食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第42回】 [ 食環境の現状(21) ]

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 昨年は食に関する様々な事件が絶え間なく発生し、その殆どは偽装に関連する内容のもの
でした。輸入品を国産と偽り、汚染米を普通米と偽り、賞味期限を偽り、ま
さに“偽”のオンパレード。
これだけ偽装が後を絶たない遠因のひとつには、食材が
いとも簡単に偽装できる特性を備えている
ことも考えられます。輸入品も国産も、
見かけは同じ様相を呈しているからです。産地にしても見た
限りでは、見分けがつ
きません。賞味期限も、腐乱しているわけではない限り、口にしても判断が
つきま
せん。そこを狙ったいやしい手口は、厳しく弾劾されるべきでしょう。

国産と偽れば儲け幅が大きくなる。人気の産地ものと偽れば良く売れる。ブランドものと偽れば
高く売れる。どの偽装も目的は有利に売りたいがため。だから消費者
も国産やブランドにあまり
こだわらずにいましょう、なんて提言も出てくる始末で
す。これを本末転倒の論理というのです。
消費者は自分の好みで、または予算で、
色々な物品を購入するのが当然です。中には、安いから
輸入食材で充分、という人
もいるでしょうし、産地にはこだわらないわ、という人もいて当たり前
なのです。

筆者はバッグをはじめとする服飾品のブランドものには、全くといって興味がありません。
重量と色と形が自分のニーズにあえば、あとは値段次第です。ブランドは
選別の対象にはなりま
せん。使い勝手が一番だと思うからです。でも、ブランドも
のを購入する人を決して非難などでき
ません。その人は、そのブランドにニーズを
見いだしているからです。だから日本では、偽物を売れ
ば厳しく検挙されます。
ブランドはブランドたるべく努力をして地位を保全しているのであって、
簡単に
ブランドに乗っかった偽物を作ってあぶく銭を稼いでもらっては困るわけです。

 

食材にしても同様です。国産や地場ものを購入する人は、農薬の適性使用や作り手の顔が見え
やすいことを原因としてあげるでしょう。フードマイレージに関心のあ
る人もいるかもしれません。
産地にこだわる人は、その産地ならではの価値を認め
ているのです。ブランドにしてもしかり。
だから多少高くても購入する。それらに
価値を認めない人、また予算上やむを得ない人は、
こだわりなく購入する。それで
いいのです
。食品添加物に対するこだわりは、もっと多くの人に持って
もらいたい
と思いますが、産地やブランド、国産の是非等は、ひとえに購入者の好みで選ばれ

てしかるべきです。だからこそ、偽装は重い罪であり、裏切りでもあるのです。商品・食材は、
自ら努力して付加価値をつけて売れるように努力するのが、市場
の論理です。ただ売れるものに
乗っかって差益をだまし取ろうという輩は、市場か
ら撤退していただくしかありません。

 

平成21年1月12日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第41回】 [ 食環境の現状(20) ]

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先進国の中でも際だって低い我が国の食料自給率を巡っては、様々な意見や提言、

またここまでの低下を許した犯人捜しなど、かまびすしい主義主張の氾濫を招いて

います。そして、新聞・テレビなどで、たびたび目にし、耳にするのは“食の洋風化”に

自給率低下の最大の罪?を負わせる「識者」の声です。その後に聞こえてくるのは

“日本食の良さを見直そう”の大合唱です。日本食とは、ご飯、みそ汁、野菜の炊き合

わせ、魚の煮付け、納豆、冷や奴、あたりを指すのですか?ハンバーグやカレーライス、

焼き肉などは、洋風化によって生まれた料理なのでしょうか?

 

何か反論があるのか、とも言いたげな、得意満面の大合唱を聞くにつけ、彼らの幼児性

に辟易としていました。“食の洋風化”の言葉自体に偽善を感じるからです。

牛乳などの乳製品の需要増大を指すのか、畜肉の需要増大を指すのか、パンの需要

増大を指すのか。もしそうなら、食の洋風化は、まさに国民の体格を増進させ、健康の

保持に貢献する重要な役割を果たしてきたのです。問題は、国民の健康のため

避けるべきではない“食の洋風化”のための原材料確保を、安易に他国に依存してきたと

いうことです。行政の怠慢と戦略の見誤りの罪は大きいと言わざるを得ません。いわゆる

価格調整・生産調整が、日本の農業を振り回してきたのです。

 

自給率を巡る不毛のメデイア論争の中、やっとまともな戦略が打って出されました。

石破農林水産大臣が、食料自給率を10年後に現在の40%から50%に引き上げるため

工程表を発表したのです。そこには、企業の農地賃借規制の緩和や、パンなどの原材料

として需要が見込まれる米粉の生産量の拡大、飼料米の生産拡大、小麦や乳製品の増産

が、盛り込まれています。約38万ヘクタールの耕作放棄地の有効利用を促すための方策

も盛り込まれているようです。「自作農主義」を中心とした1952年制定の農地法を、56年 

ぶりに改正しようというものです。ただ結構、時間のかかる行程が待っています。

農地法改正案は来年の通常国会に提出される予定です。

 

総論賛成でも各論反対。大きな改正が望まれる時に必ず発生する、既得権益に引きずられる

反対論に猶予しないでほしいと思います。大きな改正は具体化が難しいものですが、

今こそ政治主導で未来のために、思い切った農政転換を図ってもらいたいものです。

 

 

平成20年12月9日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第40回】 [ 食環境の現状(19) ]

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食の安全を脅かす事件の続発や、金融不安による株価暴落などの影響を受け、消費

が縮み志向にあると、繰り返しメデイアが報道しています。外食業界も、市場は一向に

増えず、むしろ縮小傾向にあります。全体の売上げも平成9年の29兆円をピークに徐々に

減少し、いまは24兆円前後で推移しています。それでも、百貨店と総合スーパーの売上げが

合計で16兆円強であることと比べれば、とても大きな市場であることは確かなのです。

 

食費は流動費であるがゆえに、家計から削られやすい費用であると言われ、世論調査でも

景気が下向けば“まずは食費を下げる“という結果が出ています。外食は特に回数や予算を

削られる傾向があります。それでも身近な娯楽である外食は、多くの人が楽しみとするところです。

頑張って欲しい。

 

仕事柄というか、根っからの食いしんぼなので、飲食店を利用する機会は結構あります。

そして感じるのは、ここ2,3年の大きな変化です。まず、インテリアが先行したデザイナーズ

レストランにかつての勢いが感じられません。ムードたっぷりの店内で出される料理は、何故か

創作料理とやらが幅をきかせています。そして、そんな料理や雰囲気を好む比較的若い層の

消費に、いま元気がないのです。

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ファミリーレストランも厳しい状態が続いています。相変わらず抜群の簡便性を誇る業態ですが、

たいして安くはないのに、際だって美味しい物は見あたらない。これはあくまで筆者の考えなので、

意見の分かれるところでしょう。ただ、現実にすかいらーくもロイヤルやデニーズも閉店店舗を

増やしています。採算の取りにくい店は、捨てていくのが生き残りの道なのです。

 

いま飲食店は、本来あるべき仕事をしているところが、お客の支持をしっかりと集めているように

思います。本来あるべき仕事とは? 美味しい料理に、それに見合った価格。プラス、フレンドリー

な接遇です。雰囲気は清潔で居心地良く、インテリアにオーナーのセンスが感じられれば、

別にきらびやかで豪華でなくてもかまいません。照明も暗めでなくてもOKです。そう、すべて

当たり前の要素です。

 

美味しい料理とは、その分野で一生懸命技術的に、かつ素材的に最高を目指して工夫している料理

です。教科書通りでもなく、固定観念に縛られるこもなく、独自の感性で魅力的な料理を編み出して

いる店。そんな店は例外なくお客さんで溢れています。どんな業種でも同じです。厳しい環境が、

かえって偽物を駆逐するのに役立っているのかもしれません。

 

平成20年11月5日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第39回】 [ 食環境の現状(18) ]

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またも愚かしくもいやしい犯罪が発生しました。何らかの汚染によって工業用への

転化が義務付けられた輸入米が、一業者によって全国に食用に転売され、ばらまか

れました。大きな利ざやを稼いでいたのです。まさに濡れ手に粟とはこのこと。

この事件は偽装ではなく、犯罪そのものです。

 

転売米の最終使用業者、つまり市場での末端の食品製造業者は今のところ被害者で

はあるものの、事の内実を本当に知らなかったのか否かが、厳しく問われるでしょう。

また、万が一、農水省サイドの“見て見ぬふり”姿勢が露見するようなことになれば、

国を揺るがす一大事です。そこに癒着やなれ合いがなかったのか、金銭の見返りの

有無等、徹底した捜査が望まれます。

食品関連業者の企業倫理の遵守と、それをチェックする行政の矜持ある姿勢が、仕

組みの中に普通に循環する体制作りに期待するほかありません。

 

それにしても、米の最低輸入義務を課せられ、年間70~80万トンを中国などか

ら輸入せざるを得ないウルグアイ・ラウンド合意なるものの摩訶不思議さは、筆者

の頭では理解不能です。加えて、その中の汚染米を返却しない、という現状も納得

できません。国と国との貿易も一種のビジネスであるなら、粗悪品は相手国着信払

いでさっさと返品するのが常識ではなかろうかと。農業政策の弱腰外交が透かし見

えます。

 

食料自給率向上政策の為に、少なからぬ予算が農水省に回っているとか。メデアあ

げての危機感発信も、消費者に危機感をつのらせるに充分な効果を上げています。

国民に国内食料の需要を勧める前に、やるべきことは山ほどあると思うのですが。

近所のあちらこちらに点在する小さな農地と、同じ規模での休耕田を見るにつけ、

日本の農業の行く末が真剣に案じられるのです。この国は、本当に世界第二位の先

進国なのですか。

 

平成20年9月24日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第38回】 [ 食環境の現状(17) ]

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  昨今、「食」に関する課題提言は、安全をはじめとして私達の回りにあふれかえっています。
今まで、食の問題に無関心すぎたツケが、一挙に回ってきたという印象を受けます。
豊かになればなるほど、食品種が多くなればなるほど、食品への目が厳
しくなるというのも
皮肉な話です。度重なる食品偽装は多分、かなり以前から表面に出てこないままに
存続していたはずです。“消費者の目が厳しくなったから“も確
かに一因ですが、より大きな
要因は内部告発でしょう。世の中の人心が変化したの
です。偽装を続けることが難しくなった
のは、歓迎すべきですが、悪事がばれるの
は殆どが内部告発によるとは、情けない限りです。
食品関連業者の企業倫理の遵守
とそれをチェックする行政の矜持ある姿勢に期待する
ほかありません。
 

先日、“本当にいいものは高いので消費者も良品を買い支えるべきだ”がテーマの

食に関する本を読みました。値段はその食品の質を反映しているのは確かです。

でも、“安い”を第一義にとらえる消費者の傾向を、本当に優れた食材・食品が支持

されにくい理由付けにしているのには、疑問がわいてきます。消費者は、最後に買う人です。
消費者がお金を支払って、流通は完了するのです。安い物を買うのか、
高くても上質の物を
買うのかは、完全に消費者の自由な裁断にゆだねられているの
です。せっかく作った
上質の物が売れないのは、売る側の戦略・努力が足らないか
らに他なりません。
また、手をかけ時間をかけて作った物は、大量に売ることを
目的にはしていませんし、
大量に供給も出来ないのです。

 

以前から、筆者も“本物”重視、つまり“もどき”は買いたくないと述べてきました。
みりんもどき、酒もどき、醤油もどき商品は、価格を安く設定するために生ま
れたような
ものです。多くの消費者が、せめて基本食材くらい本物を購入する意志
をしめせば、
劣悪なもどき商品は、姿を消していくはずです。でも肉や野菜などの
食品は、本物ともどき、
の差を見極めるのは難しい。とすれば安いにこしたことは
ありません。いつの時代も、
高級品はあるのです。どの値段帯を購入するかは、全
く、その人の財政状況、こだわり
度合いによって異なるのです。消費者は馬鹿では
ない。やむを得ず、その価格で購入する
ケースが殆どなのだと、思っています。

 

食の安全や質の確保は、提供する側の倫理責任以外に、その責を問うことは出来ま

せん。リーズナブルで良い食材・食品を提供するのが、作る側の責務です。どうしても
高く売らざるを得ない食材・食品は、本当にそれが良い物であるなら、一部の
消費者が
買ってくれるでしょう。それが、自由流通なのです。

 

平成20年8月15日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第37回】 [ 食環境の現状(16) ]

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日本の食料自給率の際だつ低さに関しては、その原因や対策等、新聞誌面やテレビなどでも様々に議論されていますが、どれも今ひとつ、という印象を受けます。数十年をかけて?じわりじわりと低下してきたものを、そうは簡単に引き上げることも困難でしょう。でも、食生活の和食回帰や食べ残しゴミの減少など、国民への行動提起を目にし、耳にする度に腹立たしくなります。食料自給率をここまで低下させたのは、農政の大失策であると思うからです。民間他企業の参入を拒み、大規模農業への転換政策を行わず農地税制優遇政策を取り続け、生産調整に終始してきたツケが回ってきたということでしょう。

 

和食を見直しましょう、との連呼がかまびすしい中にあって、逆に洋風の食事を奨励する声もあるのです。中高年男性の約50%に傾向があり、実際に700万人もの人が治療を受けているという高血圧症。食事療法として、塩分を控えることが肝心なのは周知の事実。和食の献立につきものの、味噌汁や漬け物、醤油、魚の一夜干し、塩鮭、たらこ、お浸し、うどん、そば等には、どれも塩分がたっぷりと入っています。

 

むしろ、洋風の食事の方が低塩分なので、脂肪をとりすぎない程度に取り入れましょうとのアドバイス。確かに一杯の味噌汁には2gの塩分がありますが、牛乳は0g。食パンはバターがあれば充分に美味しく食べられます。日本人と比べ西洋人は塩分の摂取量が半分程度といわれているのは、まさに食生活の違いからきているのです。そして、日本人の塩分摂取量は、厚労省が旗を振っても、なかなかに少なくならない。

 

日本における食の洋風化は、必然性を伴ったのです。子供の成育を助け、病弱な人の栄養補給に寄与し、高齢者の健康保持にも役立ちました。牛乳やチーズ、鶏肉や豚肉は今や食卓に欠かせない食材です。日本食の良さは当然のことながら、生活環境は変化していくものです。食も変わって当然。農政も変わって当然なのです。食生活では、食の洋風化より、むしろ加工食品の氾濫の方に危機意識を持つべきでしょう。多くの加工食品には保存性を高める目的で塩分が添加され、安価な輸入食材も多使用されています。

 

“食の洋風化”だけに、低い食料自給率の罪?をかぶせるのは、いい加減に止めて欲しいものです。

 

平成20年7月9日 記    P&Cネットワーク  間島万梨子 

 

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【第36回】 [ 食環境の現状(15) ]

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 外食業界の市場は、ここ数年横ばい状態が続いていますが、次々に新しい商業施設がオープンし、それに伴って新しい飲食店も登場しています。5月にも淀屋橋に都心型商業施設[淀屋橋odona(オドナ)が、オープンし、12店舗の飲食店が入っています。大阪の名店揃いのようで、楽しみです。

りんくうタウンにも、昨年新しい商業施設がオープンしました。この地は、関西空港開港時に、華々しく大規模開発されたエリアですが、その後の景気低迷のあおりを受けて、周辺地の企業誘致はスムーズとはいえません。まだまだ充実したとはいえない状態ですが、[シークル]という、この新しい商業施設の登場は、周辺地のアウトレットや大型家具店、電器店との回遊性を可能にし、人の集まるエリアとして遅まきながら息づいてきたように思います。

当然に、その施設にも、何店舗かの飲食店が入っています。何度か、足を運ぶ内にお気に入りの店も出来て、家での料理をさぼる口実が増えたと、ほくそえんでいたのですが、その中の1店舗が、早々と店じまいをしてしまいました。まだオープンして半年足らずです。ソーゼージと世界のビールが売りのレストランでした。ランチは、野菜たっぷりのスープ、パスタ、パン、コーヒーで確か780円。

しかもパンは、手作りの3種が食べ放題です。しかも美味しい。良心的でしょう?でも、アラカルトで頼んだ肝心のソーセージが、今ひとつの味わいだったので、夕食利用はしないままに終わってしまいました。

オープンするのに、どれjほどの努力や苦労があったことかと察すると、この何とも急な閉店は、心痛むものがあります。第一の原因が売上げ不振であることは自明の理でしょう。何故、売上げ予想(当然に立てていたはず)に至らなかったのか。理由は、まず店規模が大きすぎたこと、隣にパスタなどのバイキングレストランが出店していること、そしてメインであるべきソーセージの魅力が乏しかったこと、などではないかと、勝手に想像しています。つまり、飲食店にとって、間違った戦略をとってしまった。身の丈に合わない規模、周辺店との類似化(差別化の失敗)、メイン料理のコンセプトの弱さetcです。どれも重要なファクターです。

最近は、特に閉店のスピードが早いような気がします。”傷の浅い内に撤退”。確かにビジネスの定石ですが、オープン前に、売上げを担保する集客を可能にするためのマーケテイング活動が、真剣になされたのか、疑問が残るところです。客が予想より少なかった理由は、必ずあるのです。成熟市場といわれるこの業界で、店を継続するのは簡単なことではありません。

  平成20年6月10日 記    P&Cネットワーク  間島万梨子 

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【第35回】 [ 食環境の現状(14) ]

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牛肉表示の産地偽装やブロイラーを地鶏と偽って販売したかどで民事再生手続中の高級料亭で、客の食べ残した食材を別の客に使い回していたことが発覚しました。まあしかし、次から次へと出てくるものです。内部告発による発覚でしょう。この会社は本当に人使いが下手だったのだなあ、とまさにブラックジョークの一つでも言いたくなります。果たして再生が可能でしょうか。徹底的に内部改革を行ってほぼ信頼を回復し、キオスクでも現在、順調に売れている赤福とは大きな違いです。

今回の”使い回し”が果たしてどのような罪状になるのかは分かりません。保健所に届けたそうですが、現状の法律では、○○違反と具体明示出来ないのではないでしょうか。だからといって許される所業ではありません。数年前、ある居酒屋のコンサルテーションをした時のことを思い出しました。客単価2000円前後の大衆居酒屋で、いかに売れるメニューを作るかに苦心しました。また、1品400円~500円が主流の料理価格から儲けを抽出するには厳しい原価管理が必要でした。いかに安い仕入れ先を探すか、いかにローコストの食材を売れる料理に仕立て上げるか、の知恵の結集です。

飲食店は素人でも開業出来ますが、利益を上げるには大変な労苦が伴います。1人2000円以下の客単価ではなおさらです。その居酒屋で、食材の使い回しをしていたかどうかまでは分かりませんが、オープンキッチンであったので、あからさまな”使い回し”は難しかったと思います。

さて、この高級料亭での”使い回し”が、何故これほど騒がれるのか。それは多額な費用を客に負わせながら、他の客の食べ残しを再利用するという、いやしい違反ビジネス故に他なりません。[手つかずの料理は食べ残しとは違うと思った]の言い訳は、まさに噴飯ものです。飲食店では、残った料理はすべてが”食べ残し”なのです。少しでも箸が入って身が崩れた焼き魚は、さすがに他客に出すわけにはいかない。手つかずの魚なら他客に出しても分からないから使い回す。これは商売の本質を理解していれば、到底出てこないやり方です。

商品は、支払った人に帰属する。費用を支払った人がその商品の持ち主となる。また新品と信じているからその値段を支払う。商売の鉄則です。中古の家を新築と称しては売れません。衣類でも、中古販売があります。アウトレットも賢い販売方法です。店も客も双方が納得して満足するからです。他の客が支払った食材を、そのまま他の客に売ることが、いかに信義に劣るやり方であるか、この料亭では分かっていなかったのでしょうか。手つかずに返された料理は中古品なのです。決して新品としては売れません。それと納得の上、まかないに回すなどの工夫で利用する手もあります。

どの飲食店でも大量に食材が残るものです。その食材をどうするのか。当然のように廃棄するのか、猫jに食べさすのか、飢えた人に食べてもらうのか、生ゴミ処理機でバイオ肥料とするのか、法律の範囲内で、それぞれの方法で処理されます。でも、他の客に知らぬ顔で売るのは御法度です。

 

平成20年5月8日 記      P&Cネットワーク  間島万梨子 

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【第34回】 [ 食環境の現状(13) ]

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度重なる食の安全を脅かす事件の発生で、流通する食材の安全性に留意する人が増えてきました。最近、スーパーマーケットなどで、パックされた食品の裏側をじっと見ている人が多くなりました。若い男女が、お互いの顔を近づけて、熱心に原産国や原材料などの表示をチェックしている光景は、ほほえましさを感じます。そうなのです。食生活は、若い頃からの蓄積が大切。そして何より、消費者の厳しい眼力こそが、食品業界にとって手強い反面、志ある生産者にとっては有りがたい味方にもなり得るのです。消費者が安全でおいしい食品にこだわることが、見栄えや保存、量の水増しのためにたっぷり添加物を投与された食品の撤退を促すことにつながるのです。

お刺身に付いているビニールの小袋に入ったわさびにしても、質は様々です。
異なる店で刺身を買って、それぞれのわさびを比べてみました。一つは、原材料として[西洋わさび、本わさび、酸味料、香辛料、香料、着色料(クチナシ)]が記載されています。もう一つは[西洋わさび、からし、水飴、なたねサラダ油、食塩、酸味料、VC、香料、着色料(黄色4号、青色1号)]となっています。前者の食品会社の方に、エールを送りたいと思いませんか。黄色4号は、合成着色料の中でもアレルギー性が高いと言われています。また青色1号は、発ガン性の疑いが出て、ヨーロッパでは禁止されている国もあります。

多くの着色料が日本でも禁止されてきましたが、依然として10種類以上のタール系合成着色料が認可されているのです。いつ何時、[この着色料は人体に危険であることが判明したので、食品に使用することは禁止する]と厚労省の発表があるかもしれません。たっぷりと摂取してしまった後で。
美しく見せる為に、安全性が担保されていない合成タール系着色料を平然と使用する食品メーカー。合成着色料はとても安価なのです。

美しい和菓子。タール系合成着色料が使用されているものが多くあります。
とてもカラフルで鮮やかな色彩は、赤色3号や青色1号などのタール系合成着色料が頑張って作り出した自然には無い幻の色合い。それら派手な和菓子の横にある地味な色合いの和菓子。小豆と砂糖、国産小麦が原材料でした。迷わず手にとって、お土産の1品としました。

 

平成20年4月16日 記      P&Cネットワーク  間島万梨子 

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【第33回】 [ 食環境の現状(12) ]

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【第33回】   [ 食環境の現状(12) ]

最近良く耳にするのが、“日本型食事の奨め”です。食の洋風化が食料自給率の低さの一因でもあるので、ここで日本本来のコメ中心の食生活を見直しましょう、という提言のようです。とても耳に心地よく、反論の余地が無いような主張です。でも、この“日本型食事の奨め”とは、具体的にどういった内容を指しての提言なのでしょうか。
 
 
[ご飯、薄揚げとネギの味噌汁、納豆、湯豆腐、大根の漬け物]。典型的な日本の朝食です。さて、コメです。かつかつ自給は出来ていますが、消費量が生産量を若干上回っています。外食業界や弁当業界では、安い輸入米を使用しているところも結構あるのが現状です。そして、ネギ、大根は、国内産でまかなえるでしょうが、その他は全滅です。薄揚げ、納豆、豆腐、味噌の主原料である大豆は自給率5.1%という壊滅的な状況にあります。納豆や湯豆腐にかける醤油も、主原料として大豆は欠かせません。大豆の輸入なくして、“日本型食生活”は決して成り立たないのです。
 
 
むしろ、クリームシチューの方が優秀です。クリームシチューが洋食かどうかは意見の分かれるところでしょうが、鶏肉や乳製品は自給率60%台を維持していますし、タマネギ、人参、じゃがいもも、まずは優等生野菜です。前述の“典型的日本型食事”より余程、国内産食料でまかなえるというものです。
大体が、食の洋風化といっても、専門レストランは別にして、個々家庭ではせいぜいがハンバーグ、カレー、シチューといったところではないでしょうか。
 
 
国産食料のみで成立する“日本型食事”など不可能なのです。自給率の低さの根幹は、大豆、小麦などの基礎食材の国内生産量の絶対的不足にあるということ。つまり、穀物と呼ばれる食材の国内生産量を高めずして、国としての安寧はあり得ません。他国は自国の倉庫でも冷蔵庫でもありません。いっときそれが可能でも、不測の事態発生時(その国の干ばつなどの異常気象や経済情勢の激変)に、自国を犠牲にしてまで、日本に基礎食材を安定供給してくれるでしょうか。
 
 
この世界は、貿易の発展が経済の繁栄を約束するのは勿論ですが、こと、食に関しては、他国に頼る危険性をもっと深刻にとらえて、早急に対策を立てねばなりません。これは一つの省の業務ではなく、国家戦略でもってあたらねばならない問題ではないでしょうか。
 

平成20年3月20日 記

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