顧客満足の複雑さ 112 「増えすぎる祝日の功罪」

顧客満足の複雑さ112「増えすぎる祝日の功罪」  間島 

今年は正月三が日が終わって三日目には、成人式を含む三連休が来た。もともと1月15日だった成人式を第二月曜日に持ってきたのは、1998年に施行されたハッピーマンデー制度の導入による。海の日や敬老の日、体育の日もハッピーマンデー制度による月曜固定祝日で、三連休が実現する。また祝日が日曜日の場合は月曜日が振替休日となるので、その場合もめでたく三連休となる。祝日自体は年間で16日もあり、先進国では最多だ。祝日の名目が明確なものもあるが、海の日、山の日に至っては、祝う意味が分からない。年末年始に匹敵するボリュームを持つ5月の大型連休もあり、日本はまさに休日オンパレードといえる。 

要は、働き過ぎの国民を休ませてやろうという、優しい心遣いのなせる結果なのだろう。欧米のように個人が長いバカンスを取る風習がなかなかに根付かないゆえ、公的に祝日を作り、先進国としてはこのくらいで充分でしょう、の思惑が見て取れるが、効果面から見ると良い政策と喜んでばかりもおられない。休日でも休めない職種を除いて、ビジネスパーソンが皆、休みとなると、当然に観光地や商業施設は込み合うし、需要と供給のバランスによる価格操作が働くから休日対応高価格が出現する。病院側も不便だ。月曜日が休みとなると、他の日に患者が込み合って対応が大変だし、患者側も土日のあとの待ちに待った月曜日なのに、病院が開いていない憂き目にあう。病院は三日間も休むべきではない。 

休日をやけに増やした背景には、前述したようにひとりひとりが交代で長いバカンスを取るスタイル導入の放棄がある。このバカンス制度を素晴らしいの一言で賞賛する気はさらさら無いが、そこに個人の自由な選択という極めて大人的な意志が働くだけでも、導入価値があるように思う。誰でもが夏に休みたいわけではない。冬に長い休暇を取って雪山にこもりたい人もいるだろうし、秋に2~3週間も仕事を離れて自然と遊べるならそのほかは土日だけの休みで充分だという人がいても良い。だれもが休む土日祝日の込み合う施設や高い宿泊料をやむを得ないとして、それでも出かける人々を否定はしない。そのようなシステムになっているからだ。リタイア組の元気な高齢者群はその間、家で喧騒が過ぎさるのを待てばいいだけのことだ。 

何故個人の自由選択休暇制度を導入できないのかの理由を探るだけでも、見えてくるものがある。導入すれば企業はもとより経済が破たんするのか?残された人達の仕事が増えて困るからなのか?休日高価格日が減少する施設の経営が困るからなのか?みんなと一緒、で安心する国民性が理由なのか?長く休んでもすることが無いという人が多いからなのか?すべてが理由のように思えるし、他に重要な理由があるのかもしれない。ただ、2~3週間も家から離れてのんびりとできる一定の受け入れ場所が少ないのは確かだと思える。観光地にある宿泊施設は概ね一泊二食制で成り立っているし、小さい別荘も持っている人は少ない。会員制リゾートホテルにしても、宿泊可能期間は限られるし何より高い会員権を支払わねばならない。となると、長期個人休暇制度の導入は、新しい業種の出現とそれによる経済波及効果も見込まれるだろう。どこもが込み合う日は、日曜日だけで充分だ。

                     2018年4月1日       

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