顧客満足の複雑さ181(地球の厳しさと人間の覚悟)

    顧客満足の複雑さ181「地球の厳しさと、人間の覚悟」

あけましておめでとうございます。穏やかな一年でありますように。その言葉しか思いつきません。ここ数年、それほど世界は厳しいものだと思い知らされたからです。 

日本の年末年始のテレビ番組を見ていると、世界も平和なのかと錯覚しそうになる。この間、ワールドニュースもお休みなので、映像から世界のリアルタイム情報が届かない。ウクライナもイスラエルもガザも、はたまた中国もロシアも日本のように平和に安寧としているのかと思ってしまいそうだ。ま、正月ぐらいは、何も考えずご馳走を食べて和気あいあいと楽しんでもバチは当たらないだろう、と、のんびりとかまえていた元旦の夕刻、石川県を震源地とする大地震速報が飛び込んできた。揺れは大範囲に及び、被害状況の大きさが案じられる。他国なら騒音としてのみとらえられる蝉の声を、その命のはかなさゆえに風情として愛おしむ日本人の自然に寄せる豊かな感性をもってしても、地震をはねのける力はない。地球はかくも厳しい。今年も日本にとって、内外ともに試練は避けられないのだとすれば、平素の構えと国としての体力保持がより求められるにちがいないが、それがなかなかに難しい。

 さて1999年の施行以来「食料・農業・農村基本法」の初の改正案が今年の通常国会に提出されることが決まったとの記事が新聞に掲載されていた。人口減少や地球温暖化、ロシアのウクライナ侵攻など、施行当時は想定されていなかった食料の安定供給確保に対応するためらしい。しかし、そもそも25年前の施行時には、すでに日本の食料自給率は40%前後の低水準であったのに、安定供給確保の危機感が無かったのだとしたら、なんともお気楽な法律であったのかと思ってしまう。そして2021年の自給率は38%。基本法が何の効果ももたらさなかった、ということだ。今回の改正案としては、農地の有効利用、安定的な食料の輸出入対策が主な内容だという。改正に伴って具体的な関連法案も提出されるらしいが、輸入相手国への投資促進など、相変わらずの資金投入しか目新しい政策は期待できそうになく、こんなことでは今後25年たっても自給率は上昇しないだろう。食糧の輸出入国との信頼関係など、有事下においては軽く吹っ飛ぶのを、第一次、第二次大戦で身をもって学んだのではなかったか。こと食料自給率においては、フランスの例を参考にもすべきだろう。かの国はまさに自給率が100%を上回る大農業国で核保有国で原発推進国で名だたる文化国で、変わり身の早い自国第一思想に基づいている。日本人の真面目な性善説を多分かれらは理解できないだろう。とここで、フランス南西部で大雨による複数の川の氾濫情報が入ってきた。地区住民は「何回、氾濫するんだ。これまで何の対策も取ってこなかった」と不満やるかたない表情で政府を非難していた。やはり“隣の芝生は青い”らしい。 

地震の発生は防ぎ得ないが、自国民の食を自国でまかなうことは可能で、それには大英断政策が必要だがかなりの痛みも伴う。そんな案は出てきそうにない。                2024年1月1日 間島

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