【第72回】 食環境の現状(51)

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食文化の豆知識  72 [食環境の現状51]

 

関西の食文化を語るに当たって、自分自身の各地での食の印象を振り返ってみました。

出身は大阪ですが、父親の転勤で中学校時代は家族全員で福岡に。京都での大学時代は

両親だけが東京だったため度々その地へ帰省。家庭を持ってからは、はたまた高松や成

田や和歌山へ。そして今はどっぷりと大阪に。まさに流浪の人生でしたが、各地で生活

したおかげで、面白い経験をさせていただきました。特に食は、土地土地での特徴が顕

著に現れるもので、強い記憶となって残っています。

経験した各地を一言で表すなら、福岡は寒くて魚が旨い! 高松は温暖で魚が旨い!

和歌山南紀白浜は暖かくて魚が旨い!そして成田は寒くて魚は(涙)。実際、成田の

スーパーで見かけるのは、タラとブリとサケ。そして秋には秋刀魚。記憶に残るのは

その程度で、好物のメバルもイサギも太刀魚も鯛もカンパチも見たことはありませんで

した。新子が出回る春に、保冷袋を持って新幹線に乗り、大阪の百貨店の食品売り場か

ら新子をゲットしてきたこともあります。ただ成田は住んだ中では、もっとも美しく整

備された街でした。駅前のメインストリートの街路樹がなんと桜なのです。春になれば、

町全体がピンクに華やぎ、それはそれは素敵な風景が広がっていました。今となればと

ても懐かしい。

さて、関西と関東の食の違いはともかく、関西と一口に言っても、またそこにも食の習

慣というか、その土地ならではの特色があるものです。大阪と京都も微妙に外からの評価が異なります。京都の方が評価が高い!京都の料理店は確かに伝統がありますが、現

在のような新鮮な魚介類を初めとする豊富な食材を駆使した料理は、戦後に生まれたも

のだと思います。割烹や板前料理はたしか、大阪発祥だと記憶していますが、今や京都

のブランドに組み込まれています。昔と違って、物流の発展が各地の垣根をはずし、技

の力で自由にすばらしい料理を創りあげることが可能になったのは、大いに歓迎すべき

でしょう。でも、食材自体となると、神戸、大阪にはかなわないはずです。兵庫にはな

んといっても、すべての和牛のルーツたるべく但馬牛がいます。そして瀬戸内海には鯛

やたこ、穴子、いかなご等の海の恵みが。日本海には松葉ガニが。

根が魚好きなもので、寿司店に行ってもマグロには目もくれず近海の白身魚に舌鼓みを

打つ身とあっては、やはりやはり関西の、特に瀬戸内海や大阪湾、ひいては太平洋の

の海の恵みを味わえる幸せをひしひしと感じています。

何だか、お国自慢になってしまいました。反省します。

 

23年7月9日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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