【第10回】 [ 食の安全意識の高まり(4) ]

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【第10回】 [ 食の安全意識の高まり(4) ]
 
ここ数年、輸入物が国産と偽られたり、国産でも人気の高い産地に偽装されたりする、食品の偽装表示が続発しました。新聞にも大きく取り上げられ、批判が高まるのを受けて、農林水産省も業者寄りから、消費者寄りへと、表示規制を少しずつ改善してきています。
 
まず「原産地表示」というのがあります。その名の通り、どこで作られたかを示す表示です。表示方法は、生鮮食品と加工食品では異なります。生鮮食品の中の野菜や果物などは、まずは原産地表示を信頼していいのではないでしょうか。和歌山のみかん、青森のりんご、淡路島の玉ねぎ、京都の九条ねぎ等です。
 

fig006同じ生鮮食品でも魚や肉などは少し複雑です。それらは生きて移動するからです。魚は漁獲された水域の表示が義務付けられています。太平洋、日本海、アラスカ沖、などの表示を見たことがおありでしょう。鮪の刺身を買った時、原産地表示を見ると”太平洋産”とありました。広ッ!という印象です。でも、どこで獲れたか不明な場合は、水揚げされた港や、港がある都道府県の 表示でも良いとされています。ややこしいでしょう?
他の場所で獲れても、がんばって船を焼津港につけて水揚げすれば、全国的に人気の高い”焼津産”と表示できるのです。魚介類が2ヶ所以上で育てられた場合は、原産地は、より長く育てられた場所になります。あさり、鰻などは、外国生まれでも、日本での生育がより長ければ”国産”です。表示以外に、流通の詳細を知る手だてはありません。

 
肉も、同様に一番長く飼育された場所が原産地となります。日本で生まれ、日本で育った牛でなくても、外国から生きた牛を輸入して、その時の年齢以上長く日本で飼育すれば、その牛肉は”国産”になるのです。
 
つまり、原産地表示は、規制通りに表示されていても、こと細かな出自を知ることは、困難な場合が多々あるのです。あまり神経質になっても、食品選びに疲れてしまいますし、正確に確かめるなら DNA 鑑定という手もありますが、そんなこと簡単には出来ませんよね。
 
となると、私たち消費者は、ただ信じ込むのではなくて、色々分かりにくいこともあるのだという認識をもって、原産地表示を見ましょう。信頼できる店を選ぶことも大切です。
 
 
 

 

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