今や食を巡る談議は巷間にあふれ、テレビも新聞もどの食材が体にいいかを探る番組の
オンパレードになっています。また食に関する書籍にいたっては、肉や炭水化物の摂取の
是非が極端に分かれており、皮肉な目でみれば、まさに無責任な言いたい放題の感がする
ほどです。ちなみに野菜や魚はターゲットにはされていません。当然といえば当然かもし
れません。
それほど「健康」が、人間にとってすべてにまさる大切な要素になっているのでしょう。
確かに、生きる基底となるのは健康かもしれません。食生活が予防医学の見地からも極め
て重要であるのも理解出来ます。ただ、一方の面からのみを捉えてヒステリックにあれを
食え、あれを食うな、の氾濫にはいささか辟易してしまいます。
結局、体には、“大食をせず色々な食材をバランスよく摂取する”のがベストだと思うので
すが、それを言ってしまえばそれで終わり。ハウツー本の商売があがったりになります。
でも、体にいいものを追い求めるより、避けるべき食を念頭に置いた食生活を送る方がよ
ほど健康に役立つのではないでしょうか。食生活に苦心しても病気になるときはなるもの
です。ストレスというもっとも恐ろしい危険因子が体にダメージをあたえる場合が多いか
らです。ですからいいものを追い求めるのではなく、避けるべきものをとりあえず避ける、
というスタンスの方が楽なような気がします。
まず、劣化したものは避ける。特に劣化した油は毒といっても過言ではありません。だか
ら外食で揚げものばかりを注文するのは危険です。よほど心ある、または高価格のところ
以外は、新鮮な油ばかりを使っているわけではありません。
それとやはり濃い味を避ける。薄味の方が食材そのものの旨さに味覚が敏感になるからで
す。高血圧の危険もかなり避けられます。あまい物は食べ過ぎない。糖尿病は日本人にと
っては発症しやすい恐ろしい病気だからです。アルコールはほどほどに。飲みすぎると肝
臓がダメージを受ける以前に、精神に影響を来します。
すべて“摂取しすぎないこと”に尽きるのです。
25年6月7日 間島万梨子 食生活アドバイザー