顧客満足の複雑さ169(自給体制の確立は急務)

      顧客満足の複雑さ169「自給体制の確立は急務」  

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

やはり新年のごあいさつとしては、ほかの文言がみつからない。乱れる世界情勢の中で、この言葉を発することができる国に生きていることに感謝したい。どうか今年はコロナの5類化への移行に伴い、平常な生活が戻りますように。そしてウクライナの人々が暖かい備えで、厳しい冬の生活を迎えられますように。 

さて、ウクライナ危機は周辺国のみならず、多くの国に危機意識を共有させた。日本でもウクライナ危機をきっかけに食料や肥料の多くを輸入に頼るリスクが表面化したという。笑わせないでほしい。食料の自給は、何かをきっかけにその重要性に気づくような問題ではない。国の根幹を支える最重要課題のひとつであり、平時から死に物狂いの政策・対策が必要なのに、具体的に何をしてきたのか。国民に“米を食べましょう“と呼びかければ、それで自給率があがると本気で思っているのかにわかには信じがたい。多分、有益な方策はわかっているのだろう。でも実施できていない。反対を恐れ、抵抗を恐れ、メディアを恐れ、これといった手を打てないままに、米を食べなくなった国民のせいにする?自給できているのは米飯だけで、他はオールアウトだ。大豆の自給率は全体で6%。食品用に限っていえば20%前後。大豆から豆腐、味噌、醤油が作られる。まさに日本の食卓には欠かせない大切な食材がわずか20%の自給率でまかなわれているのだ。ただジャガイモに関しては日本は健闘しているらしい。北海道での大規模生産が功を奏して、世界でも上位の生産額を誇っている。そういうことで、農業はもはや大規模化と機械化の両輪なくして、成り立たないということだ。 

一定の規模以上での農地に限って税の優遇措置が施されるべきで、あまりに小規模な農地は家庭菜園並みに扱うことで、生産可能土地の集約化を図らねばならない。零細農家を弱者扱いして助成し続けることが、日本の農業を発展させ得るだろうか。企業化による生産能力の向上や働く人の待遇改善を図る以外に、日本の食料自給率の向上は期待できない。経済的有利さで不足分は他国から買えばいい、で通用する時代は過ぎた。有事となればどの国も自国第一だ。他国に回すものは無いといわれれば、それで万事休す。半導体の国内回帰も極めて重要な政策であるが、食料自給率が無残に低い状態が、いかに国の脆弱化を如実に表しているかの危機感があまりに少ない。 

と、ここで新年の悪夢から目が覚めた。テレビはどの局も数時間もの録画番組を流し続け、NHKのBSで毎朝放送されていた海外ニュース速報もお休みだ。そうなのだ、ただのニュースなのだから、年末年始は社員は休暇を取らねばならない。で、思い出した。コロナ禍真っ最中のとき、民放テレビ局の社員が大宴会を催し、二階から女性が転落した不祥事を。それに関して上層部からの事情説明は聞いたことが無い。もしこれが政治家の集まりであったのなら、メディアからどんな罵詈雑言が聞けたことだろう。MCやコメンテーターたちの顔をゆがめての、罵りぶりを想像するだけで楽しい。            2023年1月1日 間島

カテゴリー: 顧客満足の複雑さ パーマリンク