【第147回】 食環境の現状(126) (寿司学校の目的)

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食文化の豆知識147 食文化の現状126(寿司学校の目的) 

世界で人気の寿司。でも実際に海外での寿司店が提供しているのは、日本での寿司とは異なるものも多いようです。いわゆる裏巻きのカリフォルニア巻きや、チリソース味の豆が入ったものなど、自由な発想で寿司もどきなるものが産まれています。それはそれでいいのではないかと思います。目くじらを立てるものでもない。我々日本人も、本場にはない中華料理を編み出してきましたし、フレンチでも日本ならではの料理を提供しています。ただ、生魚を出す寿司店の場合、衛生管理が行き届いていることは、必至条件です。 

今、世界で急増する寿司店では、いわゆる、きちんとした寿司職人を必要とするところが多くなってきました。本物の日本人職人を。それだけ、寿司もどきを売る店が多くなったということでしょう。以前カナダツアーに行ったとき、日本料理店でのランチが組み込まれていましたが、すぐに日本人による店ではないと分かりました。料理はもとより、食器が違う、そして料理人の対応と印象が日本人のそれではありませんでした。すべてに不満でした。でも外国人客には日本人かどうかわからないでしょう。大手旅行代理店企画のツアーで、それはないだろうと思いました。だから、海外の寿司店で日本人の職人が望まれるのは、うれしい限りです。 

「飯炊き3年、握り8年」が一人前の寿司職人への道だと言われてきました。そのような常識を打ち破るような、寿司学校が各地で人気だそうです。3カ月でプロの出来あがりを目指して、独特のカリキュラムを組んでいます。鮮度を見極める力や、下処理、さばき方に始まって、握り技術の習得に、大切な衛生管理に至るまで、厳しい指導がなされ、一人前の寿司職人を送り出すのです。海外の日本食店で、実際に日本人が関わる店は1割に満たないとか。日本人が握る寿司、は需要が多いのです。寿司学校は日本人のほか、アジア、ヨーロッパにわたる受講者も勉強しています。それも歓迎です。頑張って、日本の寿司の真髄を、海外で披露してほしいと思います。 

           11月9日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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