顧客満足の複雑さ 174(食と経済の関連)

         顧客満足の複雑さ174「食と経済の関連」  

最近、新聞や雑誌などで食の安全や食が健康に及ぼす影響に関する記事はよく目にするが、予想内に収まる内容のものが多い。良く言えば再認識、悪く言えば二番煎じというところか。ただ、異なる観点から積み上げた異なった内容を組み合わせると、新たな世界観が見えてくるのが面白い。例えば食品添加物を取り上げた記事では、それらが体に及ぼす影響に警鐘をならしている。ただそれら食品添加物は厚労省認可のもとに使用されており、直接体に害を及ぼしたという事実事例は聞かない。警鐘は憶測の域を出ないが、自身を振り返れば、なるだけ添加物の少ない食品を選んではいる。保存性や見た目、また味覚向上性での添加物の持つ役割は認めてはいるものの、素材そのものを味わいたいという欲がある。また添加物の体に及ぼす影響はどこかで現れるのではないか、という危惧感も少なからずある。悩ましいのは、添加物が少なければ少ないほど、価格が高い、ということだ。 

ここに3種の食品がある。A社の人気食パンの原材料をみると、小麦粉・糖類・マーガリン・バター・パン酵母・食塩・発酵種・脱脂粉乳・植物油脂・乳化剤・イーストフード・VCが記載されている。一方、B社食パンの原材料は、小麦粉・砂糖・バター入りマーガリン・パン酵母・食塩・米粉・醸造酢となっている。大手スーパーでは上記A社食パンは4枚切148円、B社は188円で販売されている。常時の価格だ。大きな違いは乳化剤とイーストフードが入っているか否かだろう。そして入っていないほうが高い。だしの素では、A社の原材料は、食塩・ブドウ糖・風味原料・たん白加水分解物・アミノ酸等となっている。B社は風味原料・でん粉分解物・酵母エキス粉末・麦芽糖が記載されている。風味原料というのは、かつお節粉末や昆布粉末などを差し、両社とも内容はほぼ似ている。大きな違いは食塩とアミノ酸が加味されているかどうかで、加味されているほうが4割がた安い価格で売られている。かまぼこA社の原材料は魚肉・みりん・砂糖・食塩・卵白・でんぷん・アミノ酸等調味料・保存料・着色料(赤色106号・カロチノイド)。一方B社のそれは魚肉・砂糖・みりん・卵白・食塩・昆布だし・酒かすで、価格はA社のかまぼこは、B社の半値以下だ。どの食品でも、食品添加物が多ければ多いほど価格は安い。どちらを選ぶかは消費者の自由ではあるが、価格の安さは大きな魅力であるのは確かだろう。販売数がそれを裏付けるかもしれない。 

全国市区町村の男女平均寿命に関する記事をみつけた。男女共、全国一は川崎市麻生区で、男性84.0才、女性89.2才だという。この地はいわゆる住宅地で、公園などの緑地も多く、散歩やジョギングを楽しむには絶好のエリアらしい。生活水準も高い。ちなみにワーストワンは大阪市西成区で、平均寿命は男性73,2才、女性84,9才だ。男性は10才以上の差がある。以前のドヤ街と呼ばれた時代と比べ整備されたと聞いていたが、この結果は胸をえぐる。喫煙率は高く、検診率は低い。そして食生活の差も寿命差の結果の一由をになっているのだろう。食は経済によって大きな違いが出る。贅沢な食品が違いを左右するのではなく、意識の問題にかかわる、ということだ。ただ、この価格高騰のときには“食費をまずは削る“の声を最近よく目にし、耳にする。心が重くなるが反論はできない。  

     2023年6月1日  間島

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