食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第57回】 [ 食環境の現状(36) ]

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食文化の豆知識  57 [食環境の現状 36] 

 

景気不況が長びく中にあって、経営者の悲鳴が聞こえてきます。ある中小企業の経営者

曰く「今までは不況が2~3年も続くと、必ず景気の盛り返しがあった。景気はいつも

波形を形成していたので、不況下にあっても来るべき好況を待てば需要が増えて、まず

は生き残ることは出来た。だが今、日本を覆っている不況からは好況が一切見えないし、

需要回復の見込みも全くない。こんなことは創業以来初めてのことだ。もう閉めるしか

ない」と。確かに、どんよりとした不況感が漂い、希望の芽が見えにくいのが、消費者

の閉塞感にもつながっているようです。企業を元気付ける抜本的対策が立てられないま

まに、日本経済が疲弊していく悪夢は見たくありません。企業をいじめてはいけないの

です。雇用創出こそが、政府の立てるべき第一の政策であるべきでしょう。

 

で、というか、財布の許す範囲で精一杯、外食や小旅行でわずかながら消費に貢献?し

ているのですが、驚愕することがしばしばです。先日訪問した旅館は、平日にあって満

室状態の盛況振りでしたし、会食に利用した大阪市内のレストランは、5時過ぎからず

っと満席という賑やかさでした。皆、とても愉しんでいるように見えました。どこが不

況なの?という印象です。確かに、どちらも価格付けラインがとても巧い。旅館は平日

なら一泊二食が1万3千円前後。レストランは客単価4~5千円というところでしょう

か。そんなに割安ではないけれど、負担感も大きくはない。そして費用対効果が大きい。

つまり、リッチ感を十分に提供できる、ぎりぎりの価格帯を営業努力で設定しているの

です。

 

牛丼やハンバーガーが値下げ競走に走っているといっても、また衣服が安いといっても、

利用するのには限界がありますし、だれもが享受出来ているわけでもない。一方、電気

や水道といった生活に不可欠なインフラ料金はちっとも安くなってはいないし、野菜や

肉の値段は相変わらず高め推移のように感じます。だから、デフレといわれてもピンと

こない消費者は、収入だけはきちんと低くなっていく現実に直面している。何かおかし

い。日本経済が成長していた理由は、“高い価格で消費者が買わされていたから”と考え

ると、今の成長鈍化はなるほどな、とも思えてきます。買う側がシビアに、そして鑑識

眼が豊かになれば、提供側は買ってもらうための知恵の結集が求められます。また、購

入意欲をかき立てる新しいハードやソフトの開発も必至です。優秀な日本の技術を十二

分に生かし、世界をリードする企業や科学の育成こそが、雇用創出の芽を広げるに違い

ないと思うのです。

 

平成22年4月9日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第56回】 [ 食環境の現状(35) ]

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食文化の豆知識  56 [食環境の現状 35] 

前回に続き、野菜についてです。野菜の摂取量は個人差があり、私は野菜超大好き人間

で、時として食べ過ぎてしまいます。結果として、他タンパク源や脂肪の摂取量が少な

すぎる場合があり、何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。でも、一般的には日本人の

野菜摂取量はこの十年、低下傾向にあります。1989年で年間摂取量は110.8kg

でしたが、2007年のデータでは、一人当たり野菜摂取量は年間93.9kgです。厚生労働省
が勧めている摂取量は一日350gですから、年間にして約128
kg。現状は
かなり不足して
いるのです。特に若い世代で摂取量が低くなっているとか。

 

野菜を食べなくても、すぐには影響は出ないでしょう。だからこそ、日頃からの心がけ

が必要なのです。旅行をすると、てきめんに野菜不足になります。旅館の会席料理にし

ても、豪華な魚料理はあっても、野菜料理が少ないのが辛い。確かに、野菜は保存や調

理に手間がかかります。また高級な印象は与えません。野菜料理が殆ど無い場合もあり

ました。1日くらいなら我慢出来ますが、3日、4日となると、私は体調不良を起こします。
野菜渇望症になります。また、外食も日常化すると、栄養のバランスが崩れてし
まう。
人間の体は、頑丈そうに見えても、もろいものです。

 

野菜の持つビタミンやミネラルなどは微量成分ですが、人間の体にとってなくてはなら

ない役割を果たしています。野菜を無理なく摂取するには、生野菜よりも温野菜。一個

のレタスでも、炒めたり煮たりすると、驚くほど小量化します。キャベツもしかり。

スープ式に煮込むと4分の1くらいの量はぺろりと食べられます。冬は鍋料理もいいで
すね。ネギ類、特に白い根深ネギの習慣摂取は、風邪の予防になります。毎日の食の積

み重ねが、私たちの体を守っています。野菜も、肉や魚と同等にすぐれた食材ですので、

摂取しやすい方法で、毎日十分な量をいただきたいものです。

 

平成22年3月4日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第55回】 [ 食環境の現状(34) ]

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食文化の豆知識  55 [食環境の現状 34] 

本来、食生活はあくまで本人の嗜好次第でいいのだと思います「野菜を食べましょう。

肉より魚の方が体にいい成分を含んでいるので、なるべく青背魚を食べましょう」よく

耳にします。もっともな提案で、私も野菜はたっぷりと取るように心がけていますが、

余り取りすぎると、それでお腹が一杯になり、栄養が偏ってしまうことになります。

 

知人のお父上は、肉大好き派で、魚は殆ど食べられなかったとか。お元気に過ごされ、

87才で永眠されました。男性としては長寿です。私の父は毎日、魚を食べていました。

もともと痩身体躯で小食だったので、消化の良い魚を好んだのでしょう。69才でこの

世を去りました。70才を超えられなかった。勿論、人の寿命は様々な要素が絡みあっ

った結果であって、原因を一つに絞ることは出来ません。持って生まれた頑強さの有無

や、精神面の影響も大きいでしょう。要は、「正しい食生活」などはない。楽しく美味し

く適量をいただくのが、ベストであるということです。

 

魚を良く食べている日本人の寿命が長いのは確かで、日本食が先進諸国から注目を浴び

ています。残念ながら発展途上国は、食を選ぶ環境ではありません。食生活云々、の前

に、日々の水や食の確保がまずは先決です。皆、一様に痩せている。で、欧米諸国に行

くと、圧倒的な肥満に出会います。尋常な太り方ではない。まさに飽食が及ぼした結果

でしょう。その意味では、食生活は生きていく上で、重要な要素ですが、“適量”と“生

の素材”を摂取することさえ習慣付ければ、基本的には何を食べても大丈夫なのです。

健康はついてきます。異常に太ることも痩せることもない。ここで言う“生の素材”と

は、生で食べる、といことではなく、素材そのものを調理したものを食べる、というこ

とです。加工品はほんの少し、食卓の彩りを添えるくらいにしましょう。

 

脂の取りすぎが動脈硬化を招くと言われています。もっとも危険なのは油で揚げて時間

が経った食品や、一度使ったあとに漉した油で、調理した料理です。また加工品に含ま

れる動物性油脂は、人によっては結構、体にこたえます。でも素材としての肉を適量

食べるのには、問題はありません。焼き肉の美味しさは、人を元気にさせます。ビーフ

ステーキの旨さは思うだけで生つばが出てきます。体に良いものだけに執心すれば、心

が萎えていきます。もっと自由に、でも悪辣食品には気を付けて、食生活を楽しみたい

ものです。

 

              平成22年2月7日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

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【第54回】 [ 食環境の現状(33) ]

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食文化の豆知識  54 [食環境の現状 33] 

 

日本の食料自給率が41%と、先進国の中でも際だって低いのは周知の通りです。

理由に関しては諸説あり、多くが「食生活の変化」をあげています。国民の食が、古来

の日本食から畜肉を含む洋食へと大きくシフトしたからだと。別に異論はありません。

ただ、この欄でも何度も食料自給率の問題をとりあげましたが、常に疑問が湧いてくる

のです。他国でも食料自給率は、単に国民の食生活による結果なのだろうかと。際だつ

低さの責任は国民が取らねばならないのかと。本当は政府および行政の農業政策ミスが

長い間、続いた結果ではないのかと。理由をぼかして、だれも責任を取ろうとはしない。

従来、行政が責任を取らないことは自明の理ですが、それにしても国民に、コメを食べ

ましょう、と意識改革とやらを提唱するのを聞くと、ちょっとなあ、と思ってしまうのです。
国民が猛烈にコメを食べだしても、生産量は大丈夫なのですか。

 

今、かろうじて国産でまかなうのは卵、コメ、野菜類ですが、洋食化原因の最たる肉類

も実は50%以上が国産でまかなっているのです。魚介類もほぼ同じです。そして一番

の劣等生は大豆です。国産率はわずか6%。有識者が声高に張り上げる、“見直そう和食”

を支える大豆の惨憺たる現状を、彼らはどう理解するのでしょう。思考が逆ではないの

かと笑ってしまいます。日本食に欠かせない味噌、醤油の二大調味料が、国産原料では

とてもまかなえない。豆腐、納豆し
かり。これではコメのご飯と、鶏肉と野菜のミルク

シチューを食べるのが、最も自給率アップに貢献しそう?です。

 

このほど政府は、平成27年度をめどに自給率を45%に引き上げる国民運動を提唱し、

次のメッセージを発信しています。「旬の食べものを選び、地元の食材を食べ、、食べ残

しを減らし、バランスの良い食事をして、各自コメの有効利用を考えよう」

はい、ほとんど、とっくに実践しております。この運動は結構なことです。でも、自給

率アップのための抜本的な戦略が抜けている。それは、原因を明確に認めないからにつ

きます。原因を明確に出来ないから、耳触りの良い国民への提唱しか出来ないのです。

 

今までの政策が間違っていました。であるから、農政を抜本的に改革し、遠い将来に

食料不足という禍根を残さないための大局的かつ具体的戦略を実行します。と、言い切

れる政治家が出て来てほしい。期待しています。

 

平成22年1月4日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

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【第53回】 [ 食環境の現状(32) ]

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 食文化の豆知識  53 [食環境の現状 32] 

某ハイパーマーケット・レジ係さんの挨拶マニュアルがまた変わりました。これで三回

目の変更となります。最初の「マイバッグをお持ちですか?」から始まり、「レジ袋ご入

り要ですか?」と続き、「レジ袋、お入れしてよろしいでしょうか」となりました。ご丁

寧なお言葉だこと。これが最終となるのでしょうか。これほどの変遷は珍しいことです。

クレームが出たのかもしれません。前にも指摘したように、エコバッグを持参している

人はざっと見る限り1割程度で、少量を購入する買い物客です。まとめ買いをするには、

マイバッグは適しません。で、ほとんどの客に「いいえ」と言わせて平然という姿勢に

驚きましたが、比較的短期間でめまぐるしく対応が変わりました。ばかばかしい。ここ

はシンプルに商品量に応じてレジ袋を入れればいい。不要な人はその旨、きちんと告げ

てくれるはずです。レジ係さんも指示がめまぐるしく変わって大変でしょう。お疲れさ

まです。上層部に、エコの最先端を走っているとの大層な自負がおありなのでしょうか。

 

この店に行く目的は、主にPB商品の購入です。価格的には確かに安いし、内容も納得

できる質です。でもふと考えてしまいます。各メーカーが安価なPB用に身を削って商

品を製造する代わりに、商品棚に陳列してもらっているのだな。小売りの力は益々強く

なるのだろうな。メーカーの悲鳴が聞こえてきそうです。ごめんなさい。買わせていた

だきます。

 

レジ係といえば、近くのスーパーマーケットに、素晴らしく有能な方がおられます。ま

ず必ずお客の顔を見ての「いつもありがとうございます」の挨拶のあと、実にスピーデ

イーな、そして丁寧な精算が始まります。冷蔵品と野菜、乾きものをかごの中で整理し

ながら納めていくのです。買う時も、一応は分けてかごに入れるのですが、どうしても

商品は混在してしまいます。それを彼女は見事に仕分けてくれるのです。おかげで、と

ても袋に入れやすい。同質のもの同士にきちんと分けて収まっているのを、各袋にスム

ーズに入れていけばいい。プロの仕業を見せてくれます。少し混んでいても、彼女のレ

ジに並びます。結果として早く精算がすむからです。まさに“いい仕事してますねえ”

の言葉を借りたい。どのような仕事でも知恵と技を働かせることが大切なのだ教えられ

ます。

 

平成21年12月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第52回】 [ 食環境の現状(31) ]

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食文化の豆知識  52 [食環境の現状 31]

 

外食業界の売り上げ低迷が続いています。外食業界に限らず、消費縮小の影響は百貨店

業界やスーパーマーケットにもおよび、内部体制の立て直しが求められています。

生き残り戦略としては、まずは人件費等のコスト削減や不採算店の撤退が考えられます

が、百貨店などでは大規模化への改修が、売り上げアップ期待を担う場合もあります。

莫大な設備投資で業績の拡大を狙う策です。

 

ただ外食業界では大規模化へ転換する余力があるとは思えません。特にチェーン展開を

している企業では、縮小ないしは業態変換が盛んに行われています。ファミリーレスト

ランの雄である“すかいらーく”も、自社絶対ブランドの「スカイラーク」を無くし、

ガスト体制へ変換しました。他ファミレスも不採算店の整理を急いでいます。余分なも

のをそぎ取って、強い体制へのスリム化をはかる必要に迫られてのことです。

 

あるファミリーレストラン社から、メニュー調査を依頼されていた数年前は、競合他社

のメニュー調査でファミレスに足しげく通っていましたが、個人としては最近、足を運

ぶことはありませんでした。ファミレスの苦戦が伝えられて久しいのですが、現場はど

のような雰囲気なのか掴んでいませんでした。数年前の印象ではファミレスは、料理に

卓越さは望めないものの普遍的な味、教育の行き届いたサービスレベル、清潔な内装で、

顧客から支持されていたように思います。ところが先日、某ファミレスを訪れて驚きま

した。すべてが荒んでいるのです。表面的には普通に見えますが、チェックポイントで

評価すれば、テーブル上の乱雑さ、時代遅れのトイレ仕様、サービスのいい加減さ、料

理のずさんさetc、どれもかなりひどい状態です。お昼時なのに、5割程度しか客がい

ません。数年前のQSC調査で,他社を押さえてトップ評価の結果をクライアントに報

告したチェーン店であるがゆえに、衝撃を受けました。これが今の状態なのだと。売り

上げ不振と店の非力さの悪循環が見て取れました。恐いことです。

 

で、最近訪問した専門洋食店を思い浮かべずにはおられませんでした。50席ほどの店

内は6時には満席で、何と8時には二回転をしていました。つまり10時くらいまで、

ずっと満席状態が続いているのです。客単価は5000円程度で、値段に見合うしっか

りとした料理を出しています。柔軟で気持ちのいい接客にも大人の対応を感じました。

すべてが、心地よいのです。その店のトイレは素晴らしいの一言でした。

客が見事に店を選別している。選ぶ目を持っているということでしょう。提供側にとっ

て、本当に大変な時代が到来したようです。

 

平成21年11月7日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

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【第51回】 [ 食環境の現状(30) ]

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食文化の豆知識  51 [食環境の現状 30]

 

客が自由に料理を選んで、それなりに自分だけの好みのコースに仕立てる風潮が高まり

つつあるようです。プリフィクススタイルも何種類かの中から客が選択するという方法

で、従来のお仕着せコースと比べると、楽しさが増しました。10年ほど前は、結構有

名なフレンチレストランでも、コースで客が出来るチョイスといえば、メインディッシ

ュの肉の種類(サーロインかテンダーロイン)か重量くらいだったことを思えば、隔世

の感です。フレンチのコースに必ずついているコーヒーやデザートも、私には不要のも

のなのです。それより、食後にはポルトワインを一杯いただいて、食事を締めたい。

食の嗜好なんて、ひとそれぞれ異なるのが当たり前のはずです。だから、なるだけ選択

肢は多い方がいいのです。売り手側のケースバイケースの柔軟な対応が、様々な生活シ

ーンを豊かにしてくれます。

 

ある中華料理店は、とてもコストパフォーマンスがいい店なので、時折利用しているの

ですが、柔軟性に満ちています。ここでは、コース料理も用意されていますが、魅力的

で美味しい料理を数種類オーダーして、いつもシェアしていただいています。点心や大

振りの海老料理などの、何個入りという料理は、個数を人数分に合わせ、値段も調整し

てくれるのが、とても有り難い。単品料理を、柔軟に人数分に合わせて作ってくれる店

は意外に多くはありません。

 

先日訪問した日本料理店も、刺身盛り合わせを、人数分の数量に合わせてはくれません

でした。とあるイタリアレストランでも、一皿の量を変えようとしない。まさに頭が固

いとはこのことです。POSOES(オーダーエントリーシステム)を導入しているチ

ェーン居酒屋やファミリーレストランなら、コンピューターの処理上、数量や値段の変

更は客の頼みでも、聞き入れにくいでしょうが、専門店はその気さえあれば、難しいこ

とではありません。マニュアル対応や膠着したサービスは、、時としてレストランの本質

から離れ、客の満足度をはなはだしく低めてしまう危険性を含んでいます。

 

こうあらねばならない、という生真面目さも大切ですが、臨機応変な対応は人生を豊か

に彩るのは確かです。レストランの世界に限らず、決められた規則に縛られていること

が多いものです。勿論、他人に迷惑をかけないマナーや常識は持ち合わせるべきですが、

細かいことは、その時々に柔軟に処理していけばいい。要は、規則や決まり事は、人の

ためにこそあるということ。提供側の都合で決めてしまうと、必ず膠着が発生します。

レストランや旅館は、お上や役人の真似をしないで、客の期待に柔軟に対応してほしい。

最近、そういうところが増えてきているのは、うれしい限りです。

 

平成21年10月5日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第50回】 [ 食環境の現状(29) ]

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食文化の豆知識  50 [食環境の現状 29]

 

ある巨大スーパーのレジでいつも感じる不愉快さが、若干解消されました。受け答えの

フレーズが変わったのです。以前は「マイバッグをお持ちですか?」「いいえ、持ってい

ません」でしたが、「レジ袋ご要り用ですか?」「はい」という問答になりました。これ

だと、少なくとも、否定的な返事をせずにすみます。マニュアルの改善です。

若干解消、と言ったのはこれでもなお、企業側の傲慢さを感じるからです。何故、毎回

そのような問答を繰り返さなければならないのでしょうか。“レジ袋不要の方はお申し出

ください“の表示をすれば済むことです。エコロジカルとやらで、客を啓蒙する前に、

自らがすべきことは山ほどあると思うのですが。

 

それと今ひとつ、解せぬことがあります。夏場は、購入した冷蔵食品を氷で守る必要が

あります。だれもが、30分以内に自宅の冷蔵庫に移せるわけではない。スーパーでは

氷の用意がしてありますが、そこにこのような表示が。“お一人様、氷は一袋でお願いし

ます“ 多くて2袋の表示です。大量のまとめ買いをしても一個だけ? とても足りま

せん。衛生面からも最低3~4袋は必要です。当然、相応の氷をいただきます。“お一人

様、一個限り”の表示が空しく心に響きます。本当に、「お節介でうるさい」。客を幼児

扱いしないでいただきたい。

 

そこで、農業問題です。政府・石破農水相を中心として計画された減反政策見直し案が
頓挫しました。米価維持に執着する農林族議員や農協の猛反発があったのは、自明の理です。

せっかくの、日本の農業再生の芽が摘まれてしまいました。意欲的な農家にとっては、

残念な結果でしょう。生産調整に参加せず、自由にコメを作り、コメの需要を自ら喚起

する能力を持つ農家は、想像を超えてはるかに多いと思うのですが。ここでも、「お節介

でうるさい」、が存在しています。意欲ある農家にこそ、助成金を惜しまずバックアップ

するのが、大人の当たり前の政策です。

テレビで、アメリカのコメ農家を紹介していました。驚きました。広大な農地で何とも

荒っぽい作り方をして、稲も日本のようにきれいに並列していません。でもきちんと実

り、収穫に至っていました。最低限の人手で収穫したアメリカのコメは機械で精米され、

海外に大量に輸出されているのです。価格も割安です。しかもブランド米らしい。取材

者も、そのコメで作ったおにぎりを、美味しいと言って食べていました。

ためいきが出ました。何も、アメリカの真似をする必要はありませんが、このコメの作

り方と生かし方を見て、目からうろこが落ちたのは確かです。

 

平成21年9月6日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第48回】 [ 食環境の現状(27) ]

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食文化の豆知識  48 [食環境の現状 27]

大規模オンライン旅行会社エクスペディアが実施した“ベストツーリストランキング

2009(もっとも好ましい観光客)“で、日本人がトップになりました。2007年、

2008年と3度連続の第一位です。調査は、世界各国のホテル経営者や従業員、約

4500名を対象に、世界27カ国の旅行者について、礼儀正しさやチップの額など

9項目のカテゴリーでの評価をあおいだものです。

 

日本人旅行者は、礼儀正しさ、清潔さ、苦情や不満の少なさ、などで総合トップ。2位

は英国人、3位はカナダ人と続き、4位ドイツ人、5位がスイス人でした。なるほど

なるほど。下位グループは24位にトルコとギリシャ人、26位はスペイン人、そして

フランス人が、外国語への順応性の欠如、傲慢さ、チップの少なさ(ケチ)などの評価

で、堂々の最下位となりました。え?、という結果だと思いませんか。確かに、フラン

ス人は態度が大きいだろうな、地元の料理を馬鹿にするだろうな、と納得できますが・・。

 

調べてみて、得心がいきました。28カ国を対象にした2007年の調査でもフランス

人が最下位でしたが、27位にインド人、26位に中国人、25位はロシア人というラ

インナップです。翌年の2008年では、最下位は中国人。インド人、フランス人、ロ

シア人がそれに続いています。評価では、無礼で、部屋を汚し、行儀が悪いのだとか。

でも2009年では、フランス以外の下位国は、調査対象からはずされているのです。

で、フランス人が見事、最下位に返り咲き。バンザイバンザイ。

ちなみに、アメリカ人は、チップの額が最も多いのだとか。おおざっぱな国民気質が見

て取れます。個人的には、フランス人より好きかも・・・です。

 

ホテルも商売ですから、あまり難しいお国は刺激したくない、のが本音でしょうか。そ

の辺のことは、よく分かりませんが、フランス人は悪評に耐えうる、したたかさを持っ

ているということなのでしょう。とにもかくにも、日本人が3年連続でトップに選ばれ

たのは、素直にうれしいことです。

この調査結果は、私の見る限り、産経新聞には小さく掲載されていましたが、大新聞?

には出てなかったようです。もっと、喜んでいいことだと思うのですが、日本人が世界

で好感されるのを、あまりうれしく感じない向きもあるようです。朝日新聞は、200

8年の結果を受けて、天声人語に「・・・略・・・ホテルの評判がいいとは、要するに

扱いやすいということらしい。・・・略・・・苦情や不満はしまい込まず、サービスのプ

ロ集団にひと仕事させるくらいがいい。わがままな上客というのもある」と書きました。

本当に、この新聞は何を主張し、何を思想の軸にしているのか、私の乏しい頭ではよく

分かりません。絶対平和と無抵抗を錦の旗に掲げる一方で、わがままになれと? 要す

るに、日本が気にくわないのかな、と。これはあくまで狭量な私の感想です。

今回の内容は、“食”とは直接、関係ないのですが、エクスペディアの調査結果を、さり

げなく、ちょっとはにかんで、日本人として喜んでみたいと思いました。

 

平成21年7月12日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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【第47回】 [ 食環境の現状(26) ]

 この6月に、英経済誌エコノミストの調査部門EIUと人道ビジョンが、世界144カ国の政情や治安レベルをランク付けした、「世界平和度指数」2009年版が公表されました。平和度指数は、対外戦・内戦の数やそれによる死者数、国内政情不安やテロ発生可能性、軍人の数、兵器の輸入量、人権状況、犯罪収容者数など、多岐にわたる平和度に関連する要因を数値評価し、重要度も判定してランク付けしたものです。日本は昨年より2ランク下がったものの、堂々の7位に位置しました。アジアでは唯一の10位以内入りです。ちなみに中国は74位、アメリカは83位、ロシアにいたっては136位。そして最下位はイラク、アフガニスタンです。なるほどな、と妙に納得できる結果です。

 

一方、1位はニュージーランド。そして2位から6位までは北欧各国で占められています。このランクは、政治的に安定した面積の小さい国、また米国の軍事力庇護下にある国などは、ランクが上位になりやすい、などといった揶揄はあるものの、この評価を謙虚に受け止めつつ、我が国の平和に感謝の念を持たざるを得ません。何かあれば国民が暴動化したり、内戦が勃発するような国や、後進国に武器弾薬を売りつけ、巨額の利益を手中にして、なおかつ平和国家の仮面を平気でかぶっている国は、そこらじゅうに存在しているのです。

 

この公表は、某新聞にほんの小さく掲載されただけのようでした。自国の悪口は、はばかることなく声高に叫ぶのが大好きな人達にとって、日本が7位にランク付けしたことは都合が悪い結果なのか、といぶかってしまうほどです。勿論、どのような国にも矛盾があり、格差はあります。景気の変動も避けられません。完璧なシステムで動いている国などないでしょう。それらを是正していく努力が絶えず求められるのは,言うまでもありませんが、もう少し、母国に感謝と誇りを持ってもいいのではないでしょうか。日々、いらいらしがちなことが多いにしても、です。

 

食に関しては、こんなに豊富な食材に恵まれている国は多くはないはずですが、自給率の無惨なまでの低さは、早急に具体的戦略をもって回復していく必要はあります。今のところ、食糧は潤沢に国内に出回っています。それも日本が経済大国である限り。農業の再生は国の根幹を支えるものです。また、同等の先進国と比べても、食材の価格が非常に高いのは何故なのか。肉は言うに及ばず、野菜、果物etcの価格はかなり高めです。海外に行けば痛感しきりです。非効率生産と、消費者にわたるまでの経費の高さが理由なのでしょうか。だれかがぼろ儲けしているのでしょうか。生産者の方達が、そんなに儲けているとは思えません。無駄をなくす。税金の無駄をなくすと同様に、あらゆる分野にはびこっている無駄をなくしてこそ、経済大国・平和国家に住んでいる恩恵としての、生活ゆとり感があじわえるというものです。

 

平成21年6月16日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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