食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第78回】 食環境の現状(57)

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食文化の豆知識 78 [食文化の現状57]

新年を迎えました。どのようなことがあっても、時は流れ、一年が過ぎていきます。

そしてやはり一年の節目は、生活の区切りとして、頭を垂れて来るべき一年の平安を祈る

のは自然の摂理なのでしょう。そうやって、私たちは人生を積み重ねてきたのだと思いま

す。初詣に繰り出す人々のひとりひとりに、それぞれの願いや祈り、ひいては感謝の思い

や鎮魂があると思えば、自ずと謙虚な気持ちに成らざるを得ません。我が願い等、何ほど

のことかと。神様も大変お忙しい時期でしょうに。

 

さて、昨年のテレビで、短期1年ほどで寿司職人を養成する寿司アカデミーを紹介してい

ました。海外での日本の寿司人気を受けて、日本で技術を習得して海外で寿司店を出店を

希望する多くの外国人も技術を学んでいました。歓迎すべき現象です。寿司は何と言って

も生魚を扱うため、正しい衛生管理が必至です。握り方の技術とともに、徹底した衛生管

理を習得して、海外の寿司店で生かしてほしい。日本では、保健所の指導や法律のかいあ

ってか、寿司店での食中毒はかなり少ないはずです。新聞紙上をにぎわす食中毒の元は大

体が弁当店か仕出し屋、宴会料理、団体料理などで、単独のフレンチレストランやイタリ

アレストラン、寿司店などは極端に少ない。やはり作ったものをすぐに食べて頂くスタ

イルが、安全に結びつくのかもしれません。

 

海外での寿司店は、日本人以外の経営が多いと聞きます。職人もしかり。そういう環境の

中で、ひとりでも実際に日本で技術や衛生管理を学んだ職人が増えていくのは、寿司にと

っても朗報です。というのは、海外旅行の際、頸をかしげたくなる経験を私もしているか

らです。ある国で食べた日本料理は、これは日本人が作っていないな、と明らかに分かる
しろものでした。日本料理の基本がまるでなっていない。器しかり、食材しかり。外国の

人が食べて、これが日本料理か、と思われるのはいやだな、と感じました。また、ある店

では、寿司を握る職人がボロボロの布巾を使っているのが丸見えでした。布巾というより

雑巾で、まな板や手を拭いている。私たちは固まりました。日本ではあり得ない。そこそ

こに店を出ました。寿
司が外国で進化を遂げるのは避けられません。裏巻きやカリフォル

ニアロールなど、そのアイデアに感心する寿司もあります。日本に逆輸入しているものも

あります。でも、基本は守ってほしい。

 

食の宝庫・日本。こんなにバラエティ豊かに食を楽しめる国は無い、と個人的に思ってい

ます。技術しかり、食材しかり。またレストランのレベルの高さしかり。接客のきめ細か

さしかり。これからも世界に誇る食の文化を、守っていきたいものです。

 

              24年1月3日  間島万梨子  食生活アドバイザー  

 

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【第77回】 食環境の現状(56)

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食文化の豆知識  77 [食環境の現状56]

 

野菜の価格が安くなりました。気候のなせる恵みでしょうか。温暖ゆえに収穫高が増え

たのに、需要つまり購買高が少ない故の価格下落らしいのです。大根や白菜の需要が伸

びないのは、暖かい日が多くて鍋料理が恋しくならないせいともいわれています。鍋料

理大好き我が家では、暑かろうと寒かろうと、年中鍋ものが頻繁に食卓に登場しますの

で、大根や白菜、キャベツが安く手に入るのは、本当にうれしい限りです。でも気にな

ったのが、その安価をマイナス症状としてとらえているテレビ報道です。生産農家の方

たちの窮状を訴える内容でした。ちょっと待って欲しい。ほんの少し前まで白菜は一個

が800円ほどもしていましたし、大根も一本300円ほどで店頭に並んでいました。

まるで高級野菜の価格です。それを見て、ため息をついたものです。随分と長い期間、

白菜が高騰していましたので、ずっとキャベツで代替していました。キャベツもとても

鍋になじんで美味しく、材料に困りはしなかったのですが、やはり白菜には白菜の旨み

があるので、今は喜んで買っています。

 

以前から不思議に思っていたのですが、コメの価格は行政の介入によって調整されるの

に、何故野菜の価格は乱高下するのかと。逆に言えば、何故コメだけが守られているの

かと。野菜は気象条件によって価格が大きく揺れるのは理解できます。少ししか収穫

出来なければ高くなり、大量に収穫すれば安くなる。それに前述のように、消費者の

購買傾向も影響します。となると、誤解を怖れずに言えば、これも一種のギャンブル

といえなくもない。要は、需要と供給のバランスによる商売の成否、ということでしょ

う。どの商売にも通じる鉄則です。でも野菜はその鉄則からはずしてほしい。なぜなら

野菜は、日常に欠かせないからです。肉は牛肉、豚肉、鶏肉から選べます。魚も色々な

種類から好みと予算で選べますが、大根の代わりはないのです。白菜しかり、キャベツ

しかり、ジャガイモしかりです。是非、野菜にもコメのように価格安定の調整力を付加

してほしい。行政が価格保証をすればいいのです。日常に無くては困る野菜たちが、安

定した価格で店頭に並ぶ日が待ち遠しいものです。

 

23年12月2日  間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第75回】 食環境の現状(54)

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食文化の豆知識  75 [食環境の現状54]

 

原発事故による放射能漏れの影響が、実りの秋を前にした被災地域の生産者の方たちを

苦しめています。今回の放射能の人体に及ぼす有害度合いついては、まさに諸説入り交

じり、決定的な結論には至っていないようです。勿論、数値による危険比較は明らかに

されていますが、そもそも放射能は空中に漂っており、風向きなどによっても大きく

変化するもので、一概にどの地がどうと決めつけるのも少々乱暴のような気がします。

風評被害もあり、食物や木材などの放射濃度に対してもう少し許容度が高くてもいいの

にと思いますが、小さなお子さんをかかえるおうちでは、心配なことでしょう。放射能

の被爆が人体に病巣となって現れるかどうかが分かるのは数十年先のこともあると聞け

ば、なおさらのこと不安になるのも無理ありません。

 

でももう人生の折り返し点を過ぎた私などは、放射能がついているかもしれないといわ

れる食べ物に関してはノープロブレムで、問題とされているその地の肉も野菜もいただ

きたい。野菜はしっかりと洗えば殆ど問題ないといわれていますし、肉も焼けば大丈夫

でしょう。万が一、二十年先に体に変化が起こっても、文句は言いません。その年なら、

亡父の寿命をとっくに通り越していますから、何の不平もありません。などと、馬鹿な

ことを考えていますが、本当にもう少し、許容度を高くして、せっかく収穫した恵みを

欲しい人に有効に行き渡るように配慮して欲しいものです。

 

人体に与える悪影響となると、いまだに使用が許されているタール系着色料の方が余程

私には恐い。和菓子や漬け物の毒々しいまでの鮮やかな赤や黄、緑青の色彩を見るにつ

け、気分が悪くなってしまいます。綺麗に見せるためにやむを得ない、などの言い訳は

聞きたくありません。黄色四号はアレルギー性じんま疹の原因になるともいわれ、黄色

一号は発ガン性を疑われ、多くの欧米各国では使用禁止になっているはずです。

スーパーに並ぶ漬け物の大半には人工着色料が使われています。アミノ酸等の調味料も

常連です。過度なアミノ酸調味料を取ると、痺れや頭痛を起こします。自宅でぬか漬け

や塩だけのあっさり漬けを作るのがベストなのでしょうが、なかなかそこまで手が回り

ません。ですから市販商品の中から納得できるものを選ぶ努力を怠らないようにしたい

ものです。消費者から支持されなくなると、その商品は消えていきます。

 

23年10月3日    間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第74回】 食環境の現状(53)

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食文化の豆知識  74 [食環境の現状53]

 

新聞誌面で、飲食店での食中毒発生の記事をよく目にします。全国レベルからみると

発生率はごくわずかのようですが、記事にならないものも結構あって、油断がなりませ

ん。私自身は幸いにも今まで重篤な食中毒になったことはありません。多分、大多数の

人もそうではないでしょうか。ただここで気を付けたいのは、軽い症状で済んだために

それが食中毒であったと認識しなかった例が多く存在するのではないか、ということで

す。軽い下痢は誰でも経験しています。多少症状が重くても、水を飲んで絶食し静かに

していれば、症状が治まるケースが殆どなので、保健所にはかけこまなかったわけです。

一口に食中毒といっても、食べた量や体調如何によって、随分と症状は異なりますし、

また、原因不明のままに、まあ治ったからいいか、で忘れてしまうものです。

 

ただ、今後もその害から免れるという保証はありません。サルモネラ、腸炎ビブリオな

どの細菌や、ノロウイルスなどのウイルスは、五感を研ぎ澄ましても防げません。汚染

されたものを出された時点でアウトです。残念ながら見極めることは不可能です。

食中毒防止の原則である「つけない、増やさない、殺す」は、家庭内では、実行可能で

しょうが、外食時には客は無防備です。かといって、楽しい外食は止められませんし、

余り神経質になっても、食事が美味しくありません。では最低限、どう注意すればいい

のでしょう。

 

まず、外食の場合は、繁昌している店を選ぶことです。繁昌しているということは、食

材の回りがスムーズで、自然に新鮮な食材が用いられます。お好み焼きひとつにしても、

繁盛している店は、肉もイカも野菜も新鮮で、油やソース、マヨネーズの使用期間が短

いために、中身が劣化することはまずありません。一方、はやっていない店では、調味

料をはじめとする食材の新陳代謝が遅くなり、必然に劣化の可能性も高くなります。

それと、トイレの衛生管理が行き届いているかどうかも、チェック要です。店の衛生管

理姿勢がもろに出るところです。洗浄剤や消毒液の完備や床回りの清掃は最低限の責務

です。またスタッフがやたらに咳をしている店もノーサンキューです。そして注文する

料理は、なるだけシンプルなものがお薦めです。素材を焼く、煮る、揚げるだけのもの。

最近、生魚の取り扱い基準は結構厳しいので、はやっている店の刺身は美味しくいただ

けると思います。

 

いくら注意をしていても、あたることはありますが、やはり生肉を避ける、トイレの汚

い店は避ける。閑古鳥の鳴いている店は避ける、練り物ばかりの料理は避ける、大食は

避ける(これ大切です)など、自己防衛しましょう。

 

23年9月3日    間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第72回】 食環境の現状(51)

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食文化の豆知識  72 [食環境の現状51]

 

関西の食文化を語るに当たって、自分自身の各地での食の印象を振り返ってみました。

出身は大阪ですが、父親の転勤で中学校時代は家族全員で福岡に。京都での大学時代は

両親だけが東京だったため度々その地へ帰省。家庭を持ってからは、はたまた高松や成

田や和歌山へ。そして今はどっぷりと大阪に。まさに流浪の人生でしたが、各地で生活

したおかげで、面白い経験をさせていただきました。特に食は、土地土地での特徴が顕

著に現れるもので、強い記憶となって残っています。

経験した各地を一言で表すなら、福岡は寒くて魚が旨い! 高松は温暖で魚が旨い!

和歌山南紀白浜は暖かくて魚が旨い!そして成田は寒くて魚は(涙)。実際、成田の

スーパーで見かけるのは、タラとブリとサケ。そして秋には秋刀魚。記憶に残るのは

その程度で、好物のメバルもイサギも太刀魚も鯛もカンパチも見たことはありませんで

した。新子が出回る春に、保冷袋を持って新幹線に乗り、大阪の百貨店の食品売り場か

ら新子をゲットしてきたこともあります。ただ成田は住んだ中では、もっとも美しく整

備された街でした。駅前のメインストリートの街路樹がなんと桜なのです。春になれば、

町全体がピンクに華やぎ、それはそれは素敵な風景が広がっていました。今となればと

ても懐かしい。

さて、関西と関東の食の違いはともかく、関西と一口に言っても、またそこにも食の習

慣というか、その土地ならではの特色があるものです。大阪と京都も微妙に外からの評価が異なります。京都の方が評価が高い!京都の料理店は確かに伝統がありますが、現

在のような新鮮な魚介類を初めとする豊富な食材を駆使した料理は、戦後に生まれたも

のだと思います。割烹や板前料理はたしか、大阪発祥だと記憶していますが、今や京都

のブランドに組み込まれています。昔と違って、物流の発展が各地の垣根をはずし、技

の力で自由にすばらしい料理を創りあげることが可能になったのは、大いに歓迎すべき

でしょう。でも、食材自体となると、神戸、大阪にはかなわないはずです。兵庫にはな

んといっても、すべての和牛のルーツたるべく但馬牛がいます。そして瀬戸内海には鯛

やたこ、穴子、いかなご等の海の恵みが。日本海には松葉ガニが。

根が魚好きなもので、寿司店に行ってもマグロには目もくれず近海の白身魚に舌鼓みを

打つ身とあっては、やはりやはり関西の、特に瀬戸内海や大阪湾、ひいては太平洋の

の海の恵みを味わえる幸せをひしひしと感じています。

何だか、お国自慢になってしまいました。反省します。

 

23年7月9日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第71回】 食環境の現状(50)

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食文化の豆知識  71 [食環境の現状50]

 

関西の某大学にて、「関西の食文化」という標題で講義を仰せ付かりました。特別講義

ですので、1時間30分の限られた時間枠で、関西の食文化の歴史や伝統、また関西

二府四県の食材の特徴などの内容を盛り込まなくてはなりません。まさにてんこ盛りの

教材になってしまいましたが、自分自身、あらためて関西の食の素晴らしさを再認識
するいい機会になりました。

 

特に、「コナもん」で片づけられがちな大阪の食の奥深さを若い方たちに発信できたのは、

うれしい限りでした。私もたこ焼きは好きな方ですし、お好み焼も好物の一つですが、

他に一杯、美味しい物がこの地にはあふれています。また、大阪の人は“「コナもん」食

べにいこう”などとは決して言わない。「コナもん」なる呼称が浸透したのは、ほんのこ

こ10年来のような気がします。情報誌やメディアが面白おかしく作り上げ、取り上げ

た陳腐な呼称だと、個人的に思っています。たこ焼きはただのスナックです。目的型の

食ではなく、たまたまそこにあるから食べようか、という範囲内の食で、ナポリのピッ

ツアの奥深いレベルにはほど遠いジャンルに位置付けられるものでしょう。

 

天下の台所と称され、その地での食材などは“下りもの”と尊重された歴史を知るにつ

け、もっと関西の食の素晴らしさが発信されてもいいと切に願っています。瀬戸内海、

太平洋、日本海の何と三海から水揚げされる豊富な魚介類、和牛誕生の地としての但馬。

多湿で温暖な気候ですくすくと育つ野菜類。どれを取っても関西の食は多様性に満ちて

います。そして昆布を主とする出汁文化は、繊細な食材の旨さを十二分に引き出す力を

持っています。清流から産まれた銘酒や豆腐も、豊富な食文化の一角を担っています。

 

これからも、関西の食文化を大局的に検証していきたいと思っています。

 

23年6月1日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第69回】 食環境の現状(48)

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食文化の豆知識  69 [食環境の現状 48]

 

東日本の被災地の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

被害の甚大さに声も失いますが、当地で復興に向けて歩んでおられる方々に深く敬意を

払わずにはおられません。今回の震災は決して他人事ではなく、海に囲まれた日本全国

どこでも起こりうる災害であることを、思い知りました。その意味で、被災地から離れ

た地にあっても痛みの共感が広がっているのは、当然のことなのでしょう。

 

今回の災害では原発異常もあって、食をめぐる市場は大きな変化を見せています。ここ

関西では著しい変化は見られませんが、スーパーからミネラルウォーターは姿を消しま
した。無ければ無いで結構。本当に必要とされる地域に最優先で充足されるべきで、我々

は水道水で充分です。皮肉なことに、いろいろな面で否応なく節約・節電がこの関西で

も進んでいます。僻地ともいうべき我が町でも、恒例のつつじ祭りの中止が決定しまし

た。たかが地元の商工会がこじんまりと開く慎ましい会でも、“祭り”の一字が、人を怯

えさすようです。“このような時に祭りなどしている場合か、不謹慎な”と、後ろ指を指

されるのを恐れての判断なのでしょう。自粛ムードに関しては、諸説異論がありますが、

心は充分に被災地と寄り添いながらも、行動は大人の合理性を保ってもいいのではない

かと思うのです。また都知事の“上野での夜桜見物などもってのほか”という発言をめ

ぐっても意見がかまびすしい。前述と相反するようですが、このご高説に関しては、知

事に賛成です
。毎年映像を通して見る、かの夜桜見物騒ぎには、騒々しいを通りこして、

醜悪さを感じてしまうからです。そういう場面を選んでおもしろおかしく報道するテレ

ビもテレビですが、せめて今年だけは大人しく桜を愛でてください。

 

この欄でも、電力会社のワルクチを度々言っていましたが、まさかこのような形で非難

囂々の嵐にさらされるとは思ってもいませんでした。市場独占メガ企業が持つ官僚体質

が露呈されました。現場で頑張る技術者のみなさんが,めげることなく任務を遂行され

ることを願うばかりです。そして福島の美味しいお米と新鮮な野菜を、たっぷりと味わ

える日が一日も早く訪れますように。それと豊富な魚介類も・・・・是非。

 

23年4月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第68回】 食環境の現状(47)

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食文化の豆知識  68 [食環境の現状 47]

 

高級日本料理店を率いる料理長の奮闘ぶりを密着取材した、テレビ番組を見ました。

いわゆる経営者料理長なので、店に対する思い入れや危機感、また向上心等の高さは

尋常ではなく、また創り上げる数々の料理の見事さに魅入られました。お座敷の調度

品や良く手入れされた庭園も、総合価値を高めています。一度くらいは経験してみたい

と、多分誰もがあこがれる有名店です。ただコース料理のお値段は4万2000円とか。

空を見上げて、ため息一つ、といったところです。何と、強気な姿勢でしょう。

そこである料理長から聞いた話を思い出しました。フレンチシェフでしたが、どのよう

な高級食材を使った料理でも、おおよそ2万円頂ければ、充分に利益は出るものだと。

だからそれ以上の価格設定は、喜んで支払う客の存在の有無にかかっていると。

これには諸説異論もあると思いますが、ものの値段とはそのようなものであるのでしょ

う。支払う人がいると、その価格は立派に成立するのです。たとえ、内容が価格にそぐ

わなくても、です。4万2000円の価値を、その料理とブランド力と環境からみて認

める人はどうぞお支払いになってお楽しみください、でいいのです。

 

ことほどさように、お金の使い方ほど、個々人の相違が出るものは無いように思います。

ただ本来、だれもが同じレベルで支払うべき公共料金が、地域によって大きな差が生じ

ているのは、全く納得がいきません。浮き草の如く、各地を動いた時期がありますが、

住む地の差異をもっとも感じ入ったのは、何と水道料金でした。和歌山県の清流を源と

する地での水道料金は一ヶ月3500円。入居者で平等にシェアする大阪市内マンショ

ンでは一律1500円。汚染された沼を水源とする地では、6500円。そして大阪のはずれである

今の地では、遠く琵琶湖から続く淀川を水源とするためか、普通に使用して一ヶ月9000円! 

毎日の暮らしになくてはならない最たるインフラである水。

それがこんなにも地域によって格差があるのは、何かおかしい。それぞれもっともな
理由を聞かされますが、均一化への努力が全くなされていないことに問題を感じます。

 

ちなみに、20立方㍍使用の場合、全国で一番高い水道料金は1万2600円、一方

もっとも安い地区では840円とか。今や、水道事業はギャンブル的要素をはらみ、

その地の住民を巻き込んで、異常な高騰へ突き進みむ危険性を隠し持っています。

手を打つなら早いほうがいい。すべての水道業者が杜撰だとは思いませんが、住民が

要らないからといって拒否出来ない、命の根元たる水の安定価格提供は、国の政策とし

て管理されるべきではないでしょうか。

 

23年3月6日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第66回】 食環境の現状(45)

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食文化の豆知識  66 [食環境の現状 45]

 

クリスマス商戦から始まった歳末の喧噪が終わったかと思えば、早くも百貨店やスーパ

ーマーケットの初売りの声が鳴り響いています。その逞しさと熱心さには、正直頭が下

がります。正月といっても休んでなどおられない、といったところでしょうか。

 

初詣に出掛けた2日、好天気に恵まれたこともあって、それほどメジャーな神社でもな

いのに駐車場まで長い渋滞の列ができていました。やっとのこと神社で新年の参拝を済

ませた頃には昼どきとなっており、お腹が空いてきました。で、車を少し走らせた場所

にある回転寿司店に入りました。幸いにも営業している風でしたし、なかなかに美味し

い寿司を食べさせてくれるので、ときどき利用していた店です。12時を少し回ってい

たのですが、カウンターが少々空いており、我々3人はスムーズに席に座ることができ

ました。中の従業員たちは元気が良く、とても活気に満ちています。寿司もさらにバー

ジョンアップしたような印象で、幸せな気持ちでいただきました。驚いたのは、私たち

が入店してすぐに、お客がどんどん入ってきて、またたく間にウエイティング客であふ

れかえったことです。少しの時間差で席を取れてラッキーでした。満足して店を出る頃

には、40分待ちの案内が出ていました。回転寿司といっても激安価格では無い店で、

新年2日でこの状況です。この分なら、今年もこの店は大丈夫でしょう。ほっとすると

同時に、不況といっても他国から見れば日本はまだまだ強いのかもしれないと、少し安

心感を覚えた次第です。

 

そう言えば、年末に訪れた店はどこもお客で賑わっていました。どの店も、気持ちがい

い接客で、まさにホスピタリティがあふれていました。幸運としか言いようがない。

でも考えてみると、一度訪問して、少しでも不満が残った店には行かないのですから

(この店はダメだと自分で結論づけた店には、二度とは行きません。妥協はしません)、

行きたい店は、残った数少ない店?なので、相性が良く楽しめるということです。当然

といえば当然なのですね。二度と行かなくなった店には、同じ特長があります。料理に

ばらつきがあり(日によって出来不出来が顕著)、店で働く人が元気でないことです。

客に喜んでもらいたい、という思いが全く伝わってこない。そんな店が結構あるのです。

つまり経営姿勢が信用できない。多くは客数がじり貧になっているようです。結局、ほ

かのお客さんも支持していない。自分の選択眼が特別でもなんでもないことに気づき、

安心するかたわら、少し謙虚にもなりました。

 

23年1月3日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第65回】 食環境の現状(44)

 

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 食文化の豆知識  65 [食環境の現状 44]

 酷暑を原因とする野菜の価格高騰が、今でも続いています。一部には、以前の価格に落

ち着いたものもありますが、多くは高め推移のままに12月に突入しました。まだ不作

なのでしょうか。野菜の価格は、家計にもろに響きます。毎日、口に入れるものが、不

安定に値動きすべきではないのです。米の価格安定には、ことさらに熱心な行政が、こ

の野菜高騰に対して何の政策も成し得ないことに、驚きを感じます。一体、どこがデフ

レなのでしょう。

以前にも述べましたが、光熱費、医療費、そして野菜価格の高さは、何に起因するので

しょう。つまり消費者が節約しにくい分野は、ちっとも低くなっていない。低価格化に

あえいでいるのは、服飾や家電、外食関連に偏っているような気がします。気の毒に思

えるほどです。何かオカシイ。

百円ショップの品揃えには圧倒されます。近くの百円ショップも大改装され、二倍以上

の商品規模になりました。中にはそれほど値打ち感の無い品もありますが、よく百円で

売っているものだと、驚愕する商品が並んでいます。でもそこには、電気は売っていな

いし、薬もありません。生鮮品も無い。製造メーカーが血の出るような努力で、百均シ
ョップに出せる商品を開発している中で、高め推移が当然のような顔をしてまかり通っ

ている業界があるのです。超高級ホテルがあってもいいのです。一人二万円のフレンチ

レストランがあってもいい。何十万円のバッグがあってもいい。それらは欲しい人だけ

が購入すればいいからです。でも光熱・医療・ひいては教育関連にかかる費用は、欲し

くないから要らない、というわけにはいかないのです。人間生活の根幹にかかわるもの

こそ、安価で供給されなければならないのでは
ないでしょうか。

デフレといっても、多分市井の人々の生活が楽になっているわけではないのでしょう。

これから厳寒を迎え光熱費はいやが上にもあがります。風邪をひく人も増えます。病院

に行く時間の無い人は、薬を買ってしのぐことでしょうが、その高さには驚かされます。

ジェネリック医薬品は、もっと市場に出てきてほしいものです。

 

22年12月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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