食文化の豆知識 105 [食文化の現状84]
野菜摂取の重要性が広まり、飲食店でも野菜を主役にしたメニューが出てきました。
もちろん、以前からサラダや香の物、野菜の煮つけなどの料理を提供しているところは
多くありましたが、あくまで肉や魚が主役の座をとっていました。今でもフレンチや
イタリアンのメインディッシュは、牛肉や豚肉、鶏肉、それに魚介類であることに
変わりはありませんが、前菜に関しては、野菜のみを使用したメニューが目につきます。
多種多様の野菜を彩りよく皿の上に、まるで絵を描くようにあしらった1品は、
まず目を奪い、そして体に優しく入ってきます。メニュー名も「森の中の野菜」
「野菜フレンチ」「野菜のカーニバル」などなど、アピール力も強い。
野菜は決して添え物ではないことに、飲食店、特にフレンチやイタリアンレストラン
が気づき、洒落た美しいひと皿を生み出しています。生より、むしろ蒸したり、
焼いたり、ゆでたりと、調理法もバラエティに富んでいます。下手をすると、
和食のほうが野菜料理が少ないケースもあります。寿司は大好物ですが、
野菜物はなかなか取りにくいですし、旅館の料理も魚などに特化して、野菜量が
少ないと感じる場合が多々あります。以前訪れた料理旅館も、新鮮なカニや魚が
これでもかと供されましたが、野菜はというと小鍋に入れる少々の白菜とねぎだけで、
アンバランスさは否めませんでした。
各家庭でも、野菜料理は2,3品は用意したいところですが、手間がかかって大変だ
という声を聞きます。多種類が必要だし、調理法もさまざまだし、費用もかか
ります。そうなのです、野菜料理は、手間もお金もかかるのです。だから、という
わけでもありませんが、食品業界はぜひ安価で、安全な国産野菜食材を工夫した
半調理品を開発してほしい。今も目にしますが、大体が外国産であったり、
べたつき感が残ったりと、満足度は高くありません。これからどんな高品質野菜
半調理品が出てくるか、期待したいものです。
食生活アドバイザー 間島 万梨子 2014年4月6日