某月某日 “とても残念です・・・” の巻き
梅便りも聞かれるこの頃、春の足音がほら、そこまで来ています。季節は律儀にきちんと
巡ってくれるけれど、お店の経営は思うようにいかないのね。今回は、しみじみとしたお
話です。ワタシの失恋話ではございません。それは笑い話ざんす。
いやあ、どの業界でも、大が小をのみ込んでいくんだなと、感じ入ったのですよ。
外ではうどんを頂くことが多いのよね。最近、コシのある旨いうどん店も増えて、うどん
党のワタシは、満足満足。贔屓の店も出来ちゃったりしてたのです。その中の1軒は、丁
寧に仕込んでいるのが分かる、コシがしっかりしたうどんで、ダシも美味しい。器も粋で
具も豊富。テーブル上には、きれいでたっぷりの天かすが常設されていて、入れ放題なの。
気に入って、月に2回はいただいていたのだけれど、この前行ったら、あれ?天かすが姿
を消してる。出てきた器も何やらチープなものに。うどんも微妙に変わってる。で、ふと
見れば、メニューブックに、有名なうどんチェーン店のシールが貼ってある。店の子に聞
けば、最近、傘下に入ったんだって。ありゃあ、もうだめだ。そのチェーン店がどうこう
というのではなく、その店の個性やこだわりが失われるのは、目に見えている。効率第一
になるんでしょう。
別の店は、うどんは適度なコシで上の店と比べると少し柔らかめだけれど、それはそれで
味も具もいけるので、ファンになっていたのが、これまた別のそば・うどんチェーン店の
一つの事業部となっていました。頼んだ鍋焼きうどんは、うどんはふにゃふにゃ、具は貧
相。何より見栄えが汚い。ええ?こんなんだった?
どちらの店も店名はそのままだけれど、多分、味も質も変わっていくんだよね。結構、繁
昌しているようだったけれど、内実は苦しかったのかしら。で、多分、売り渡したのでし
ょう。だれが好きこのんで、他社の傘下に入るものですか。稟とした店の匂いが、消えて
いく。何だか、寂しいけど、この業界も厳しいのね。また、お気に入りのうどん店を探さ
なくっちゃ。
・・・続く