【第4回】三里四方の野菜を食べる

食文化の豆知識
 
【第4回】三里四方の野菜を食べる
 
 全国津々浦々にある郷土料理や伝統料理は、その土地で育てられ、収穫された食物をいかに有効に美味しく食べるかという知恵に基づいて、その土地の人々に親しまれてきたといっていいでしょう。鹿児島のさつま汁、熊本の辛子れんこん、島根の割り子そば、山口のふぐ刺し、奈良の柿の葉すし、富山のマスすし、秋田のきりたんぽ、、などなど、その土地ならではの名物料理は、枚挙に
いとまがありません。豊富なその土地の食物を、それぞれ、うまく生かし切る調理法を生みだしてきたのです。
 
 昔から伝えられている[三里四方の野菜を食べろ]は、まさに、郷土料理や伝統
料理の真髄を表す言葉です。その土地で収穫されたものを、その土地の調理方法で食することが、その土地に暮らす人にとっては、体に一番良いということ。勿論、今の日本では、全国の珍しいもののみならず、世界中の豊富な食べ物を手にいれることが可能で、それもまた私達の食生活を豊かにしてくれています。
でも、この[三里四方の野菜を食べろ]と良く似た言葉が多くあるのは、やはり、
その土地の気候風土に人間も馴染んでいるのだから、そこから取れる食物が
自然に体にも馴染むからではないでしょうか。
 
 [地産地消] 言葉通り、その土地で産まれたものを、その土地で消化するということ。[身土不二 しんどふじ] 身体と土は同じもの、ということです。
他に[域内消費] [土産土法] なども、ほぼ同じ意味です。
最近、この昔から伝えられてきた当たり前のことが、見直されてきているようです。余りにも贅沢になった食生活への反省やいましめなのかも知れません。
体に合い、口に合うのは、住んでいるところで取れたもの。
今さら、他の土地や外国産の美味しいものを食べるのはやめられないけれど、すぐ近くにある素朴な食べ物を見直してみるのも、本当のグルメなのかもしれません。
 
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