【第100回】 食環境の現状(79)

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食文化の豆知識 100 [食文化の現状79]

ホテルレストランが大変なことになっています。在阪大手ホテルチェーン系列のレストラ

ン群で、メニューの誤表示や食材偽装問題が発覚してより、他ホテル系列下でも同じよう

な事象が次々と公表されだしました。新聞でも連日大きく取り上げられています。以前訪

問して気に入っていた奈良の旅館も、食材偽装が行われていたのは大きな衝撃でした。

接客をはじめとても質の高い印象が残った旅館なので、今後の誠意ある対応で顧客の信頼

を回復してほしいと願っています。今回のメニュー表示騒動は、明らかな食材偽装、例え

ばブラジル産鶏肉を国産と表示したとか、豪州産成形肉を和牛と表示したとかのケースは、

景品表示法で何らかの罰則が加えられるでしょうが、そのほかの、料理の価値を高めんと

つけられた大仰な形容詞は具体的に罪には問えないのが現状です。

 

ただ、どの業界でも、誇大表示はまかり通っているものです。その商品の効能・効果は話

し半分と理解しておいた方が賢明です。それが自由競争市場主義の宿命ともいえるでしょ

う。どこも何とか自社の商品を売りたい。結果として誇大な宣伝文句となるケースです。

前述しましたように、悪質な場合は景品表示法違反に問われます。特に医薬品や健康食品

は薬事法で厳しく取り締まられています。一般的に、外食業でのあやふやな表示に関して

は以前から指摘されていました。今回の騒動を受けて、飲食店のメニュー表示に関連する

より厳しい法律が成立するかもしれません。メニュー名如何がその料理の売れ方に影響を

与えるのが現実なので、どこも客の目を惹く魅力的なメニュー名を付けたがる。昔から通

用しているマーケティング戦略の一環です。それが度を超したというか、歯止めが利かな

くなったことが、今回の事件を引き起こしたのでしょう。

 

多分、今後大手ホテルレストランをはじめ、有名旅館などでは、具体的な食材を表した

メニュー名が著しく減る可能性があります。海老なら海老だけ。魚なら魚だけ、という風

にネーミングしておけば、全く法律には触れないわけですから。でも、味気がなくなるで

しょうし、注文する気も失せるというもので、ならば本物を出すことです。本物の和牛、本物の車海老、芝海老、本物の絞りたてジュースを、きちんと出せばいいのです。それが

本物の商売というものです。

              25年11月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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