【第118回】 食環境の現状(97)過剰包装のゴミ化

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食文化の豆知識 118 [食文化の現状97 過剰包装のゴミ化]

 

今や環境問題はどの業界でも重視され、まさにエコ流行りとも揶揄したくなる

ほどの浸透ぶりです。自動車・家電製品・電気etc、それぞれ表出の形は変わ

れど「空気を汚さない、省エネ、自然エネルギー採用」といった環境への配慮

で足並みを揃えています。歓迎すべき状況で、その傾向には大賛成です。一方

で、ゴミ排出量は増え続けています。家庭ゴミを減らすためのアドバイス本や

新聞誌上での論調もよく見かけます。まずは消費者の慧眼から始めるのが手っ

取り早い?からでしょうか。しかし消費者は使用する側なので、ゴミの環境問

題への参加は、ゴミを減らす、ムダを減らす、が精一杯の貢献ですが、ゴミと

なるものを提供しているのはまぎれもなく売り手側なのです。

 

最近、エコバッグと称する買い物袋持参を呼びかけるスーパーが増えてきまし

た。これも環境への配慮の一環でしょうか。最初はレジ袋くらいケチらなくて

もいいのにと、少々納得がいきませんでしたが、ご時勢にはさからえません。

今はいつもマイ袋をバッグにしのばせています。でも、そのスーパーの売り場

には、家庭ゴミの元があふれかえっているのです。大量に家庭で発生するプラ

スティックゴミは、ほとんどがスーパーなどで売られている商品の包装なので

すから皮肉なものです。店で売り方を采配できる野菜や果物も、小分けに包装

して売られています。ナスビ2本がセロハン袋に、トマト3個がセロハン袋に、

ホウレン草もセロハン袋に、キュウリ3本も、レンコンも、玉ねぎも・・・。

このプラスティックは再利用しにくく、捨てるほかはありません。大量のゴミ

の発生です。


 

何故、量り売りへチェンジできないのでしょうか。かつてはそれが当たり前で

した。売り手側の効率化?が進み、われわれは一体どれだけの包装を捨て去り

ながら日々を暮しているのでしょう。と、ここで、ドイツで昨年秋に「完全無

包装」のスーパーが開業したとの記事が目に入ってきました。何でも、二人の

女性が、買い物でどれだけのゴミが出るかを話しているうちに、包装を一切省

いた店を作るアイデアがひらめいてオープンしたとか。店内は、野菜・果物・

菓子類・パスタ・米・香辛料にいたるまで、すべて量り売り式になっているそ

うです。そしてその店は反響を呼び、2号店をオープンするほか、フランチャ

イズ方式の展開も検討しているとか。量り売りのシステム詳細も記載されてい

ましたが、日本でもすこし方法を変えれば十分可能だと思いました。多分、出

来ない理由はわんさか出てくるでしょうが、可能です。この方式がわが国でも

広がっていってほしいものです。

     平成27年5月4日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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