【第63回】 [ 食環境の現状(42) ]

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食文化の豆知識  63 [食環境の現状 42] 

 

近刊の米誌ニューズウィークの特集「世界の最良国」総合番付で、日本が100カ国中

9位につけたと、産経新聞が報じました。ちなみに米国は11位、ドイツ12位、韓国

は15位で、中国にいたっては59位だそうです。上位は欧州の小国が占めています。

人口が多い国の中では、日本は堂々のトップなのだとか。うれしいような、本当かしら

と思ってしまうような結果です。でもまだまだ日本は捨てたものではない、というのは

事実でしょう。

 

日本にいて日本の悪口ばかり言っているひとには、気に入らない結果かもしれません。

日本は、確かに完璧でもなく、改善すべき点を山ほど抱えている現状ですが、それでも

素晴らしい国であることは間違いないと思うのです。海外に行くといつも日本の良さを

再発見できます。問題点もよく分かる。だから、若い人にはどんどん海外に行ってほし

い。今、若者の海外旅行が激減しているそうです。経済的に余裕がないからだけではな

く、興味が内向きになっているからだと、いわれています。日本で手に入らないものは

もはやありません。リスクを負ってまで(やはり海外旅行はある程度のリスクの覚悟は

いります)海外に行きたいとは思わないのでしょうか。そうなら、国が金を出して若者

をどんどん外国へ送り出せばいいのです。いや、お年寄りも援助して行ってもらいまし

ょしょう。日頃から不平不満ばかり言っている人は、優先して行っていただきたい。

 

先進国であっても、安心して水道の水が飲める国は希少です。夜に街をぶらついて比較

的安全である国も少ない。アジアのリゾートは、そのエリア内のみが安全であるところ

が多いのです。ひとたび街に出ればデパートに入るのにもバッグの中身のチェックが必

要な国もありました。トイレも、日本以上に整備された国は経験していません。

まして食となると、日本よりレベルの高い国は、まず見当たりません。ポイントで美味

しい“食”は勿論、ありますが、清潔度や接客度などを加味してのレベルとなると日本

は追随を許さないと、個人的に思っています。海外の国々を知って、自国のありがたみ

を知る、を身をもって感じます。日本から外国へ不法入国する例は少なくても、その逆

は目に余るほど多い現状が、すべてを物語っています。

 

日本の食の繊細さと栄養バランスの良さは、まさに日本の宝といえるでしょう。でも

海外、それも欧米に習うべきだなと思うことも多い。それは自然に身に付いた、公の

精神です。肩が少し触れあってもソーリースマイル、ドアは必ず先の人が手であけてお

いてくれる、車椅子の人を優先してくれる、お年寄りが電車の中で立って若者が座って

いる風景はあり得ない、などなど。日本人にこれらのソフトマナーが身に付けば、それ

こそ世界トップクラスの国になると思います。

 

22年10月3日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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