【第24回】 [ 食環境の現状(3) ]

col_n_pic
 
【第24回】   [ 食環境の現状(3) ]
 
次から次へと誌面をにぎわす食の不祥事。とりわけ今回の北海道の食肉加工会社がしでかした豚肉や鶏肉を混ぜたひき肉を[牛100%]として出荷していた偽装事件は、確信犯的犯罪行為といえるでしょう。
 
現時点での容疑は、不正競争防止法違反にあたるとか。原産地や品質、数量などを不正表示して商品販売することを禁じる法律に違反したという容疑です。
根っこは、安い原料費で高く売らんがための原始的で単純な詐欺行為ですが、腐臭を発するような豚肉を仕入れたときには、殺菌処理を施した上に、牛肉らしく見えるよう家畜の血液で赤く着色して使用したこともあると聞けば、食の安全にもかかわってくる問題で、まさに噴飯ものです。豚肉大好き人間としても許せません。
 
そこで、問題の食肉加工会社の社長が放った捨てセリフとでもいうべき[この業界全体の体質の問題で、スーパーでなぜ冷凍食品の半額セールができるか考えて欲しい。うちも悪いが喜んで買う消費者も悪い]との発言。責任転嫁する発言だと批判が相次いだため、すぐに発言を撤回し謝罪しましたが、この発言は本人の本音を見事に表しているに相違ありません。24年もの間、罪の仮借もなく日常的に不正が行われてきた原点が、そこに見えるからです。
 
確かに大半の消費者は安いものを求めますが、一応の信頼の上での購入が成り立っており、安いからといって、豚肉を牛肉と偽ったものを売って許されるわけはありません。でも、何故こんなに安いのか、こんなに安く売れるのか、を疑ってかかるのも、必要であると思うのです。今回のような業者向けの卸業者の偽装は、末端利用者である消費者が用心して回避できるものではありませんが、何故、こんなに安いの?の疑問から、その食品の原材料、原産国、様々な添加物等をチェックしてみるのも一法です。
 
今回の偽装事件を受けて、日本農林規格(JAS)の品質表示基準の見直しが検討されています。従来、JAS法は消費者に販売されている食品を対象としたものですが、それを食品卸業者にまで広げようというものです。後手後手に回る法の整備ではありますが、悪質きわまりない偽装発覚がもたらした、”食の安全”への信頼回復の制度改正となりそうです。
 
 
 

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 パーマリンク