【第25回】 [ 食環境の現状(4) ]

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【第25回】   [ 食環境の現状(4) ]
 
世間を震撼させた牛肉コロッケ偽装発覚事件では、北海道県警が不正競争防止法違反で捜査に乗り出しました。今後は司法の手にゆだねられるでしょう。ほっと一安心もつかのま。今度は大阪の仕出し弁当製造会社が、賞味期限をはるかに超えた冷凍食材を使用していたことが保健所の調べで分かりました。倉庫に保管されているミートボールなどの冷凍食材約50品目も期限が切れており、中には、期限切れから2年9ヶ月にもなる冷凍の厚焼き卵もあったとか。
 
一方で、水産大手の子会社である食品会社が、賞味期限切れ原料入りのネギトロ用マグロを出荷していたことが分かりました。回収に乗り出しましたが、大半は消費されてしまっているとのこと。漁獲量規制などによりマグロ価格が上昇した為、賞味期限切れの加工済み冷凍マグロを原料に混ぜ続けていたのです。
 
どちらも、コストを抑えるために日常的に行われていた許されない所業です。健康被害が今のところ出ていないのが幸いです。調合や味付けでうまくごまかされたこれら食品が賞味期限切れであることなど、消費者には分かるはずがありません。だから、どちらも長きにわたって続けてこられたのでしょう。成分表示を見て判断できる選食力もこれには役には立ちません。
 
賞味期限切れの食品で、思い出したことがあります。実母の引っ越しを手伝っていたとき、食品庫から数品の缶詰が出てきました。そのひとつの賞味期限を見ると、なんと12年前の表示が。これにはこけそうになりました。即、捨てましたが、分からずに食べていたらどうなっていたか不明です。少々の期限切れは、体調に影響を与えるものではないと思いますが、業者が確信犯的に使用してはならないことです。
 
賞味期限切れ使用食品を消費者が見破るのは困難ですが、成分表示はある程度見極めることは可能です。ある新聞に、成分表示の信頼性を問うアンケート結果がでていました。95%以上の人が、表示の規制や検査を強化すべきだと答えているのは当然として、現状の成分表示情報を信頼しているか否かは、ほぼ5割づつに分かれました。加えて、成分表示より価格を購入の判断材料にする、という人も半数を超えていました。悩ましい結果です。厳しい規制での表示をほとんどの人が強化すべきだと思う一方で、購入する時に優先させるのは成分表示より価格だというわけです。そこに諸事情が透けて見えるような気がします。
 
 
 

 

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