【第166回】 食環境の現状(145)(災害への対応の発想)

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食文化の豆知識166 食文化の現状145(災害への対応の発想) 

今年も、災害が日本を襲いました。昨年は主に西日本が地震や豪雨や猛烈台風に見舞われましたが、今年は東日本に上陸した台風による大雨で、多くの河川が氾濫し、多数の尊い命が失われました。関西に住んでいる身としては、昨年の台風21号は記憶に残るすさまじさでしたが、その前の西日本豪雨では100名を超える方々が犠牲になりました。そして今年。東日本への台風19号などの上陸がもたらした被害は甚大におよび、まだまだ復旧は完全ではありません。巨大地震はもちろん致命的な被害をもたらしますが、山国日本では、豪雨による川の氾濫・決壊が人命を奪ってしまうケースが、とても多いように思います。 

この河川の氾濫を完全に防ぐのは不可能なのでしょうか。勿論、危険度の高さに応じて、どの川も防災工事を施し、氾濫予防に努めていますが、予想をはるかに超える雨量によって水位が急上昇し、氾濫にいたってしまう。このような被害が繰り返し発生しているのが現状で、となると抜本的に発想を変えるしかないでしょう。河川から数キロ範囲内には住宅を構えない、というシステムです。狭い日本なのでそれは無理、と諦めないで、モデル地区を作ってみることです。河川近くから数キロの緩衝地帯に徐々に斜度をつけ、その先の住宅地で20メートル程度の高さに及べば、まずは水害は免れます。勿論、数値的な精査は必要ですが、要はやる気があるかどうかです。日本では業者優先の傾向があり、鉄道でも河川でも、ほんの至近距離で宅地開発が進みます。JR福知山線脱線事故も、仮定の話になりますが、電車が突っ込んだあのマンションが無ければ、被害はより少なかったかもしれません。あのマンションはどう見てもカーブする線路から近すぎる場所にありました。

狭い日本。でも人口は減っていきいます。住宅も余ってくる。被害者救済は勿論必要ですが、被害の減少への投資に目をむける発想を持てば、住む場所の選定の規則もそろそろ必要になってくるような気がします。数十年以上、もしくは百年以上の成果期待になりますが、災害は揺るぎがないほどに、間違いなく、そして繰り返し襲ってきます。東日本大震災での津波被害地区の再生形は、大きな悲しみを抱えながらも、来る日本のモデル都市になるでしょうか。

            食生活アドバイザー 間島万梨子

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