【その62】某月某日  ”久々の辛口全開でございます・・” の巻き

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某月某日 “久々の辛口全開でございます” の巻き

 

このところ、行く店行く店が、とっても良心的で料理が美味しくて接客も良いものだから、

辛口奉行の役割が果たせなんだ。で、大人しくシアワセを享受しておりました。スマン。

いやあ、景気が悪くなると、レストランの質があがるのかね? じゃなくて、妙な店が

つぶれてしまったのでしょう、きっと。経済のことはよく分からんけど、多分、たいした

料理でもないのに値段だけぼったくってた店に、有り難がって来てたような客が、不景気

で来なくなった。残ったのは、客と信頼で結ばれてる良心的な店だった。はい、おしまい。

 

いえいえ、おしまい、ではありませんでした。先日訪問したフレンチレストラン。数年以

上前に、ある情報誌に取り上げられ、祭り上げられてからというもの、連日客が押しかけ、

いっときは一ヶ月先の予約も取りにくい店だったのです。何でも、圧倒的なボリュームだ

とか。値段も手頃らしい。いいじゃないですか。総勢4名、期待に胸をふくらませて訪問

しました。感想は?言いたくもありませんが、言ってしまいます。もう店は店でありませ

んでした。お金を取れる料理では無かったのです。前菜からメイン、デザートに至るまで

ただ、ドーンとでかいものが出ただけで、味に深みもなく美味しくもなく新鮮さもなく

ただ食物を口に入れる作業のみが必要とされる2時間でした。あ、ごめん、パンだけは

どういうわけか、美味しかったです。パンだけネ。結局、最初から最後まで客は我々のみ

で、多分その後も客は入らなかったでしょう。もう9時過ぎだったもの。だれがその時間

に、ボリュームしか能のないフレンチレストランに行きますかいな。

 

この店を取り上げた情報誌は、一時は消費者のオピニオンリーダーの看板を掲げ、勇まし

く吠えてたけれど、今は絶版になっています。罪なことをしたものだと思います。実力

の無い店を持ち上げて祭りあげて。何の責任も持たずに。どっと押し寄せた客は二度と

戻ってこなかったのでしょう。でも、まだ諦めるのは早いかもしれません。もう一度、勉

強しなはれ。そしてほっぺたが落ちそうになる繊細な味わいの料理を作りなはれ。

この店の2週間前に行ったフレンチレストランは、ずっと満席状態でした。価格帯はほぼ

同じ位だけど、まさに月とすっぽん。芳醇な味わいに満ちた料理群に思わず笑みがこぼれ、〆のデザートは天井まで跳ね上がりたいほどの絶品でした。情報誌には載ったことはあり

ません。口の肥えた知人に教えてもらいました。そういうことです。

 

                      2011年6月3日   ・・・続く

 

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