある程度の規模を備える企業なら、業種業態を問わず広報部門があって、対外の関係者および不特定多数に向けて自社のPR業務を行っている。広報とは“一般に広く知らせること”を原則としながら、目的は自社のファン作りであり、社内の一丸化である。各社によって、具体的実施方法の差異はあるが大体が似通った広報活動となっている。宿泊業界や飲食店業界も同様である。ただ、それが成功しているかどうかの判断は難しく、直接売り上げに即、結びつくものもあれば、効果に時間がかかる活動もあり、一概にこの方法が正しい、と言えるものでもない。広報活動が似通ったものになる所以でもある。しかし、情報化社会において、広報の意義は大きく、決してないがしろに考えてはならないと思う。そして、中小企業ほど広報が必要なのに、実際に力を入れているのは、大体が大企業ないし有名企業という現状がある。

広報というと、部門を作り専門人員で組織化し経費もかける、との認識から、中小企業ではとてもそこまで手が回らない、との反論がありそうだが、多種多様な広報活動は大小にかかわらず企業にとって必須であるという意識の転換が必要だろう。まず自社・自店の存在を知ってもらい、何をどのように売っているのか、そこにどのような魅力が付加されているのかを知らしめずして、どんな将来図を描けるのだろう。一般消費者向けのビジネスではなくても、チャンスは意外なところからやってくるものだ。一人一人の背景には、また異なる人がいて、さらに異なる環境が広がっていく。一例として、車での移動中、前の車の後部や側面に会社名が記載されているのを良く目にする。社用車だろうが、会社名のみなので一体何の商売をしているのか分からないケースが殆どだ。もしそこに、取扱い商品や何のビジネスかが分かる見やすい文面があれば、頭の一隅に残る。ひょっとすると探している分野かもしれないし、知人が関連している分野かもしれない。ひとりの人間はひとりではないのだ。広告の場を自ら閉ざしているようなもので、車体広告費が発生してもテレビなどとはまた異なる効果も期待できよう。

有名企業であろうと、広報活動を怠ると必ずしっぺ返しは来る。人は忘れやすいし、自社名は思うほど浸透してもいない。あるテレビ番組で、出演している芸能人の名前を街の人に尋ねる、という企画があった。大物芸人と自負していそうな出演者たちが正確な芸名を呼んでもらえずに次々と討ち死に?していた。世間とはそんなものなのだ。ショック度が大きすぎたせいなのかは不明だが、その番組企画はすぐに姿を消した。広報の真髄は、謙虚さと一生懸命さに尽きる。繰り返し自社・自店を思い出してもらう、という活動は無駄に見えても、ボディブローのように効いてくる。最近、自宅近隣の飲食店が閉店した。割烹か小料理店の店構えで、気にはなっていたのだが、とうとう行かずじまいだった。その店からの広告パンフなどは届いたことはなかった。閉店の理由が定かではないので決めつけることはできないが、徒歩圏内にある住民に対して何の熱意もPRもなかったのは確かだ。経費をさほどかけずに実施出来る広報はいくらでもある。やってみることの大切さが広報の意義と、言えなくもない。                         2019年11月1日

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 顧客満足の複雑さ130「接客の形の変化と不変」

   顧客満足の複雑さ130「接客の形の変化と不変」 

時折ランチで利用する二つの飲食店が、タッチパネル式での注文に変わっていた。今までも、良く利用する回転寿司店ではタッチパネル式オーダーが主流だったので、別段、驚愕することもないのだが、この傾向はどの業種業態にまで浸透していくのか、興味をそそられた。店側の目的は、人手不足に対応するための接客時間の減少とオーダー受けミスの減少の両方取りなのだろうが、タッチパネルでの取り扱いに戸惑いを隠せない客への操作説明にスタッフがつきっきりの場面があちらこちらで見受けられた。客が慣れるまで相当の時間がかかりそうだが、いずれスムーズに当たり前の形として、この店では機械相手の注文が日常化していくのだろう。そこでどれだけの人手不足解消効果等が出るのか、実数として知りたい気はする。

コンビニエンスストアでは、24時間営業の是非が問題化しているが、一部の店では実験的に夜間無人化営業に踏み切ったという。入店するには何通りかの方法があり、客はどれかを選んで入店し、買物をして、自動レジで支払を済ませる。これも慣れない客の不平の声も聞かれているが、次第に、本当に深夜に買い物をしたい客だけが上手に利用していくのだろう。人間は慣れてくるものだ。機械相手の接客は今に始まったことでもなく、銀行のATMの歴史は古いし、駅の改札自動化も当初は画期的なものだった。無人化対象が広がっていくという流れは、社会構造の変化からみても止むことはないと思われる。その内、銀行の窓口が姿を消し、コンビニも昼間であっても、自動レジ化が進むのは充分に考えられる。

そうなると、未来に見えるのは縮小社会に他ならない。人口が少なくなれば機械ができる仕事は機械にまかせるのは当然の帰結で、その傾向は一層加速していくに違いない。いささか無味乾燥的な社会を連想してしまうが、都会は相変わらず人であふれ、人に酔うほどだ。利用者とサービス提供者の数的バランスが崩れ始めているのかもしれない。縮小社会への予感は、色々なところで見られる。もう今以上に、人口が増える時代はやってこないと覚悟すべきであって、そうなると売り上げを増やすのは困難で、経費削減に注力した方が得策だ、ということになる。その状態は悪いことばかりでもない。すさまじいまでのフードロスも見直しが進んでいる。一例だが、作りすぎて毎年売れ残り在庫を廃棄せざる得なかったXmasケーキを完全予約制に移行した店もある。これも一種の縮小経済だ。ただいつの時代でも、交流が大きな魅力となり、武器ともなっている業種業態は歴然と存在する。何十年も地域に根差している喫茶店や飲食店、そして人が安らぎと気分転換を満たしに訪れる宿泊施設などは一線を越えての無人化は難しい。刻々と変化していく社会で、接客の形も変化せざるを得ないが、不変性をどこにどうやって残していくのかの見極めが、ことさらに重要になってくる時代が来ようとしている。                       2019年10月1日

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 顧客満足の複雑さ129「リスク管理が重要」

      顧客満足の複雑さ129「リスク管理が重要」

すこぶる好調に推移していた韓国人訪日観光客が激減しているらしい。言うまでもなく日韓関係悪化が原因だが、日本の受け入れ側業者の中には、危機的状態と憂う声が聞かれる。今まで何もせずとも、旅行業者が送り込んでくれていた顧客がばったりと途絶えたら、それはやはり商売あがったりで死活問題には違いないが、今のところ、7月単体で7.6%減で、約56万人の韓国人観光客が訪日している。日本から韓国への月平均観光客数25万人前後と比べても、倍近い。ただ今後の減少は加速すると見る向きもある。それでなくても、韓国経済そのものの悪化は以前から指摘されており、訪日客数は今回のように極端ではなくても、徐々に減少していっただろうと思われる。

ビジネスは甘くはない。いつなんどき、上顧客を失うことがあっても不思議ではないのだ。そんな例は、飲食店をはじめ枚挙にいとまはない。そのようなときにビジネスの危機を最小限にとどめるのは、日ごろからのリスク管理に他ならない。ある特定の顧客層に頼りすぎないこと。これに尽きる。大阪の中心地に、目立つ看板で有名なカニの飲食店がある。自身も数年前までは、年に何度か訪問していたが、今は行かなくなった。中国と韓国からの観光客で店は占められ、日本人客が入る余地は無い、という噂が広がったからだ。事実、店の前を通ると、エントランスは観光客であふれ、日本人ならちょっと二の足を踏むだろう。これからもこの店は、外国人観光客だけで、充分に儲けられるのだろうか。 

違う例もある。市内で何軒か飲食店を経営している知人は、外国人客の受け入れは店のキャパシティーの2割以下に抑えている、という。外国人団体客の申し込みは激増しているが、どんな時でも、つまり空席が多い時でも、2割以下に限定していると。でないと、本来の日本人客が来なくなってしまうからだという。客同士、国籍を超えて仲良くグローバルに楽しめばいいのに、と性善説的な呑気なことを言えるのは、店の未来には責任のひとかけらも無い人達だ。知人の方策は賢明だと思う。リスクの分散はビジネスの基本であって、それを怠ったがために撤去を余儀なくされた例はいくらでもある。旅行業者が送り込む団体客に頼り切っていた巨大旅館は、ことごとくつぶれた。個人客の開拓などする気も起らないほどに、大量の団体客でうるおった時期は、それほど長くは続かなかったということだ。 

韓国人観光客の減少は、地方の施設にとっては辛いものだと思う。もともと日本人客でうるおっていたわけでもなかったのが、ここ2~3年、吃驚するほどの外国人観光客が来てくれて、ほっと一息ついた矢先のことで混乱状態にあるだろう。ただこういうことは、いつでも起こりうる。リスク管理の重要性は、時代を超えて、また業種業態を超えて不変であって、今からでも異なる販路拡大に経営者自ら走り回る覚悟で臨めば、また道は思いがけない形で開けるものと信じたい。 

                   2019年9月1日

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