食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第167回】 食環境の現状(146)(無断キャンセルの予防)

col_g_pic.gif

食文化の豆知識167 食文化の現状146(無断キャンセルの予防)  

予約客の当日無断キャンセル・ノーショーは、ホテルや航空会社にとって頭の痛い災厄ですが、現実にもっとも無断キャンセルが多いのは飲食店で、予約客全体の1%にのぼるともいわれています。特にグループ予約の無断キャンセルは、売り上げを圧迫し店に大きなダメージを与えます。食材のロスや席の無価値化など、被害の大きさは計り知れません。店側の当事者になってその場面を想像すると、胃が痛くなってしまいそうです。飲食店の無断キャンセルが増えたのは、ネット予約が一般化したことも理由のひとつでしょう。声が聞けない、顔が見えない状況での予約は、あくまで機械的で責任感を持ちにくいのかもしれません。経験から言えば、店に直接に電話して人数やら料理の相談をしたうえでの予約は、そこから店とのつながりが出来るように思います。だから何らかの変更もまた、必ず連絡を入れる。何故なら、予約時の声が記憶に残り、その声の主を裏切ることの罪深さを感じるからです。大げさではなく、人と人との関係はそういうものではないでしょうか。

無断キャンセルによるロス対策としては、キャンセル料の徴収や食材の有効利用、または保険での充当まで出てきました。ただいずれも手間とストレスがついてきます。やはり無断キャンセルをあらかじめ阻止するのが一番です。あくまで個人的な意見ですが、思い切ってネット予約は受け付けないことです。もしくはネット予約時には店側から電話確認を入れて初めて予約成立の形をとるようにするのも一策です。また4名以上の場合の予約はネットであれ電話であれ、当日の前日までに最終確認の電話を入れてもらうことを義務づけるのです。そのくらいの要望はしていいと思います。お客様は神様ではないのです。これは、正式なビジネス取引なのです。店側は客に相応の料理とサービスを提供し、利用者はそれに対してお金を支払う。これが取引で無くて、何が取引だというのでしょう。突発的な事故・事件による不可抗力な無断キャンセルもあり得るので一方的に弾劾はできませんが、飲食店で増えている現実を踏まえると、予防策は念入りに講じすぎるくらいで、ちょうどいいように思います。

      食生活アドバイザー 間島万梨子

 

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第166回】 食環境の現状(145)(災害への対応の発想)

col_g_pic.gif

食文化の豆知識166 食文化の現状145(災害への対応の発想) 

今年も、災害が日本を襲いました。昨年は主に西日本が地震や豪雨や猛烈台風に見舞われましたが、今年は東日本に上陸した台風による大雨で、多くの河川が氾濫し、多数の尊い命が失われました。関西に住んでいる身としては、昨年の台風21号は記憶に残るすさまじさでしたが、その前の西日本豪雨では100名を超える方々が犠牲になりました。そして今年。東日本への台風19号などの上陸がもたらした被害は甚大におよび、まだまだ復旧は完全ではありません。巨大地震はもちろん致命的な被害をもたらしますが、山国日本では、豪雨による川の氾濫・決壊が人命を奪ってしまうケースが、とても多いように思います。 

この河川の氾濫を完全に防ぐのは不可能なのでしょうか。勿論、危険度の高さに応じて、どの川も防災工事を施し、氾濫予防に努めていますが、予想をはるかに超える雨量によって水位が急上昇し、氾濫にいたってしまう。このような被害が繰り返し発生しているのが現状で、となると抜本的に発想を変えるしかないでしょう。河川から数キロ範囲内には住宅を構えない、というシステムです。狭い日本なのでそれは無理、と諦めないで、モデル地区を作ってみることです。河川近くから数キロの緩衝地帯に徐々に斜度をつけ、その先の住宅地で20メートル程度の高さに及べば、まずは水害は免れます。勿論、数値的な精査は必要ですが、要はやる気があるかどうかです。日本では業者優先の傾向があり、鉄道でも河川でも、ほんの至近距離で宅地開発が進みます。JR福知山線脱線事故も、仮定の話になりますが、電車が突っ込んだあのマンションが無ければ、被害はより少なかったかもしれません。あのマンションはどう見てもカーブする線路から近すぎる場所にありました。

狭い日本。でも人口は減っていきいます。住宅も余ってくる。被害者救済は勿論必要ですが、被害の減少への投資に目をむける発想を持てば、住む場所の選定の規則もそろそろ必要になってくるような気がします。数十年以上、もしくは百年以上の成果期待になりますが、災害は揺るぎがないほどに、間違いなく、そして繰り返し襲ってきます。東日本大震災での津波被害地区の再生形は、大きな悲しみを抱えながらも、来る日本のモデル都市になるでしょうか。

            食生活アドバイザー 間島万梨子

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第165回】 食環境の現状(144)(度を過ぎる親切さ)

col_g_pic.gif

食文化の豆知識165 食文化の現状144(度を過ぎる親切さ)  

何らかの理由で日本に来たいと切望する外国人を、日本に招くTV番組があります。現地で日本に興味ある人を募って、その中からひとりに来てもらい、日本での数日間を追うという、いわばドキュメント番組なのですが、日本に来たい理由が千差万別で、興味をそそられる内容のときもあります、ただ単に日本の文化が好きというだけの人もあれば、実際に日本のある分野に精通して本物を知りたいという勉強家もいて、やはり番組的には後者の方が充実感はあります。日本人よりも日本のある分野に詳しい人もおり、その殆どがネットを通じて知識を深めたと言います。あらためてネットの威力に感心することしきりです。日本での滞在中、本人が来たい理由に関わりのある日本人が、さらなる知識や技術を本人に伝授して交友を深めるという構成になっており、最後は決まって涙の別れが待っています。

 その中で必ず登場するのが、受け入れ側の日本人が家族ともども、本人を夕食に招く場面です。双方、食卓を囲んでなごやかに歓談する情景はなかなかに見ていても楽しいのですが、決まって精一杯の心づくしの豪華な料理が並びます。食卓いっぱいに、お母さんの数々の手作り料理やお寿司の大皿などが供され、いくらテレビカメラが入るとはいえ、準備に大変だったろうなと思ってしまいます。客を食事に招く場合の国民性が出ているのでしょう。欧米であれば、フレンドリーさはあっても料理はかなりシンプルだし、アジアなどでも4~5種類の料理が殆どです。日本はこれでもか、というおもてなしが満ち溢れた賑やかな食卓で、招かれた外国人の吃驚する顔が見られます。それと、これもパターン化された場面なのですが、別れの時にお土産が交換されます。本人からは国のワインかお菓子類が一般的で、一見してささやかな可愛い土産品です。ところが、日本側からは、本人が日本に行きたい理由となった技術や芸術に関連する貴重なグッズが決まって送られる。それも買えば数万円する逸品が殆どで、あるとき、立派なお琴が送られた時には吃驚しました。本人の驚きようも尋常ではありませんでした。安いものでも20万円ほどで、100万円を超すものもあり、送られたものは一見して高価なものでした。たぶん、本人の住む本国ではあり得ないプレゼントなのでしょう。 

そこで、少し複雑な気分になりました。果たしてそれらがプレゼントとして適切であったのかと。送る方の勝手だろう、と言われればそれまでですが、受け取り側にとって身に余る接待や土産が本当に、その人のためになるのだろうかと。確かに送る側の勝手です。気持ちが込められているのでしょう。でも相応というバランス感覚がそこには見られませんでした。日本に立ち込めている、”おもてなし”が、度を過ぎたものになっては双方にとって、良い結果を生むとはどうしても思えません。そんな余計なことを考えてしまいました。

   10月13日  食生活アドバイザー 間島万梨子

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第164回】 食環境の現状(143)(値上げラッシュは恐ろしい?)

col_g_pic.gif

食文化の豆知識164 食文化の現状143(値上げラッシュは恐ろしい?) 

今春から、値上げラッシュが続いています。主なものでは、ペットボトル商品です。コカ・コーラ、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サントリー食品、伊藤園etc、大手飲料会社が、大型ペットボトルの値上げに踏み切りました。いきなりの値上げには吃驚しました。揃って一律20円アップ。まるで申し合わせたような状況です。理由もほぼ同じです。原材料費の高騰、人手不足による人件費の高騰、物流費(輸送費)の高騰の三つです。皆で値上げすれば恐くない、というところでしょうか。他にも乳製品や調味料の値上げも目立ちます。理由はほぼ同じ。こうなると、ハイパーインフレが起こるのではないかという恐怖心が出てきますが、どう考えても日本では起こらないのではないでしょうか。そもそもハイパーインフレの元は供給不足です。今はむしろ供給過剰状態です。戦後のように生産設備が大打撃を受けるとか、ある一つの産業のみで国の経済を支えている場合の不振の結果として自国通貨そのものが世界的信用を無くすとかであれば、可能性はありますが、今の日本ではまずは現実味は少ないでしょう。つまり、モノの量が壊滅的に不足しない限りハイパーインフレは起こしたくても起こりません。緩やかなインフレは起こり得ますが。 

然しながら、身近の食品が揃って値上げに踏み切るとなると、家計への影響は大きい。自衛?が必要になってくるでしょう。が、しかし、企業の方が危険な状態にあると言えます。値上げの循環で、またまた消費が落ち込む方が経済にとって恐ろしいはずだからです。ペットボトルの値上げへの対抗は、とても簡単。誤解を恐れずに言えば、水道の水を飲める国に住んでいる幸福を思って、水道水を飲むことです。少なくとも、水やお茶程度のペットボトルは、水道水でカバーできるのです。極端な話ですが、これからの値上げラッシュに備える必要があるかもしれません。 

日本の技術力は世界でも群を抜いているとの説があります。真実でしょう。車のガソリンエンジンひとつを取っても、日本のアナログ技術無しでは立ち行かない。で、先進国では電気自動車の開発に躍起になっている、と聞いたことがあります。その他、様々な部品関係でも日本の技術が基礎になっていることが多いのです。でも世界は劇的に変わっていきます。日本も新たな革新技術を開発し、質の高い商品を国として出来るだけ多く抱えていくことが、経済安定の要となるのだと思います。 

2019年 5月18日  食生活アドバイザー 間島万梨子

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第163回】 食環境の現状(142)(飲食店の厳しさと乱立

col_g_pic.gif

食文化の豆知識163 食文化の現状142(飲食店の厳しさと乱立)  

食文化という大きな枠組みの中には、飲食店も含まれます。世界文化遺産になった和食は、料理そのものを指しますが、それらを商売にして成り立っているのが飲食店です。勿論、一口に飲食店といっても、洋食系、中華系、和食系、喫茶軽食系etcと幅広く、様々な業種業態があります。本当に数が多い。遊興地区は飲食店ビルが乱立しており、それぞれに数店舗が入って営業しています。1階や地下1階は、看板やエントランスの工夫で歩行者にアピールしやすいですが、2階以上に入る店は、いわゆるフリ客は期待できず、口コミやリピート客に頼らざるを得ず、かなりの営業努力が問われるでしょう。過酷な競争下にあることは想像できます。 

先日、遊興ビルの10階にある、串焼き店に5名で行きました。人気店と聞いていたので勿論予約の上です。6時30分の入店時には半分ほどの客入りでしたが、すぐに満席状態になり、スタッフから二時間制になっている旨を告げられました。時間制を取る店は避けているので、予約時に言ってもらいたかったと思いましたが、やむを得ません。きっちり二時間で出ましたが、それにしても途切れずに客が入る状態で、出店時にもまだウエイテイング客がいました。で料理は?となるのですが、とにかくボリュームがあって、リーズナブル。これにつきます。飲食店の原点を押えている店でした。客層はやはり若い層です。ゆっくりと歓談を楽しむ、というより、がっつり食べて、さっさとさよならするべき店です。これはこれで、軸のある店だと思いました。 

他国の状態は分かりませんが、日本のように、飲食店が入っているビルがずらりと軒を並べているエリアを数多く持つ国は無いように思います。基本的に、いわゆる飲食店ビルは見かけません。大体が1階に店を構えています。商業ビルはあっても、店子がすべて飲食関係で占められているという飲食店ビルは日本独自のスタイルでしょう。ある意味、すさまじい光景です。毎年、30%以上が入れ替わっていく。出店・閉店のエネルギーを考えると、他にそのエネルギーを生かせないものかと、ふと考えてしまいました。簡単に出店できる飲食店ゆえの淘汰ですが、今後もこういう状態が続いていくのか、それとも全く違った景色に変わるのか、少子高齢化の枠を超えた分析論を、経済の専門家に教えてほしい気分になりました。 

2019年 4月14日  食生活アドバイザー 間島万梨子

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第162回】 食環境の現状(141)(食材のブランド力には努力が要る) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識162 食文化の現状141(食材のブランド力には努力が要る)  

久々に、淡路島に行ってきました。目的は3年トラフグ。従来、養殖フグは2年ほどで出荷されるのに対し、淡路島では3年間養殖に踏み切りました。結果として、2年物に対して大振りに育ったフグが、出荷できます。それは淡路島3年フグとして、1年のロスを回収できるほどのブランド力を持つにいたりました。我慢が産んだ淡路島の立派な観光資源の登場です。この島で生産される玉ねぎも、有力な淡路島ブランドとして、経済に貢献しています。道の駅やマルシェには、玉ねぎそのものは言うに及ばず、ドレッシングやスープ、菓子類、スナックに至るまで、玉ねぎを使用したオリジナル商品が溢れています。観光客に人気の高い商品群です。今や、淡路島玉ねぎは、その味の良さが料理人からも認められる優秀ブランドになりました。これだけにかぎらず、淡路島では、難しいとされたサクラマスの養殖にも成功し、3年フグに次ぐブランド魚になる勢いです。 

その土地ならではの野菜や魚介類、肉類がブランドとして次々に名乗りを上げ、今や、日本中、ブランドもので溢れています。それらすべてが、成功しているわけではありません。ブランド化を確立させるには、それ相応の努力の積み重ねがあることも忘れてはならないでしょう。やはり質的内容が伴わないと、いつか廃れるでしょうし、持続供給力も必至です。値打ちを高めるための数量制限も高度なテクニックを必要とします。そう、努力なしのブランド化はあり得ません。ただそこで採れるものにブランドとしての付加価値をプラスする方法もありますが、やはり育て上げるという努力が無いと、採れなくなれば終わってしまいます。かつての北海道のニシンがいい例です。人気の関サバも豊後水道をサバが通ってくれなければ、供給できません。 

世界に目をやれば、ブランド化された商品や農作物が市場を席巻しています。フランスのシャンパンしかり、イギリスのスコッチウイスキーしかり、ドイツのソーセージしかり。イタリアではピザ、スペインはパエリア。日本に目をやれば、国あげての努力というより、各地域の努力に頼っている感がします。先の淡路島もそうですが、京都などは最も成功しているエリアです。豊かな歴史は勿論ですが、京都ブランドの発信力は感心するほどです。それも努力の賜物に違いないのです。淡路島の3年フグやサクラマス養殖も、実を結ぶまで数年以上かかったと聞きます。ですから、他エリアのブランドをうらやむのではなく、官民あげてのブランド創出の努力で、各地域の人気商品を作ってほしいと思います。

2019年 3月17日  食生活アドバイザー 間島万梨子

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第161回】 食環境の現状(140)(商品のおびただしい多さ) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識161 食文化の現状140(商品のおびただしい多さ)  

また某週刊誌に、この食品が危ない、というテーマで、食品添加物多使用食品一覧が公表されています。読者が注目しそうな題材です。口に入れる食材は、直接的に人体に影響を与えそうで、確かに気を付けねばならないでしょう。その週刊誌を読んでまず驚いたのは、食品添加物の多さよりむしろ、商品の多さでした。見たことも買ったことも無い商品がずらりと並んでいました。例えばパスタソース。スーパーマーケットに陳列されてはいますが、誌面に列記されると、こんなに種類があるんだと吃驚しました。ピザしかり、菓子パンしかり、これほど多くの食品が出回って、果たして望ましい数量が売れているのかと。多分、現れては消え、消えてはまた違う商品が現れるという、繰り返しなのでしょう。加工食品の数の多さと種類の多さは、少し病的にも思えるほどです。それほどに、企業は新製品を開発しなければならないのかと。 

最近ノルウェーに行った人の話が、新聞に載っていました。まず店の少なさ、商品の少なさに驚いたと。ノルウェーはほぼ日本と同じ広さに、約526万人が住んでいます。日本は1億2700万人!消費力が大きく異なるのは当然かもしれません。ただ経済は、産油国なので堅調に推移し、安定しています。店は土日はほとんどが休み、日本のような巨大ショッピングモールなどは見かけないとか。遊興娯楽の提供が極端に少ないが、国民はそれぞれに地味に?生活を楽しんでいる風だ、と記事は語っていました。ある種の憧憬も感じられる文章でした。日本における大量供給と大量消費、どちらが市場をリードしているか、なかなか難しいですが、大量多種類商品供給となると、それは企業側の動きによるものです。醤油でも、お菓子でも、その他加工品でも、買ったことも無い商品が何と多いことでしょう。まさに蕩尽、という言葉が、浮かんできます。それは日用品でも同じです。化粧品、入浴剤、洗髪剤、etc、選ぶ気力も萎えるほどの品揃えです。

期待ほど売れずに、市場から消える商品の行く末は、回収しかありません。一体、どれほどの商品が廃棄されているのか。たしかに、選択が出来る、というのは消費者にとって大きな魅力ですが、足るを知る、への路線に企業と消費者双方ともに、軌道修正していく時期なのかもしれません。人口は確実に減っていきます。経済のあり方も、小さいことから変わっていかざるを得ないのだと思います。

 2019年2月10日  食生活アドバイザー 間島万梨子

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第160回】 食環境の現状(139)(野菜・果物は本当に身近?) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識160 食文化の現状139(野菜・果物は本当に身近?)  

昨年の晩秋から年末年始にかけて穏やかな天候に恵まれたおかげで、ようやく冬野菜が求めやすい価格に落ち着いています。ただ夏場から秋口にかけてあまりに高い価格を見慣れてしまったので、ことさら安く感じるのかもしれません。その中でも、夏野菜は相変わらず驚愕価格です。一本100円の値が付いた、しなしなのきゅうりを見ると、“もう売らなければいいいのに。夏に元気になってまた顔を見せてね“と言いたくもなります。旬の野菜を食べるに限ると言うことでしょうか。

日本に二か月間滞在していた欧米人男性の日常の食生活が新聞で紹介されていましたが、滞在中、野菜と果物は殆ど食べなかったそうです。理由はずばり“高すぎるから”。この言葉は、日本の若年層にもあてはまります。もっとも野菜・果物を食べない層で、厚労省の提唱する、1日350gの野菜・果物摂取量にはるかに届かない層です。マクドナルドでの最安値のハンバーガー・マックダブルなら190円で食べられます。一方、りんご一個が158円、トマト一個が140円。お腹が空いている若い人がどちらを選ぶか、言わずもがなです。この現状を厚労省は農林水産省と協力して、分析~解決すべきでしょう。言うだけならだれでも出来ます。それを可能な状態にもって行ってこその、行政力です。 

事実、先進国の中では、日本人の野菜摂取量はかなり低い水準です。ヘルシーと自慢する和食に野菜が多使用されているかは、答えは簡単には見つかりません。野菜料理は数々あれど、単品で食する習慣が根付いているので、どうしても肉・魚がメイン料理になってしまいます。豪華さを誇る旅館の料理も当然に、肉・魚料理がメインです。また、日本人が大好きな麺料理も使用食材はかなり偏っています。特に外食でのそれには、申し訳程度の野菜しか入っていません。アジアでの麺料理の方が、多くの野菜が入っています。また、煮込み料理の多い諸外国でも、大量の野菜を使用しています。イタリアでは、尋常ならざるトマトの消費量を誇ります。ほかの国でも、安価な野菜をぶちこんだ煮込み料理がとても多い。見映えにはほぼ無関心ながら、確かに栄養はたっぷりのような気がします。なので、家でも野菜摂取が足りないと感じたらクリームシチュウなどを作ります。大量の身近な野菜を使用できるからです。本当に、思い込みと事実の剥離現象は、あちらこちらにころがっています。

 2019年1月13日  食生活アドバイザー 間島万梨子

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第159回】 食環境の現状(138)(日本の伝統) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識159 食文化の現状138(日本の伝統) 

今年もあとわずかですが、24日までは街はクリスマス商戦一色に染まり、25日からは一斉に正月向け商戦に切り替わります。お見事!と掛け声の一つでも掛けたくなるほどの横並び商法です。他と違う商戦でも張ればいいのにと思うほどの同じ風景に、いささか涙ぐましさを感じるほどです。ひと月ほど前はハロウイーンのカボチャだらけだったのに、今は見る影もありません。ま、他国の風習も取り入れて、にぎやかさを好むのは、豊かさの表れかもしれませんが、すでにバレンタインデイの売り出しが始まっているのを見ると、うんざり感が出てきます。そのうち全世界のお祭りが、日本で祝われるようになるかもしれません。意味も分からずに。と同時に、街には全世界の言語による案内音声が響き渡る。ちょっとした悪夢です。 

気を取りなおして、お正月です。昔のように儀式にのっとる用意はできませんが、しめ飾りが、邪気を払い内を清浄な状態にする意味があると知れば、何があっても28日には玄関外に飾らせていただきます。鏡餅も歳神さまを迎える供え物と聞けば、ささやかに飾って感謝の気持ちを表したい。日頃より、信心とは程遠い生活をしていますが、年初元旦を迎えるときぐらいは、日本人の伝統を少しでも守っていきたいと、思っています。それは、昔から伝わる心の伝承であり、誇りある日本の儀式でもあります。きちんとした、いわれがあるからです。おせち料理も元旦だけはいただきたい。今は贅沢になって、三日と続けて同じものを食べるのは苦痛なので、二日目からは普通の食事に戻るという、いい加減な心構えですが、とにもかくにも、元旦だけはくわいや数の子をいただきます。 

フランスは訪問したことも無く、馴染の無い国ですがかなり自意識の強い国民性を持っているように感じます。その強さは参考にすべきことも多い。なぜか自国の文化や言語、伝統に確固たる自信を持っており、それが鼻持ちならないときもありますが、すべてに?謙虚で優しい日本人は、少しは見習うべきかもしれません。サービス精神旺盛で、おもてなし精神を惜しげもなくアピールすることもいいのですが、したたかさと、ほんの少しの傲慢さも、日本人にあってもいい。そんなことを考えざるを得ないほど浮かれすぎた日本が見えてきます。民族の真の誇りとは何か、を教育してこなかった国の危うさを、このごろ感じることが多くなりました。思い過ごしであることを祈りつつ、来年は穏やかな年でありますように。

   2018年12月23日  食生活アドバイザー 間島万梨子

カテゴリー: 食文化の豆知識 |

【第158回】 食環境の現状(137)(国内消費と人口比) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識158 食文化の現状137(国内消費と人口比)  

気候が落ち着いても、トマトやきゅうり、白菜などの葉物は高値安定のままです。昨年のことはすっかりと忘れていますが、野菜類がこれほど高かったという記憶はありません。それほど台風の影響がすさまじかったのでしょうか。この価格に慣れてしまうのも怖い気がします。ガソリン価格と同様に、こんなものか、の諦めは家計に重くのしかかり、ひいては内需の縮小につながります。 

なんやかやと大騒ぎなのにアメリカの経済が強いのは、内需が強いこと。つまり国民の消費力が旺盛なのです。一方、日本はなかなか内需が拡大しない。それは将来を見越して消費に慎重になっているのか、日本人の性格からなのか、理由がはっきりしません。アルバイト代も上がっているし、給料も順調に伸びているのに、何故、国内消費が伸びないのでしょう。日本独特の労働生産性の低さは、GDPの数値には結びつきますが、消費の増減には直接、かかわりは無いはずです。なのに、いつまで待っても、国内消費が思うように伸びません。株価は3年前と比べて倍近くになっているというのに。度重なる災害が、財布のひもを固くし、娯楽を慎む方向へ誘導したとするなら、本当に切ないことです。飲食店などへの影響も少なくないでしょう。 

もしかすると、消費の伸びの鈍化は、年齢人口比がその一因なのかもしれません。だとするならばここは悠然と構えて、数十年後を待つ?という政策もありかなと。二十年も待てば、経済状況は必ず変わります。人口が減っても日本は大丈夫。人口比も変わるからです。隅々にまでよく整った国だと思います。なのでこの良さを保ち続けてほしいものです。日本国民が健全でいる限り、この国はだめにはならない。今、何かと騒がしい出入国管理法改正案の内容を熟知もせずに、こんなのんびりとした考えでいいのかなとも思いますが、世界を見て、お手本になる国が見当たらないのだから、日本は日本のままでいてほしいものです。

      11月22日 間島万梨子 食生活アドバイザー

カテゴリー: 食文化の豆知識 |