食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第69回】 食環境の現状(48)

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食文化の豆知識  69 [食環境の現状 48]

 

東日本の被災地の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

被害の甚大さに声も失いますが、当地で復興に向けて歩んでおられる方々に深く敬意を

払わずにはおられません。今回の震災は決して他人事ではなく、海に囲まれた日本全国

どこでも起こりうる災害であることを、思い知りました。その意味で、被災地から離れ

た地にあっても痛みの共感が広がっているのは、当然のことなのでしょう。

 

今回の災害では原発異常もあって、食をめぐる市場は大きな変化を見せています。ここ

関西では著しい変化は見られませんが、スーパーからミネラルウォーターは姿を消しま
した。無ければ無いで結構。本当に必要とされる地域に最優先で充足されるべきで、我々

は水道水で充分です。皮肉なことに、いろいろな面で否応なく節約・節電がこの関西で

も進んでいます。僻地ともいうべき我が町でも、恒例のつつじ祭りの中止が決定しまし

た。たかが地元の商工会がこじんまりと開く慎ましい会でも、“祭り”の一字が、人を怯

えさすようです。“このような時に祭りなどしている場合か、不謹慎な”と、後ろ指を指

されるのを恐れての判断なのでしょう。自粛ムードに関しては、諸説異論がありますが、

心は充分に被災地と寄り添いながらも、行動は大人の合理性を保ってもいいのではない

かと思うのです。また都知事の“上野での夜桜見物などもってのほか”という発言をめ

ぐっても意見がかまびすしい。前述と相反するようですが、このご高説に関しては、知

事に賛成です
。毎年映像を通して見る、かの夜桜見物騒ぎには、騒々しいを通りこして、

醜悪さを感じてしまうからです。そういう場面を選んでおもしろおかしく報道するテレ

ビもテレビですが、せめて今年だけは大人しく桜を愛でてください。

 

この欄でも、電力会社のワルクチを度々言っていましたが、まさかこのような形で非難

囂々の嵐にさらされるとは思ってもいませんでした。市場独占メガ企業が持つ官僚体質

が露呈されました。現場で頑張る技術者のみなさんが,めげることなく任務を遂行され

ることを願うばかりです。そして福島の美味しいお米と新鮮な野菜を、たっぷりと味わ

える日が一日も早く訪れますように。それと豊富な魚介類も・・・・是非。

 

23年4月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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【第68回】 食環境の現状(47)

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食文化の豆知識  68 [食環境の現状 47]

 

高級日本料理店を率いる料理長の奮闘ぶりを密着取材した、テレビ番組を見ました。

いわゆる経営者料理長なので、店に対する思い入れや危機感、また向上心等の高さは

尋常ではなく、また創り上げる数々の料理の見事さに魅入られました。お座敷の調度

品や良く手入れされた庭園も、総合価値を高めています。一度くらいは経験してみたい

と、多分誰もがあこがれる有名店です。ただコース料理のお値段は4万2000円とか。

空を見上げて、ため息一つ、といったところです。何と、強気な姿勢でしょう。

そこである料理長から聞いた話を思い出しました。フレンチシェフでしたが、どのよう

な高級食材を使った料理でも、おおよそ2万円頂ければ、充分に利益は出るものだと。

だからそれ以上の価格設定は、喜んで支払う客の存在の有無にかかっていると。

これには諸説異論もあると思いますが、ものの値段とはそのようなものであるのでしょ

う。支払う人がいると、その価格は立派に成立するのです。たとえ、内容が価格にそぐ

わなくても、です。4万2000円の価値を、その料理とブランド力と環境からみて認

める人はどうぞお支払いになってお楽しみください、でいいのです。

 

ことほどさように、お金の使い方ほど、個々人の相違が出るものは無いように思います。

ただ本来、だれもが同じレベルで支払うべき公共料金が、地域によって大きな差が生じ

ているのは、全く納得がいきません。浮き草の如く、各地を動いた時期がありますが、

住む地の差異をもっとも感じ入ったのは、何と水道料金でした。和歌山県の清流を源と

する地での水道料金は一ヶ月3500円。入居者で平等にシェアする大阪市内マンショ

ンでは一律1500円。汚染された沼を水源とする地では、6500円。そして大阪のはずれである

今の地では、遠く琵琶湖から続く淀川を水源とするためか、普通に使用して一ヶ月9000円! 

毎日の暮らしになくてはならない最たるインフラである水。

それがこんなにも地域によって格差があるのは、何かおかしい。それぞれもっともな
理由を聞かされますが、均一化への努力が全くなされていないことに問題を感じます。

 

ちなみに、20立方㍍使用の場合、全国で一番高い水道料金は1万2600円、一方

もっとも安い地区では840円とか。今や、水道事業はギャンブル的要素をはらみ、

その地の住民を巻き込んで、異常な高騰へ突き進みむ危険性を隠し持っています。

手を打つなら早いほうがいい。すべての水道業者が杜撰だとは思いませんが、住民が

要らないからといって拒否出来ない、命の根元たる水の安定価格提供は、国の政策とし

て管理されるべきではないでしょうか。

 

23年3月6日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第66回】 食環境の現状(45)

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食文化の豆知識  66 [食環境の現状 45]

 

クリスマス商戦から始まった歳末の喧噪が終わったかと思えば、早くも百貨店やスーパ

ーマーケットの初売りの声が鳴り響いています。その逞しさと熱心さには、正直頭が下

がります。正月といっても休んでなどおられない、といったところでしょうか。

 

初詣に出掛けた2日、好天気に恵まれたこともあって、それほどメジャーな神社でもな

いのに駐車場まで長い渋滞の列ができていました。やっとのこと神社で新年の参拝を済

ませた頃には昼どきとなっており、お腹が空いてきました。で、車を少し走らせた場所

にある回転寿司店に入りました。幸いにも営業している風でしたし、なかなかに美味し

い寿司を食べさせてくれるので、ときどき利用していた店です。12時を少し回ってい

たのですが、カウンターが少々空いており、我々3人はスムーズに席に座ることができ

ました。中の従業員たちは元気が良く、とても活気に満ちています。寿司もさらにバー

ジョンアップしたような印象で、幸せな気持ちでいただきました。驚いたのは、私たち

が入店してすぐに、お客がどんどん入ってきて、またたく間にウエイティング客であふ

れかえったことです。少しの時間差で席を取れてラッキーでした。満足して店を出る頃

には、40分待ちの案内が出ていました。回転寿司といっても激安価格では無い店で、

新年2日でこの状況です。この分なら、今年もこの店は大丈夫でしょう。ほっとすると

同時に、不況といっても他国から見れば日本はまだまだ強いのかもしれないと、少し安

心感を覚えた次第です。

 

そう言えば、年末に訪れた店はどこもお客で賑わっていました。どの店も、気持ちがい

い接客で、まさにホスピタリティがあふれていました。幸運としか言いようがない。

でも考えてみると、一度訪問して、少しでも不満が残った店には行かないのですから

(この店はダメだと自分で結論づけた店には、二度とは行きません。妥協はしません)、

行きたい店は、残った数少ない店?なので、相性が良く楽しめるということです。当然

といえば当然なのですね。二度と行かなくなった店には、同じ特長があります。料理に

ばらつきがあり(日によって出来不出来が顕著)、店で働く人が元気でないことです。

客に喜んでもらいたい、という思いが全く伝わってこない。そんな店が結構あるのです。

つまり経営姿勢が信用できない。多くは客数がじり貧になっているようです。結局、ほ

かのお客さんも支持していない。自分の選択眼が特別でもなんでもないことに気づき、

安心するかたわら、少し謙虚にもなりました。

 

23年1月3日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第65回】 食環境の現状(44)

 

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 食文化の豆知識  65 [食環境の現状 44]

 酷暑を原因とする野菜の価格高騰が、今でも続いています。一部には、以前の価格に落

ち着いたものもありますが、多くは高め推移のままに12月に突入しました。まだ不作

なのでしょうか。野菜の価格は、家計にもろに響きます。毎日、口に入れるものが、不

安定に値動きすべきではないのです。米の価格安定には、ことさらに熱心な行政が、こ

の野菜高騰に対して何の政策も成し得ないことに、驚きを感じます。一体、どこがデフ

レなのでしょう。

以前にも述べましたが、光熱費、医療費、そして野菜価格の高さは、何に起因するので

しょう。つまり消費者が節約しにくい分野は、ちっとも低くなっていない。低価格化に

あえいでいるのは、服飾や家電、外食関連に偏っているような気がします。気の毒に思

えるほどです。何かオカシイ。

百円ショップの品揃えには圧倒されます。近くの百円ショップも大改装され、二倍以上

の商品規模になりました。中にはそれほど値打ち感の無い品もありますが、よく百円で

売っているものだと、驚愕する商品が並んでいます。でもそこには、電気は売っていな

いし、薬もありません。生鮮品も無い。製造メーカーが血の出るような努力で、百均シ
ョップに出せる商品を開発している中で、高め推移が当然のような顔をしてまかり通っ

ている業界があるのです。超高級ホテルがあってもいいのです。一人二万円のフレンチ

レストランがあってもいい。何十万円のバッグがあってもいい。それらは欲しい人だけ

が購入すればいいからです。でも光熱・医療・ひいては教育関連にかかる費用は、欲し

くないから要らない、というわけにはいかないのです。人間生活の根幹にかかわるもの

こそ、安価で供給されなければならないのでは
ないでしょうか。

デフレといっても、多分市井の人々の生活が楽になっているわけではないのでしょう。

これから厳寒を迎え光熱費はいやが上にもあがります。風邪をひく人も増えます。病院

に行く時間の無い人は、薬を買ってしのぐことでしょうが、その高さには驚かされます。

ジェネリック医薬品は、もっと市場に出てきてほしいものです。

 

22年12月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第64回】 [ 食環境の現状(43) ]

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食文化の豆知識  64 [食環境の現状 43] 

 

秋の味覚の先陣を切る秋刀魚が、当初一匹300円という高値がついて驚かされました

が、ここにきて100円前後で安定しています。これで思う存分、脂の乗った秋刀魚の

塩焼きが楽しめそうです。確かに、魚は海流を南下したり、北上したりして日本の海域

を泳いでいるので、収穫できる時期が多少遅れたりするのは当然なのかもしれません。

でも最初の秋刀魚の漁獲量の少なさによる高値をみたとき、正直、ひやっとして北海道

旅行時のことを思い出しました。

 

利尻、礼文島を回遊したときのことです。鰊についてガイドさんの説明を聞きました。

ご存じのように、鰊は北海道の小樽地区や利尻などで1897年の最盛期には、約10

0万トンにものぼる漁獲量を誇り、地域に莫大な富をもたらしたといいます。卵の数の

子は高値で世に出回りました。身の方は捨てるか肥料に回されたとか。その繁栄の名残

ともいえる、広大なにしん御殿が残されています。でも肝心の鰊は今では見る影もない

漁獲量に成り果てています。現在私たちが口にする数の子は、殆どがカナダ・アラスカ・

ロシア産です。漁獲量減少の理由としては諸説あるようですが、地元出身の女性ガイド

さんは、“ずばり乱獲が原因です”と、言い切りました。それも悔しそうな口調で。

目に余る乱獲によって、後世の地域の糧を断ち切ってしまった罪は大きいと言うのです。

何とも複雑な気持ちになりました。というのは、乱獲は現在でも存在するのではないか

と。現在、カナダではほぼ完璧に漁獲量の調整が行われ、その結果、豊かな魚場が実り、

経済の繁栄の一貫を支えています。日本でも、鮎やカニなど限られた魚種の漁獲規制は

ありますが、乱獲を押さえる有効な手だてはなされていません。

 

限りある資源の枯渇を防ぐためにも、効率よくシステム化された漁業の確立が急がれま

す。日本を巡る水産資源は国民の宝です。昔から魚が日本人の命を支えてきました。そ

の貴重な資源を漁業従事者の頑張りに頼るだけでは、未来の資源枯渇が危ぶまれます。

中国をはじめとする他国も一人当たりの魚摂取量を増やしている現状下、従来のギャン

ブル的要素を帯びた漁獲から、養殖事業の拡大や厳格な資源管理の元での安定したビジ

ネス漁業への転換が必至ではないでしょうか。

 

22年11月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第63回】 [ 食環境の現状(42) ]

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食文化の豆知識  63 [食環境の現状 42] 

 

近刊の米誌ニューズウィークの特集「世界の最良国」総合番付で、日本が100カ国中

9位につけたと、産経新聞が報じました。ちなみに米国は11位、ドイツ12位、韓国

は15位で、中国にいたっては59位だそうです。上位は欧州の小国が占めています。

人口が多い国の中では、日本は堂々のトップなのだとか。うれしいような、本当かしら

と思ってしまうような結果です。でもまだまだ日本は捨てたものではない、というのは

事実でしょう。

 

日本にいて日本の悪口ばかり言っているひとには、気に入らない結果かもしれません。

日本は、確かに完璧でもなく、改善すべき点を山ほど抱えている現状ですが、それでも

素晴らしい国であることは間違いないと思うのです。海外に行くといつも日本の良さを

再発見できます。問題点もよく分かる。だから、若い人にはどんどん海外に行ってほし

い。今、若者の海外旅行が激減しているそうです。経済的に余裕がないからだけではな

く、興味が内向きになっているからだと、いわれています。日本で手に入らないものは

もはやありません。リスクを負ってまで(やはり海外旅行はある程度のリスクの覚悟は

いります)海外に行きたいとは思わないのでしょうか。そうなら、国が金を出して若者

をどんどん外国へ送り出せばいいのです。いや、お年寄りも援助して行ってもらいまし

ょしょう。日頃から不平不満ばかり言っている人は、優先して行っていただきたい。

 

先進国であっても、安心して水道の水が飲める国は希少です。夜に街をぶらついて比較

的安全である国も少ない。アジアのリゾートは、そのエリア内のみが安全であるところ

が多いのです。ひとたび街に出ればデパートに入るのにもバッグの中身のチェックが必

要な国もありました。トイレも、日本以上に整備された国は経験していません。

まして食となると、日本よりレベルの高い国は、まず見当たりません。ポイントで美味

しい“食”は勿論、ありますが、清潔度や接客度などを加味してのレベルとなると日本

は追随を許さないと、個人的に思っています。海外の国々を知って、自国のありがたみ

を知る、を身をもって感じます。日本から外国へ不法入国する例は少なくても、その逆

は目に余るほど多い現状が、すべてを物語っています。

 

日本の食の繊細さと栄養バランスの良さは、まさに日本の宝といえるでしょう。でも

海外、それも欧米に習うべきだなと思うことも多い。それは自然に身に付いた、公の

精神です。肩が少し触れあってもソーリースマイル、ドアは必ず先の人が手であけてお

いてくれる、車椅子の人を優先してくれる、お年寄りが電車の中で立って若者が座って

いる風景はあり得ない、などなど。日本人にこれらのソフトマナーが身に付けば、それ

こそ世界トップクラスの国になると思います。

 

22年10月3日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第62回】 [ 食環境の現状(41) ]

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食文化の豆知識  62 [食環境の現状 41] 

 

久しぶりに連絡を取り合ったコンサルタント仲間が、飲食業界の目を覆うばかりの惨状

を嘆いていました。一等地にある一部の人気店を除いて、一様に売り上げ低迷にあえい

でいると。客数減少と一人当たりの利用金額減少のダブルパンチに襲われているという

のです。確かに、1年ぶりに訪れた中華料理店が閑散としていたのに、驚きました。予

約なしでは入れなかった店と記憶していたので、予約の上訪問しましたが、2割ほどの

客入り状態でした。平日の月曜日であったことを差し引いても、寂しい風景でした。

やはりレストランは、そこそこお客さんがいてこそ息づくものだと、あらためて感じた

次第です。

 

一方、安価なフードコートや手軽なカレーショップ、リーズナブルな製麺店などは、曜

日を問わず、にぎわっています。最近、気にいってるうどん店は、トッピングに穴子天

ぷら、野菜のかき揚げをプラスして、ひとり420円!です。終日お客さんが入ってい

ます。安くて、しかも美味しい。これなのです。デフレの影響で価格が安くなったとい

っても、美味しくなければ支持されない。一番敬遠されるのは、高くてまずい、のはず

ですが、意外にもこの手の店が健在という例もあります。同席した4人のだれもが不満

をもらした(美味しくなくて)老舗和食店は、今でも誇りある名店として露出していま

す。高くてまずい、が最悪ではないのです。高い店は、上品な内装や丁寧なサービス、

落ち着いた空間提供という強みがある。料理をカバーできる要素が多いとも言えます。

 

嫌われるのは、安くてまずい、ではないかと思います。これがお客の心証を最も悪くす

る。安いということは、分かっている。こんな値段でいいいの、とも思っている。それ

が美味しければ、感動が生まれます。ありがとうの心です。でも逆に、もしまずければ、

まさにお金をどぶに捨てた、感覚です。自分が“安物買いの銭失い”の馬鹿ものに見え

てしまう。自己嫌悪です。だから、値段が安い、は経営側にとっては本当は緊張をとも

なうビジネスなのです。そこのところを誤解している経営者がたまにいます。

 

ことほどさように、レストランの価格設定は難しい。厳しいご時世で、安いのが有り難

いのは事実ですが、安いだけでは客は来ません。仮に、安さに惹かれて来ても、まずけ

れば二度目の来店はまず無いでしょう。安いけれど、ちまちました売り方をしていない。

お客さんはそんな店を良く知っています。ちなみに、先のうどん店は、ネギ入れ放題、

天かす入れ放題です。気持ちがうれしい。

忘れてました。個人的にもっとも避けたい店は、そんなに高くはないけれど、美味しく

もない、でした。先日もそんな店にあたりました。1000円のランチ寿司定食でした

が、平凡な寿司8カンに、具の無い赤だしがついていました。有名なチェーン店です。

今一度、初心に戻って、奮励努力してほしいと思いました。

 

22年9月5日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

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【第61回】 [ 食環境の現状(40) ]

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食文化の豆知識  61 [食環境の現状 40] 

 

某新聞の生活欄で、スーパーマーケットでの食品や日用品の容器包装の簡略化が徐々に

進んできたとの記事を目にしました。やっとその方向に向かうのかと、感慨深いものが

あります。ただ実際にこの目で確かめたわけではないので、その動きがどの程度浸透

しているのかは分かりませんが、簡略化は、是非とも進めていただきたい。

 

自ら無駄をなくす工夫もせずに、客にエコを強いる欺瞞を、肌で感じていたからです。

手間をかけてリサイクルをする前に、根本から不要なものを減らす方が、余程合理的

なのは当然です。容器包装は、家庭ゴミの約6割を占めるとか。大仰な食品トレーなど

は、洗って回収箱に入れるか、行政のプラスチックゴミ回収に回さなければならない。

水道代を含めて大きな無駄と手間の発生です。包装の簡略化は、食品トレーを製造して

いる会社にとっては、死活問題かもしれません。でも容器包装は、商品を立派に大きく

見せるテクニック的役割を担っています。廃材を利用する爪楊枝や割り箸とは、次元を

異にする不要な商品だと思うのです。その費用も商品価格にオンされ、結果として消費

者は高い値段を払わされるからです。日本独特の消費構造傾向です。

 

精肉、果物などは、簡易ラップで十分です。そのまま冷蔵庫に入れられます。見映えを

良くするための包装はもう結構です。贈答品や超高級品などは、包装も値打ち度を高め

る意味もあるでしょうが、家庭で日常に使用する商品は、なるだけ簡易包装の方が使い

勝手がいい。シンプル イズ ベスト。生活スタイルもその方向に向かっています。

ただ、そうなると関連諸企業が影響を受けるので、景気が悪くなると揶揄する主張もあ

ります。無駄もまた経済を支えると。でも考えてみれば、おかしいことです。蕩尽によ

る景気は、軟弱な土俵に立っています。それよりも、夢のある、そして本当に便利な商

品を開発してこそ、経済に役立つ企業といえるでしょう。お金は生産性の高いところに、

流れるべきです。

 

22年8月1日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第60回】 [ 食環境の現状(39) ]

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食文化の豆知識  60 [食環境の現状 39] 

 

消費税増税を巡って、各党各紙各ジャーナリスト、論戦にぎやかです。国の税収が低下

の一途を辿っている状況下では、広く税収が期待できる消費税アップはやむを得ないと

いう向きと、今増税などすれば益々景気が悪くなってしまうと警告を発する向きもあり、

どちらの意見もそりゃそうだなと思ってしまいます。“正義はどちらに”という問題でも

なさそうです。本音としては、やはり増税は痛いかなと。でも単純に収支を考えれば今

のままでは日本がどっつぶれてしまいそうで将来の不安がつのります。

 

さて、悩ましい消費税談議は横に置いて、最近、レストランでのお持ち帰りが、徐々に

増えているそうです。エコ意識の高まりを受けて“もったいない”精神が浸透してきた

のでしょう。年間1900万トンの食品廃棄物の中で、500から900万トンにも登

る食品ロス。食品ロスとは、食べられるのに廃棄される食品です。特に、レストランの

食品廃棄の再利用率は低いのが現状です。お客さんの食べ残しや売れ残り食品は、衛生

上、廃棄されるのです。そこで、自分の食べ残しを持ち帰ろう、という動きです。

 

ドギーバッグと呼ばれ、米国や中国などでは日常化しているようです。カナダで訪れた
中華レストランでは当然のように、食べきれない料理を皆が専用箱に入れて持ち帰って

いました。それをどう食べようとも、利用者の裁断にまかされます。ドギーバッグの語< /p>

源の如く、アメリカでも当たり前のことになっています。日本でも宴席での料理を折り

詰めで持って帰る習慣はありますが、一般レストランでは少ないのが現状です。店側と

しては、食中毒を恐れて慎重にならざるを得ない。確かに、家に持って帰って直ぐに食

べずに、古くなったものを食べて病気になった場合でも、店の責任の所在を問われそう

です。これでは、たまったものではないでしょう。

 

でも、持ち帰りによる食中毒の危険性は、そんなに心配することは無いと思います。

なぜなら、食中毒の大半は細菌やウイルスによるもので、万が一それらに汚染されてい

るのであれば、店で出された時点でアウトだからです。潜伏期間は3時間から数日後と

幅広い。だからレストランの食中毒は大抵自宅に帰ってから発症します。

個人的には、もっと持ち帰りが一般化すればいいと思っています。ただ、なるだけ早く

食べてしまうのは当然で、そのときも鼻で目で舌で確かめる。五感を働かせれば、食べ

られるかどうかは判断できます。昼食時のものなら夕食の一助に。夕食時のものなら夜

食の楽しみやお土産に。楽しみが増えそうです。

 

22年7月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第59回】 [ 食環境の現状(38) ]

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食文化の豆知識  59 [食環境の現状 38] 

 

自宅で食事を取る機会が増えると、たまの外食時には、家では作りにくいもの、また

作りたくないものを選びがちになります。例えば、焼肉、寿司、天ぷら、串カツの類

です。これらは、料理の後始末が大変であったり、材料を揃えるのに無理があったり

するので、外食ならではの値打ちがあると思うのです。ところが、家で自分で料理を

作らない人は、この限りではないようです。

 

ある会合に参加しました。会合といっても、気楽に酒を飲み交わそうという会合です。

いつもは決まったレストランが会場になるのですが、時に違った店が会場となる場合が

あります。選ぶのは幹事なのですが、なかなか面白い店が選ばれます。良い悪いでは

なく、自分で料理を作る人なら、選ばないだろうな、という店です。ずばり、家庭料理

を標榜する店。切り干し大根やコロッケ、いわしのショウガ煮、豆腐と豆の煮込みなど

など。会員の大半は中年の男性で、幹事も勿論男性です。リタイア後の人も多い会です。

出された切り干し大根に目を細めて喜こび、豆腐の煮込みに舌鼓みを打って、満足気で

す。つい最近も家でそれらの料理を作った身としては複雑な思いでした。

 

環境が違えば、欲する外食も違って当然なのだということに、一種、驚いたのです。

みんながみんな、同じ料理種を望んでいるわけではないからこそ、色々な業種の外食

店が成り立つわけです。その店の料理は、なかなかに美味しかったのですが、プロの

料理とは言い難い。やはり個人的には、外では家のそれとはまた違った料理を味わい

たい。それと、男女にかかわらず、台所に立って、料理を作ってみるべきだと思いま

した。毎日、自分の口に入れる食べ物を、人にまかせっきりでは勿体ない。自分で

色々な家庭料理と言われるものを作ってみる。簡単です。簡単にできるから家庭料理

なのです。

 

 

22年6月4日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

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