顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ 」

      顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ」

5月下旬をもって、日本全国でコロナ緊急事態宣言が解除された。まずは朗報なのだが、第二波は必ずくるとの警告が、行動や心理にまだ重くのしかかる。発症者数を一定内に収め続けるために、今後も長期間にわたって、国民、企業ともに予防策は取られるだろう。死者数10万人を数えた米国を筆頭に、2万人越えの国はヨーロッパを中心に五指を超えるが次第に収束していき、その波は今後、南米とアフリカを襲うとWHOは予想する。5月末現在で約890人の尊い命が犠牲になっているが、死者数1000人未満の日本は、まさに奇妙な?成功と、欧米各国から奇妙な評価をされている。むしろ日本から見れば、各国の死者数の多さには言葉を失う。

何が異なって、何故こんなに結果が異なったのかの検証結果は、まだ待たねばならないが、日本国民の衛生意識の高さが一因であるのは間違いがないだろう。ただ、このような時に政権を任されている人々に、どれほどの危機感と責任がのしかかっているかの、想像力は持ちたいと思う。今は、この凶暴なウイルスをあなどることなく、経済再生への道を進むことが求められる。 

4月、5月の二か月で、人の生活形態そのものが激変し、同時に企業側も自粛体制の中、大きく業績が落ち込んだ。新たな流通経済による新たな需要は認められるものの、絶対的経済の不振は免れない。今後の経済体制そのものの変化は避けられないだろう。かといって、じっと動かないでいるわけにもいかない。そこで新たな需要開拓の種々対策が、巷間に満ちてくる。供給側も、国内生産を増やしサプライチェーンの多様化という変化を受け入れざるを得ないが、肝心の需要をどう喚起して増やしていくかがこれからの大きな課題で、それこそが日本の経済体制を変えることになるのだと思う。

繰り返すが、最も重要なのは内需回帰による消費拡大だ。訪日観光客によって売り上げを伸ばしてきた観光業界、百貨店、宿泊業界などを筆頭に、戦略の立て直しが必至であり、そのために国も種々対策でフォローする必要がある。いつくるかもしれない再度の緊急事態に備えて、サプライの国内生産率を上げることの重要性は誰の目にも明らかだ。ここにきてさすがに儲け至上主義の経済界も、内需拡大への方向転換を公言しはじめた。以前にも書いたと思うが、米国経済の強さは、自国でエネルギーをまかなえる絶対的強さと同時に、内需経済のボリュームが寄与している。ここしばらくはコロナ不況の波に苦しむだろうが、この国の回復は早いような気がする。そして日本だ。今後の日本が進むべき道は、まさに内需拡大と取引国の分散化で、国内旅行需要を伸ばす具体的政策や、老舗への存続補助政策、雇用促進対策、などなど、やるべきことは山積している。新システムの導入や関連立法も必要になる。幸い、医療体制の盤石化や国内観光の活況化、雇用支援、サプライチェーン国内回帰への支援などの政策は予定されているようだが、掛け声倒れに終えることなく、着実に、そして何よりスピードをもって実現していってほしいと思う。まずは財務省を抑え込み国債を発行して、大胆な金融政策で市中に莫大なお金を投入すること、品の無いいい方をすれば、お金をばらまくことで経済や人を殺さずに再生させること、これに尽きる。小手先の手当ではなく、発想の大転換が望まれる。                                 2020年6月1日

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