某月某日 “時代の流れは逆行しないのよね” の巻き
先日来、友人のM子に連れられてラウンジとやらに行く機会が重なりました。ほら、ママ
がいて、女の子が何人かいて、にぎやかに呑んで楽しめるとこネ。歌おうと思えば歌も思
い切り歌えるよ。どこもM子が仕事柄、接待に良く使っている店らしい。とても有能な子
でね、とても気が合ってる友人なの。
それはそれとして、行く店行く店の嘆き節が半端じゃない。つまり昔と違って、お客が来
ないらしいのです。かつては幹部サラリーマンや医者や自営業の男性で大にぎわいを見せ
ていた店が、すっかりと静かになって、中には3日間、客が全く来ない日があったらしい。
これって辛いよね。飲食店の場合は、少なくても客はぼつぼつと来てくれるけど、この種
の店では、いわゆる坊主の日があるのですね。全く売り上げなし。家賃と人件費はそれで
も発生してしまう。気の小さいワタシなど、とても無理なお仕事どす。何?もとからそん
なラウンジなど、お前にはできっこないって? 全くその通りです。
で、その店を出て(二時間、客はわたしたちだけだった。四十席ほどもある広いラウンジ
だよ)、何度か行ったことがあるバーに寄りました。バーテンダーの男性二人だけで、勿論
カラオケなしの本格バーで、上質のシングルモルトが揃っているのが気にいっている店な
の。もう夜遅いのに、入れ替わり立ち替わり、客が来る来る。みんな結構、静かにグラス
を傾けて、いい雰囲気でした。時折マスターが喋るスコットランドや北海道の話しが面白
くて、ゆっくりと豊穣な時が過ぎていくのです。
先の、ラウンジが楽しくなかったわけではないけれど、そこには必死に客を楽しませよう
というプロ意識が満々で、逆にしんどくなってしまうのに比べれば、そのバーは何とも気
楽で、そして体が気持ちよく解き放たれていくのが感じられるのでした。
遊興街に立ち並ぶスナックやラウンジに、かつての狂乱ともいえるにぎわいは、多分、も
う帰ってはこないでしょう。需要がなくなるわけではないけれど、経営が立ちゆかなくな
りクローズする店が多く出てくるのだろうなあ、ちょっと寂しい気持ちになりました。右
肩上がりのすごいエネルギーで国が湧いた時代は、戻っては来ないのね。あのバブリーな
時代も。マトモになったとも言えるかな。でもラウンジの魅力に溢れたプロ意識の高いマ
マさんたち、これからどうするんだろう。いらぬお世話・・だネ。
2011年10月3日 ・・・続く