【第88回】 食環境の現状(67)

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食文化の豆知識 88 [食文化の現状67]

 

景気は一向に良くならないものの、人々はそれなりに楽しんでいると痛感する場面が多々

見られます。旅行に行けば平日でも観光スポットには人が溢れているし、外食シーンでも

人気店は満席状態で、客たちが美味なるものに舌鼓を打っています。でも現実に家電をは

じめ、著しく業績を落としている企業が多く出始めているのも確かです。円高が元凶なの

でしょうか。それとも先行きの見通しが甘かった?

「企業業績の悪化は、給与削減という形になってそこで働く人たちの家計をいやがうえに

も圧迫していきます。結果として消費が低迷する。そして物が売れなくなると価格競争が

発生し、企業の業績がさらに落ち込んでしまう。この悪循環に抜本的な対策が打てないま

ま、日本の活力がどんどん失われていく」とは新聞以下、メディアの論調です。日本には

それなりの経済のプロが多くいるはずなのに、何故いつまでも景気が落ち込んだままなの

か、経済に疎い頭では疑問だらけの現状です。かつてのようなバブル景気はもう要らない

けれど、やはり着実に景気は上がっていって欲しい。でも冒頭に述べたように、各所各地

各世代では、とても元気な状況を見受けることが出来るのです。メディアが騒ぎ、不景気

を表す実数が明らかであってもなお、街はそこそこ活気があり、上質のレストランは賑わ

いを見せ、観光地には多くの人が集う。第一に暴動が起きない。日本の底力は捨てたもの

ではないのでしょう。

ただ人の心理は微妙に変化しているのは確かで、言葉を変えれば、賢くなっていると言え

るかもしれません。働く女性向きの情報誌が実施したアンケートによると、OLのお小遣

いの用途が5年前とは明らかに異なっているようです。平成19年のお小遣い使い道の1

位は洋服、2位が飲食代、3位にレジャー関連、4位が趣味、そして5位が貯蓄であった

のが、24年では1位が飲食代、2位がレジャー関連、3位が貯蓄となり、4位が趣味で、

洋服は5位に下がったとか。高品質で安くて格好いい衣服が出現してきたのが大きな要因

でしょうが、飲食とレジャー関連が上位にきたのは、楽しく日々を過ごしている向きが伺

えます。見栄を張らずに実質的に楽しみ、将来への貯蓄も忘れない。何と賢いOLさんたち

でしょう。高級ブランド服には悪いですが、身の丈に合う暮らし、に日本人もやっと気づ

いたのかもしれません。より地に足の着いた堅実で賢い消費者になって、うまくお金を使

っていきたいものです。企業も、消費者がうなるようなお値打ち感のある商品を産みだす

努力が求められます。

 

               24年11月1日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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