食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第106回】 食環境の現状(85)

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食文化の豆知識 106 [食文化の現状85]

 

やはりというか、当然というか、昨年秋から新聞をはじめとするメディアが大

騒ぎで連日取り上げた食材偽装事件は、今や関連記事を目にし、耳にすること

が極端に減少しました。誰一人として病気にもならず、ただ、だまされた、ケ

シカランの攻撃は早々と収束してしまいました。偽装のほとんどが企業側から

の報告に基づいていたのも、さらなる攻撃を免れた遠因かもしれません。そう、

正直に?申告したのを受けて大騒ぎになったのですから。逆に、この事件は日

本人の正直さが皮肉にも発端となったと言えば、また攻撃されるでしょうか。

 

とはいっても、一連の食材偽装は、日常にどこでも起こり得る問題なのだということを、

消費者が認識できたのは重要なことです。自由経済社会においては

モノを売ることでお金が回り、市場が活性化し、景気を刺激し、企業が儲かり、

給料が上がり、よりモノが売れるという循環がうまく機能するのが理想です。

すべての景気の礎はモノが売れることなのです。だから、どの企業も総力を挙

げて自社のモノを売ろうと努力するのであって、その方法が法に触れると犯罪

になりますが、ぎりぎりOKというケースも数多くみられます。誇大広告、も

どき商品、内容のごまかしのみならず、劣悪商品としか言えないモノが堂々と

売られています。しかし、それらの中に輝く逸品を見つけることもあるのです

 

先日、うす口醤油を購入する際、いつも買っている商品が品切れなのか見当た

りませんでした。一応、特選醤油で余分な添加物も入っておらず、気に入って

いるものです。やむなく、棚に超特選の文字が記されたうす口醤油があったの

で、それを購入しました。価格は確か、1,3倍ほどで、それほど値嵩感はあ

りません。ひと月は保つので、考えれば安いものです。ヒガシマルの超特選う

す口醤油です。これは素晴らしい味と香りを持っていました。ほんの少しで、

料理の味に締りが出るのです。まさに日本の醤油でした。いつもより大切に使

うので、損はしないでしょう。

 

探せば、なかなかに良品も多いものです。飲食店もそうかもしれません。そう

いう良心的なモノは、消費者の支持だけが頼りです。キョロキョロとして、そ

んなモノをみつけるのも楽しいかしれません。

 

        平成26年5月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第105回】 食環境の現状(84)

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食文化の豆知識 105 [食文化の現状84]

 

野菜摂取の重要性が広まり、飲食店でも野菜を主役にしたメニューが出てきました。

もちろん、以前からサラダや香の物、野菜の煮つけなどの料理を提供しているところは
多く
ありましたが、あくまで肉や魚が主役の座をとっていました。今でもフレンチや

イタリアンのメインディッシュは、牛肉や豚肉、鶏肉、それに魚介類であることに
変わりはありませんが、
前菜に関しては、野菜のみを使用したメニューが目につきます。
多種多様の野菜を彩りよく皿の
上に、まるで絵を描くようにあしらった1品は、
まず目を奪い、そして体に優しく入ってきます。
メニュー名も「森の中の野菜」
「野菜フレンチ」「野菜のカーニバル」などなど、アピール力も強い。

 

野菜は決して添え物ではないことに、飲食店、特にフレンチやイタリアンレストラン
が気づき、
洒落た美しいひと皿を生み出しています。生より、むしろ蒸したり、
焼いたり、ゆでたりと、調理法
もバラエティに富んでいます。下手をすると、
和食のほうが野菜料理が少ないケースもあり
ます。寿司は大好物ですが、
野菜物はなかなか取りにくいですし、旅館の料理も魚などに
特化して、野菜量が
少ないと感じる場合が多々あります。以前訪れた料理旅館も、新鮮な
カニや魚が
これでもかと供されましたが、野菜はというと小鍋に入れる少々の白菜とねぎだけで、

アンバランスさは否めませんでした。

 

各家庭でも、野菜料理は2,3品は用意したいところですが、手間がかかって大変だ
という声を
聞きます。多種類が必要だし、調理法もさまざまだし、費用もかか
ります。そうなのです、野菜
料理は、手間もお金もかかるのです。だから、という
わけでもありませんが、食品業界はぜひ
安価で、安全な国産野菜食材を工夫した
半調理品を開発してほしい。今も目にしますが、
大体が外国産であったり、
べたつき感が残ったりと、満足度は高くありません。これからどんな
高品質野菜
半調理品が出てくるか、期待したいものです。

                

          食生活アドバイザー 間島 万梨子  2014年4月6日

 

 

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【第104回】 食環境の現状(83)

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食文化の豆知識 104 [食文化の現状83]

最近は日本でも、禁煙限定の店が増えてきました。今、飲食店はスモーキングに関して三

種に分けられます。店内タバコオールOKの店。分煙式を取っている店。それと全席禁煙

の店です。また、昼夜で別のシステムの店もあって、ランチ時間に限って禁煙、という店

にも出会います。それはランチは客の回転率を高めたいので、タバコをのんびりと吸われ

ると困る、といった理由も無くはないと思われます。分煙式はきちんと換気システムを構

築しないと、煙が流れてくる場合もあります。

 

やはり日本でも大きな流れは、店内禁煙に向かっているのでしょうか。10年以上も前で

すが、タバコを吸っていた身としては、少々複雑な思いもあります。でも、タバコOK

店は入るとすぐに分かります。タバコ臭が漂っているからです。ビジネスホテルでも、禁

煙ルームが空いてなく、やむなく喫煙ルームになることがありますが、部屋全体が臭くて

眠れませんでした。吸っていたときは何とも無かったのに、いやはや勝手なものです。

 

居酒屋やバーを禁煙にするのは難しいでしょう。紫煙の全く漂っていないバーはバーじゃ

ない?愛煙家の言葉が聞こえるようです。仕事のあとの一杯を楽しむ居酒屋も、タバコOK

の店が殆どです。一方、新しい商業施設のレストラン街は終日禁煙の店が目立ちます。そ

の代わりというか、フロアーには、喫煙場所が設けられています。レストランに限らず、

電車のホームからも灰皿が消えました。飛行機は今や、すべて禁煙です。

 

ファミリーレストランのロイヤルホストが、実験的に全席禁煙の店を広げているようです。

禁煙にして後の一ヶ月で30%減った売り上げが、三ヶ月でもどり、その後は禁煙前を5%

ほど上回るそうです。客層も女性や家族連れに変わり、客単価もあがったとか。これはチ

ェーン店の中の成功例のひとつでしょう。ただ今まで喫煙OKだった飲食店が禁煙に踏み

切るのは容易いことではありません。でも新しく出店した店は分煙か禁煙のケースが多く

なり、徐々に店内禁煙の店が占める割合が増えるものと思われます。時代は逆行しないも

のです。

              平成26年3月9日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第103回】 食環境の現状(82)

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食文化の豆知識 103 [食文化の現状82]

 

日本上陸を果たしたアメリカ発のローストビーフ店が、着実に日本のファンを獲得してい

るようです。2008年出店の大阪店に3年ほど前に訪問しました。こんがりとロースト

された大きな固まりのプライムリブがテーブルに運ばれ、好みの焼き加減の部位を目の前

で切り分けてくれます。心憎い演出です。大きさもあらかじめ選べるので、とても便利で

あったのを覚えています。大きさは確か4段階ほどあって、その場全員がもっとも小ポー

ションのものを選びました。か細い女性達ではなかったのですが、お腹一杯になりました。

興味深かったのは、その小ポーションは本土では選択肢にないということでした。アメリ

カの顧客にとっては余りにも小さいからです。経営サイドはなかなかに賢明でした。日本

人の消化力?レベルをあらかじめリサーチした上で、本土には無いポーションを加えたの

でしょう。それは正解でした。いわゆる日本サイズ・大阪サイズというものです。

 

この地域性を考慮した提供方法は、値段にも表れます。東京で絶大な人気を誇るレストラ

ンも、大阪初出店の際には大阪価格、つまりリーズナブル価格のコースを新たに加えたと

聞きます。大阪のお客さんは価格にシビアであると。これも正解だったと思います。

先日、訪問した際には、そのリーズナブル価格のコースを頂きました。価格と内容のバラ

ンスは取れていました。それでも最終支払い額は1人1万円強でした。より高いコースは

その上に3種類あって、勿論、それらをオーダーする人もおられるはずですが、少なくと

も同行の皆が、いくら有名なレストランでも、一回の食事料金としてはこれで十分との認

識を共有したような気がします。ただ価値観は各自、微妙なものなので、違う考えの人も

いたかもしれません。

 

食事量といえば、クルーズツアーにも差異が顕著に表れます。最近、豪華クルーズを紹介

するテレビ番組が多くあり、船の巨大さや内装の豪華さ、またツアーの魅力に感心しなが

ら観ているのですが、船籍によって最も違いが出るのが、船内で提供される食事であるよ

うな気がします。つまり同じ航路を曳航する豪華客船でも、日本国籍の船の場合は、とて

も繊細な料理構造になっています。コース料理
でも、1品1品のポーションが少なめです。

これが外国船だと、まさに圧倒的なボリュームを誇る内容となります。多分、日本人客は

食べきれない場合が多いと思われます。それらをぺろりと完食される。全くもって食事量

では日本人は太刀打ちできません。最近、大食いを競う番組があり、特に華奢な日本女性

の見事な食べっぷりを見せて、それはそれで楽しいのですが、やはり日本人は他国と比べ

ると食が細い。でも結果としては、長寿国であり、食文化もハイレベルです。全体的に体

型もスマート傾向です。さて、どちらがベターか。次々に料理を美味しそうに平らげてい

く外国の、特に欧米の人達を見ていると、なかなか簡単には答えは出そうにありません。

                26年2月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第101回】 食環境の現状(80)

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食文化の豆知識 101 [食文化の現状80]

在阪大手ホテル・レストランチェーン下でのレストラン群に端を発した、メニュー偽装表

示問題は、他ホテルや百貨店のテナントレストラン・食品物販店にまで広がってきました。

こうなると、書く方も読む方も、そして観る方も、既視感疲れ状態です。かつての毒餃子

事件のように気の毒な犠牲者が出たわけでもなく、ただただケシカランではないか、レベ

ルでおさまりつつあります。あとは、食を提供する各企業側の徹底した自浄作業とすべて

のメニュー表示見直し、ひいては行政による適切な法整備へと向かうことになるでしょう。

振り返ってみると、今回の食材偽装・虚偽表示は殆どが、企業側の自己告知でした。とな

ると、明らかになったのは氷山の一角ではないだろうかの疑いも残る事件です。多分、半

永久的にどこかで続けられる事象なのかもしれません。それを防ぐ意味でも再発防止のた

めのしっかりとした法律が望まれます。

 

これら事件報道がやや下火になる頃に、忘年会シーズンがやってきました。街に出れば多

くのレストランは客であふれかえっています。個人的にはあまりホテル内レストランは利

用しませんが(値段だけがやけに張るように思えて)、虚偽表示があったレストランもそこ

そこ集客していることでしょう。もう偽装はないだろうとの期待も、利用者側にあるはず

です。個人的にあまり利用しないと書きましたが、ホテル内レストランにあこがれを持っ

た時期もありました。何と言っても、雰囲気の良さや接客レベルの高さが素敵でしたし、

洗練された料理も何より魅力でした。しかし、街場に個性的でハイレベルな店がどんどん

生まれ出すと、逆にホテルレストランが平凡に思われ出したのです。街場の店の方がだん

ぜん、リーズナブルで楽しくて美味しいと。今でもその思いは変わりませんが、ホテルレ

ストランを利用する人の気持ちもよく分かります。まず立地が分かりやすい、安心できる、

雰囲気がそこそこ豪華、料理にハズレがない、などなど。そうなのです。すこしは値が張

っても、リッチで優雅な非日常の雰囲気を味わえて、安心できることが、ホテルレストラ

ン利用に至る大きな理由なのだと思います。その思いを裏切った罪を、やはり深く反省し

てもらわねばなりません。街場の店が同じことをして発覚すると、閉店に追い込まれる可

能性大なのですから。< /span>

 

先日、友人と街場の日本料理店でささやかな忘年会をしました。5500円で丁寧な和食

コースを味わえるので、たまに利用しているのですが、時期的にも満席状態でした。1品

1品美味しくいただきましたが、お品書きに、車海老の野菜巻き揚げ、の記載が目に飛び

込んできました。可愛らしい女性のスタッフに、「本物の車海老?」と聞くのはやめました。

本物ならうれしいし、偽表示でも許せるかな、と思ったからです。優しすぎる消費者かも

しれません。

              25年12月8日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第100回】 食環境の現状(79)

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食文化の豆知識 100 [食文化の現状79]

ホテルレストランが大変なことになっています。在阪大手ホテルチェーン系列のレストラ

ン群で、メニューの誤表示や食材偽装問題が発覚してより、他ホテル系列下でも同じよう

な事象が次々と公表されだしました。新聞でも連日大きく取り上げられています。以前訪

問して気に入っていた奈良の旅館も、食材偽装が行われていたのは大きな衝撃でした。

接客をはじめとても質の高い印象が残った旅館なので、今後の誠意ある対応で顧客の信頼

を回復してほしいと願っています。今回のメニュー表示騒動は、明らかな食材偽装、例え

ばブラジル産鶏肉を国産と表示したとか、豪州産成形肉を和牛と表示したとかのケースは、

景品表示法で何らかの罰則が加えられるでしょうが、そのほかの、料理の価値を高めんと

つけられた大仰な形容詞は具体的に罪には問えないのが現状です。

 

ただ、どの業界でも、誇大表示はまかり通っているものです。その商品の効能・効果は話

し半分と理解しておいた方が賢明です。それが自由競争市場主義の宿命ともいえるでしょ

う。どこも何とか自社の商品を売りたい。結果として誇大な宣伝文句となるケースです。

前述しましたように、悪質な場合は景品表示法違反に問われます。特に医薬品や健康食品

は薬事法で厳しく取り締まられています。一般的に、外食業でのあやふやな表示に関して

は以前から指摘されていました。今回の騒動を受けて、飲食店のメニュー表示に関連する

より厳しい法律が成立するかもしれません。メニュー名如何がその料理の売れ方に影響を

与えるのが現実なので、どこも客の目を惹く魅力的なメニュー名を付けたがる。昔から通

用しているマーケティング戦略の一環です。それが度を超したというか、歯止めが利かな

くなったことが、今回の事件を引き起こしたのでしょう。

 

多分、今後大手ホテルレストランをはじめ、有名旅館などでは、具体的な食材を表した

メニュー名が著しく減る可能性があります。海老なら海老だけ。魚なら魚だけ、という風

にネーミングしておけば、全く法律には触れないわけですから。でも、味気がなくなるで

しょうし、注文する気も失せるというもので、ならば本物を出すことです。本物の和牛、本物の車海老、芝海老、本物の絞りたてジュースを、きちんと出せばいいのです。それが

本物の商売というものです。

              25年11月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第99回】 食環境の現状(78)

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食文化の豆知識 99 [食文化の現状78]

実際に外国に行かなくても、その国の人々の食生活はテレビなどでかいまみることが出来

ます。紀行番組の中で、住民の方々の昼食や夕食の場面があると、目が離せなくなります。

所変わればの最たるもので、食事はお国柄を表す大きな要素だからです。今や、日本でも

外国産の食材はそろっていますし、百貨店などでも各種輸入品が手に入る時代ですが、

どのような食生活を送っているのかを見るのは楽しいものです。

 

アジアは家庭食というより、屋台や飲食店での食事場面が多く、それもとても楽しそうで

す。家で作るより安価で美味しいとくれば、外で食べるのが便利に決まっています。主婦

も大助かりでしょう。料理もバラエテイに富んで、パンチが効いているものが多い印象を

受けます。野菜も多く使用されていて、栄養的にも良さそうです。毎日同じものを食べて

も飽きないようです。

 

一方、イタリアなどの紹介番組では、家庭での食事場面が多く見られます。ランチは大体

がパスタ。オリーブオイルとバターをたっぷりと使って、ダイナミックに作られたパスタ

は、見ていても喉が鳴りそうです。でもメニューはシンプル。あとは水かワイン。サラダ

がついているケースもあまり見られません。ディナーはさすがに肉などのメイン料理がま

ずあって、やはりパスタがあり、必ずワインが添えられています。でもせいぜいが2品か

3品。ただボリュームは日本の比ではないようです。豊かにテーブルに用意されている。

野菜はトマトと玉葱、きのこ類がたっぷりと使われています。毎日、昼はパスタ、が

ごく一般的なようです。

 

ひるがえって我が国は、まさに百花繚乱の食生活です。昼はそば、夜は中華、の日もあれ

ば、昼は洋食、夜は魚の塩焼き和食、または昼はラーメン、夜は焼き肉。昼はパスタ、夜

はコロッケ、ってのもありそうです。本当に毎日、色々な料理を楽しんでいる。同じもの

を毎日食べ続けるという習慣はあまり、ありません。ご飯は毎日食べても、おかずは和洋

中と変化をつけている人が多いでしょう。結果として、色々な食材が必要になりますし、

料理を作る側も大変です。シンプルで美味しい料理を毎日、同じように食べている生活が

少しだけ、うらやましくなりました。日本はやはり、ちょっと贅沢なのかもしれません。

 

              25年10月7日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第97回】 食環境の現状(76)

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食文化の豆知識 97 [食文化の現状76]

 

日本の農業については、食料自給率の低さとも関連して、そのあり方に関して否定的な意

見や危機意識などの声が聞かれます。農業に携わっている親しい知人や親戚がいないせい

もあって、実際の農家の現状はよく分かっていないのですが、労働集約型の厳しい生業な

のだろうなという印象があります。事実、農作物を育てる努力は大変だと思いますし、高

齢化や後継者不足問題も抱えておられるところも多いようです。TPP(環太平洋パートナ

ーシップ協定)交渉参加に農協が強行に反対しているのも、今の日本の農業が盤石な経営

下にないということの表れなのでしょう。どうすれば、若い人達がこぞって参加したがる

ような、夢のある成長産業へ向かうことができるのか、なかなか解決策が見えてきません。

 

しかし、このような方法もあるのだなと感心して観たテレビ番組がありました。

ある地の農家が協力し合って、いわゆるファームを結成し、大成功をおさめているという

内容でした。そこでは早々に株式会社化して、農産物の生育だけではなく、直売所は言う

までもなく、冷凍化やレストラン経営などの多角経営にチャレンジしていました。従来の

農協を介したシステムではなく、生産者と消費者を直に結ぶ、製造・サービス業として機

能しているのです。驚いたのは、スーパーなどの購入依頼を受けてから、その野菜の種を

蒔いて育てる方法でした。無駄がないとはこのことです。必ず、あらかじめ契約した金額

で売れるのですから、事業としての効率性は高いわけです。そのファームの若いリーダー

TPP参加にも前向きな姿勢で、海外にも売り込みを図っていきたい旨を述べていました。

何とも頼もしい限りでした。

 

弱い日本の農家、というイメージはいつだれが作ったのでしょうか。昔から農家の人々は

逞しく、パワフルです。また、意欲的な農業従事者も増えてきたように思います。だから

行政は、そんな元気な農業関係者が増えるように方策を練るべきであって、保護ばかりを

考えている間は日本の農家の未来はありません。誤解を怖れずにいえば、強く育てること、

強いところをもっと強くすること、が大切なのでしょう。強くなる芽があるかどうかを見

極めて、そこにどんなサポートが必要なのかをスピーディーに判断して実行する。

政府や行政がすべきことは、まさにその適切な助力に尽きるといっても過言ではありませ

ん。保護や救済も勿論必要ですが、力を育ててこそ、将来大きな花を咲かせるというもの

でしょう。

           25年8月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第96回】 食環境の現状(75)

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食文化の豆知識 96 [食文化の現状75]

 

先日テレビで、極寒の地に住む人々の生活を追った番組がありました。長い冬は零下20

度が当たり前に続く苛酷な地にあって、懸命に生きる姿には心を打たれました。暑がり寒

がりの勝手ものの我が身を深く反省した次第です。そこでは、トナカイが非常に大切な家

畜であり、現地の人が“トナカイなしでは私たちは到底生きてはいけません”と、その重

要性をしきりに話していました。とても大事に飼われていて、よく人になついてもいまし

た。目がくりっとして可愛い動物です。でもトナカイはペットではありません。物を運ん

だり、ソリを牽引する大きな役目を担っています。それに何より食料になる!かの地の人々

の日常食はトナカイの肉なのです。生肉が野菜不足を補い、その毛皮は様々な防寒用具に

形を変えていました。まさにトナカイは、その地の人々にとってはオールマイティーな存

在なのです。そのことはよく理解できるのですが、飼い主に頭をなぜてもらってすりすり

しているトナカイも、翌日には肉の切り身となって当然のように保存庫に置かれる。その

対比には少し驚きました。ただそこには部外者が、カワイソウに、と言う妙な情緒が入り

こむ隙などない現実がありました。

 

そのテレビを見て思い出したことがあります。子どもの頃によく食卓に載った鯨肉のこと

を。多分牛肉などよりはるかに安価だったのでしょう。ショウガ風味を効かせて甘辛く調

理されたクジラのソテーは度々登場しましたし、オデンにもコロという脂身が入っていま

した。栄養もあって安価な鯨肉は台所のお助け的役目を担っていたのだと思います。その

後、牛肉や豚肉、鶏肉などに押され、食卓からは姿を消していきました。何より捕鯨規制

が厳しくなったのです。捕鯨反対派は鯨のかしこさを反対の理由にあげています。あんなかしこい動物を食べるなんて!ということです。でも今は、鯨は増えすぎの傾向にあるら

しい。海の生態系を揺るがすかもしれません。和歌山県太地町のイルカ漁を告発する米国

のドキュメンタリー映画が話題を集めたことがありました。残酷な漁だとの批判の声が強

かったようです。日常にイルカを食べていた人々は戸惑ったことでしょう。

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先の愛らしいトナカイにしても、かしこいクジラやイルカにしても、それらを食する人々

に感謝の念があり、命をつなぐ役割を担ったのだとしたら、その食の形を異なる価値観で

批判するだけではなく、食と命について謙虚で厳かな心でもって再考してみてもいいので

はないでしょうか。食は本当に、国や地域によってそれぞれの習慣様式があるものなので

すから。

           25年7月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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【第95回】 食環境の現状(74)

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食文化の豆知識 95 [食文化の現状74]

今や食を巡る談議は巷間にあふれ、テレビも新聞もどの食材が体にいいかを探る番組の

オンパレードになっています。また食に関する書籍にいたっては、肉や炭水化物の摂取の

是非が極端に分かれており、皮肉な目でみれば、まさに無責任な言いたい放題の感がする

ほどです。ちなみに野菜や魚はターゲットにはされていません。当然といえば当然かもし

れません。

 

それほど「健康」が、人間にとってすべてにまさる大切な要素になっているのでしょう。

確かに、生きる基底となるのは健康かもしれません。食生活が予防医学の見地からも極め

て重要であるのも理解出来ます。ただ、一方の面からのみを捉えてヒステリックにあれを

食え、あれを食うな、の氾濫にはいささか辟易してしまいます。

結局、体には、“大食をせず色々な食材をバランスよく摂取する”のがベストだと思うので

すが、それを言ってしまえばそれで終わり。ハウツー本の商売があがったりになります。

でも、体にいいものを追い求めるより、避けるべき食を念頭に置いた食生活を送る方がよ

ほど健康に役立つのではないでしょうか。食生活に苦心しても病気になるときはなるもの

です。ストレスというもっとも恐ろしい危険因子が体にダメージをあたえる場合が多いか

らです。ですからいいものを追い求めるのではなく、避けるべきものをとりあえず避ける、

というスタンスの方が楽なような気がします。

 

まず、劣化したものは避ける。特に劣化した油は毒といっても過言ではありません。だか

ら外食で揚げものばかりを注文するのは危険です。よほど心ある、または高価格のところ

以外は、新鮮な油ばかりを使っているわけではありません。

それとやはり濃い味を避ける。薄味の方が食材そのものの旨さに味覚が敏感になるからで

す。高血圧の危険もかなり避けられます。あまい物は食べ過ぎない。糖尿病は日本人にと

っては発症しやすい恐ろしい病気だからです。アルコールはほどほどに。飲みすぎると肝

臓がダメージを受ける以前に、精神に影響を来します。

すべて“摂取しすぎないこと”に尽きるのです。

 
             25年6月7日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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