【第61回】 [ 食環境の現状(40) ]

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食文化の豆知識  61 [食環境の現状 40] 

 

某新聞の生活欄で、スーパーマーケットでの食品や日用品の容器包装の簡略化が徐々に

進んできたとの記事を目にしました。やっとその方向に向かうのかと、感慨深いものが

あります。ただ実際にこの目で確かめたわけではないので、その動きがどの程度浸透

しているのかは分かりませんが、簡略化は、是非とも進めていただきたい。

 

自ら無駄をなくす工夫もせずに、客にエコを強いる欺瞞を、肌で感じていたからです。

手間をかけてリサイクルをする前に、根本から不要なものを減らす方が、余程合理的

なのは当然です。容器包装は、家庭ゴミの約6割を占めるとか。大仰な食品トレーなど

は、洗って回収箱に入れるか、行政のプラスチックゴミ回収に回さなければならない。

水道代を含めて大きな無駄と手間の発生です。包装の簡略化は、食品トレーを製造して

いる会社にとっては、死活問題かもしれません。でも容器包装は、商品を立派に大きく

見せるテクニック的役割を担っています。廃材を利用する爪楊枝や割り箸とは、次元を

異にする不要な商品だと思うのです。その費用も商品価格にオンされ、結果として消費

者は高い値段を払わされるからです。日本独特の消費構造傾向です。

 

精肉、果物などは、簡易ラップで十分です。そのまま冷蔵庫に入れられます。見映えを

良くするための包装はもう結構です。贈答品や超高級品などは、包装も値打ち度を高め

る意味もあるでしょうが、家庭で日常に使用する商品は、なるだけ簡易包装の方が使い

勝手がいい。シンプル イズ ベスト。生活スタイルもその方向に向かっています。

ただ、そうなると関連諸企業が影響を受けるので、景気が悪くなると揶揄する主張もあ

ります。無駄もまた経済を支えると。でも考えてみれば、おかしいことです。蕩尽によ

る景気は、軟弱な土俵に立っています。それよりも、夢のある、そして本当に便利な商

品を開発してこそ、経済に役立つ企業といえるでしょう。お金は生産性の高いところに、

流れるべきです。

 

22年8月1日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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