【第131回】 食環境の現状(110) (紹介企業も厳選が必要?)

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食文化の豆知識131 食文化の現状110(紹介企業の厳選は必要?) 

斬新なアイデアや確かな技術力、またはゆるぎない倫理観をもって躍進する企業を選んで紹介するテレビ番組があり、いつも興味深く観ています。それぞれジャンルは異なりますが、いずれも消費者目線に立って事業を展開しているという共通点を重視した、取り上げ方のようです。すべてはお客様のために、は聞こえはいいですが、実行するのはなかなかに難しいものです。その顧客第一主義を、独自の手法によって実施している企業の並々ならぬ努力には心底、敬意を持たざるを得ません。ただ、中には取り上げるに相応しかったのかと思ってしまう企業もあって、番組事情の複雑さが垣間見えるようです。

 

先日も、これは単なる企業広告ではないのか、と思わせる内容でした。業界NO1のファミリーレストランチェーン店を紹介していました。誰もがよく知っている店です。そのチェーン店のマニュアル化されたサービス体制やセントラルキッチンでの量産体制が主な内容でした。例えば、注文を受けて9分以内に料理を提供できる調理システムとか、大量に効率よく製造できるセントラルキッチンの自動化システムについての紹介です。勿論、サービスにはプラスアルファの笑顔やすっきりとした姿勢、セントラルキッチンでは飽くなき美味しさへの追求がアップされていましたが、やはり別段珍しくはないシステムです。取り上げられたチェーン店には行ったことがあります。行ったことが、と表現したのは、二度目が無かったからです。口には合いませんでした。これは単に合う合わないの個人的問題ですので、その企業の精神風土に口をはさむ権利はありませんが、少なくともその店でウエイティングがかかっているのを見たことはありません。集客力は地域で相違はあるでしょうが、料理は大衆的で別段特徴も無いファミレス、というのが率直な感想です。

 

同じ番組で紹介されていたパン販売店は、近くにあったら是非行ってみたいと思わせる営業内容でした。早朝からのオープンで、次から次へと焼きたてが店内に運び込まれます。それぞれにオリジナリテイあふれるパンが所狭しと陳列され、オープンを並んで待っていた人々が、皆、トレーにパンを満載してレジに向かいます。そしてそのまま、外のオープンカフェで買ったパンを楽しんでいる人も多くいます。設置されたコーヒーマシンで飲むコーヒーは無料サービスです。中には毎朝やってくるという、コアなお客様もいて、皆和気あいあいとにぎやかな風景が広がっていました。そのパン店数店舗を展開している企業の社長もお客様と歓談するのが日課のようでした。これはだれもが真似出来る姿勢ではありませんが、売上は二ケタアップの快進撃を続けているとか。やはり元気で、真に顧客と密着した企業を率いるリーダーを見るのは楽しいものだと思いました。

7月7日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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