【第11回】 [ 食の安全意識の高まり(5) ]

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【第11回】 [ 食の安全意識の高まり(5) ]
 
さて、加工食品の場合の「原産地」の表示方法は、どうなのでしょうか。缶詰め、瓶詰め食品、味つけされた加工食品などは、加工された国が、原産地国と表示されます。従って、日本で加工された食品には、「原産国日本」と表示されている例は見かけません。パスタ、オリーブオイルなどの原産国はイタリア表示のもの、メープルシロップはカナダ表示、蜂蜜や果物缶詰めなどは、中国表示のものをよく見かけます。
 
ただ、加工食品は、原材料と原産国とが必ずしも一致しないケースがあるのです。例えば、日本の醤油でも、アメリカ産の大豆を使用していることが多いですし、うどんも、オーストラリア産の小麦粉が原料のものがあります。ドイツのソーセージでも、イギリスの肉が原材料になっていることもあるのです。
“紀州和歌山の梅”を買って食べても、実は中国産の梅かもしれない。”浜松のうなぎの蒲焼き”も、実は中国産のうなぎだった。今まではこのような加工食品が多く存在していました。
 

そこで、原料をきちんと知りたいという声を受けて、「原料原産地」の表示規制が整ってきたのです。まず、農産物漬物、うなぎ加工品、かつお削り節、野菜冷凍食品の 4 品目の、原料原産地表示が義務付けられました。そして 2004 年 9 月から 20 食品群に広がりました。お餅や緑茶、カット野菜、塩蔵野菜&果物、調味した食肉など、かなり広範囲にわたっています。 2006 年1 0 月に完全実施となります。業者もすぐには対応できないので、準備期間をもうけたというわけです。ただし、表示しなければならないのは、全体の重量の50%以上を占める単一の原材料で、その他のものは表示しなくてもよいことになっています。

 
この規制基準は、消費者にとっては歓迎すべきものですが、内容はとても複雑で、すべてを理解するのは大変なことです。また色々な規制には、必ずといっていいほど、抜け道があります。というより、抜け道をうまく見つけないと、死活問題になる業者も少なからずいるのです。だから、やはり消費者が自分の こだわり度合いを定めて、購入したいものを選別していくほか無いのかもしれません。次は、どのようなケースがあるのか、考えて見たいと思います。
 
 
 

 

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