【第109回】 食環境の現状(88)

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食文化の豆知識 109 [食文化の現状88]

 

お盆が近づくと、店には様々な果物が並びます。帰省用のお土産に、お盆のお

供えに、帰ってくる親族のために等々、いつもよりは贅沢な品揃えで、店頭を

飾っています。そのいずれにも関係のない輩にとっては、値が上昇するのでい

ささか不便な時期です。ま、需要と供給バランスの結果だから、仕方のないこ

とかもしれません。市場はまさに需要と供給によって成り立っています。この

密接した関係は、時として需要が供給を導く場合もあるのが面白い。ニーズが、

と言い換えた方が分かりやすいでしょう。たとえばスイカです。ここ数年、小

型のスイカが目立つようになりました。単純に、小型スイカの売れ行きがいい

ので、生産農家が大型から小型へ切り替えを図っているからです。大型スイカ

の売れ行きが伸び悩んでいるのは、井戸の減少、冷蔵庫に入らない、持って帰

るのが重い、食べ手人数が少ない、が主な理由でしょう。結果として、小型ス

イカの売れ行きが伸びるという構図です。我が家でもここ数年は、小型スイカ

にお世話になっています。三つか四つの月型にカットして、メロンのようにス

プ-ンで果肉をいただきます。これが美味しい。なぜか小型スイカは甘みがと

ても強いと感じます。買ってきて、コロンと冷蔵庫にも収まってくれます。当

分、楽しめそうです。本当に日本の果物は進化し続けています。梨も甘くなり

ましたし、ブドウも大粒の甘い種無しは優れものの味わいです。子供のころの

ブドウといえば、デラウエアかキャンベル、マスカットくらいで、甘さも今と

は段違いでした。今のブドウの甘さは素晴らしい。お値段も素晴らしい。

 

南国の果物は、独特の気象条件下で甘さを蓄えている感がありますが、日本で

育てられる果物は、生産者の努力の賜物です。しかし、残念ながら、果物の消費量は頭打ちとか。値が張るのも一因ですが、食べるのが少々面倒という側面

もあります。お菓子のようにすぐにかぶりつけないし、お腹を満たす役割はそ

れほどありません。あくまで嗜好品と、とらえられがちです。たしかに、冬の

みかんのように、夏でも手軽に安く美味しくいただける果物があればいいのに

と、かなわぬ?夢を見ています。

 

        平成26年8月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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