食文化の豆知識 107 [食文化の現状86]
番組がありました。材料は豚のモモ肉と塩のみ。塩の量と混ぜ込むタイミング、
塩抜き、それに貯蔵場所の温度・湿度管理に加えて、余分な皮や油の処理等、
材料はシンプルながら、手間暇かけた工程でした。平均15か月以上、長期熟
成させて出来上がった生ハムはまさに垂涎ものの逸品だとか。見るからに美味
しそうでした。
翌日、スーパーのハム売場に立っていました。日本で名の知れた大型スーパー
です。ソーセージやハムの間に、生ハムコーナーもありました。殆どが国内産
ですが、テレビで紹介されたような、豚モモ肉と塩だけで作られた生ハムは皆
無でした。ゼリーやら発色剤やらリン酸塩やらたんぱく質加水分解物やらアミ
ノ酸調味料などが入っています。添加物それぞれに役割はあるのでしょうが、
シンプルな本物の生ハムが食べたい。そして上段の一角に、豚もも肉と塩だけ
が原材料のイタリア産の生ハムを見つけました。値段は国産ものの三倍ほどし
ましたが、思い切って購入しました。少量なのでオニオンスライスで増量して?
いただきましたが、なかなかに美味で、肉の旨みたっぷりで、後味もすっきり
していました。
かまぼこや練り天ぷらはもともと、日本にあったものですが、ハムやベーコン、
生ハムなどの食肉加工品は外国から入ってきた食品です。それらを日本企業は、
インスタントに作る技術を駆使し、混ぜ物を入れて安価に提供できる食品に仕
立て上げました。何というテクニックでしょう。嫌味ではなく、感心します。
そのおかげで、日本人も気軽にハムサンドイッチやベーコンエッグなどを楽し
めるようになったのは確かです。
でも、日本の食レベルの高さが世界で認められる中にあって、そろそろ大手メ
ーカーも本物のハムや生ハムを作ってほしいものです。多少値が張っても、国
産で上質のものが手に入るなら、やはり国産ものをいただきたい。今でも、小
規模で添加物なしのハムなどを作っているところもあり、お取り寄せネットで
人気を集めているとか。国産ビールやウイスキーは世界に誇れる質の高さです。
食肉加工品も、国産の素晴らしいハムやベーコン、生ハムがスーパーに並ぶこ
とを夢見ています。
平成26年6月4日 間島万梨子 食生活アドバイザー