【第19回】 [ 食育の重要性(5) ]

食文化の豆知識
 
【第19回】   [ 食育の重要性(5) ]
 

過去に例が無いほど“健康”に関する情報が飛び交っている状況下、またもやあるテレビ番組でねつ造が発覚しました。正確なデータや裏付けも無いままに、あたかも、特定の食品の効能が医学的に証明されたかのように放映されたのです。次の日にはスーパーで売り切れ状態であったとか。その後のかまびすしい騒ぎは、衆知の通りですが、“情報を鵜呑みにするな”という教訓は与えてくれたようです。誤解を恐れずに言えば、特にテレビで流される情報は、信憑性をまずは疑ってかかるのが賢明と言えそうです。(テレビ局在勤経験のある知り合いの人よりの提言です)

 

自分の目を、舌を、鼻を鍛錬し、偽物を見分ける能力:選食力を身につけないということは、自分の健康をひとまかせにするということにつながるのです。怖いことだと思いませんか?
出来る限り本物の食材を使ってがんばっている飲食店でのこと。刺身に添えられた本ワサビを見て、“このワサビ、色が悪いな”と若い男性が小声で言うのを耳にしました。その人は多分日ごろより、着色料たっぷりの色鮮やかな即席ワサビしか、口にしていなかったのでしょう。

 

何も、高い食材ばかり使用する必要もないし、高級店ばかり行くこともありません。ただ、大量生産され、賞味期限が切れれば捨てられる弁当類やファストフードが、それでも低価格で出回っていることの意味を考えたいのです。商売だから、採算のとれる価格に設定してあるはずです。となると、どのような素材が使われているのか、日持ちを保つために何が添加されているのか。

 

imageある店でサンドウイッチを買って新幹線内で食べたことがありました。急いでいたのと食べやすさに惹かれてのことですが、多分もう買うことはないと思います。妙な味がしたのです。腐ってはいないけれど、明らかに素材以外の何かの味が後味の悪さにつながったのです。だれでもが知っている大手メーカーのものでした。一方で、わざわざ遠回りしても買いに行きたくなる美味しいサンドウイッチに出会ったこともあります。フレッシュな野菜に上質のハム、玉子やパンプキンコロッケなど、バラエテイ豊かな品そろえで、本物の味わいがうれしい。知人に勧めても、総じて好評です。

 

食に関する商売で、“志”を欠くことのもたらす弊害は、後を絶ちません。巷間をにぎわしているお菓子メーカーしかり。素人が判断不可能な例もありますが、“質”を見極める力を、消費者が育ていくことが、この業界の底上げにつながっていくと思うのです。

 

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