食文化の豆知識 113 [食文化の現状92]
街は早くも歳末商戦。飲食店も忘年会需要で書き入れどき真っ盛りです。やは
り年の終わりは、反省会?をかねて、気の合う仲間などと宴を囲みたいもので
すが、食べ残し料理が増えるのもこの時期。これらは、いわば残飯として廃棄
され、立派な食品ロスとなるわけです。年間500~800万トンにも及ぶと
される、家庭や外食産業や施設などから排出される食品ロス。企業内でも食品
ロスの減少に向けて様々な試みが活発化されてきていますが、消費者としても
ささやかながらも、貢献できることがあります。まず、食べ切ることが大切で、
そのためには過剰に注文しないことがあげられますが、宴会の場合はどうして
も量が多めになるものです。そこで食べ切れなかった料理を持ち帰ろうという
ものです。ドギーバッグの習慣化です。
数年前の、ある有名ホテル直営レストランでの出来事を思い出しました。女性
二人で訪問したので、パスタとピザを各1品、それに前菜を1品注文しました。
適切なオーダーであったはずなのですが、最初に出されたパスタは優に二人前
もあり、ピザは超ビッグ。メニューにはサイズやボリュームの明記はありませ
んでした。時は極寒の真冬です。そこでいい考えが浮かびました。ピザは家に
持ち帰って、夜食にしよう!ところが、その希望は店側の拒否にあい、実現し
ませんでした。店の言い分は、①持ち帰りはできないことになっております
②保健所の指導がありますので③痛むと困りますので、でした。バカバカしく
なって引き下がりましたが、料理の持ち帰りに関しては、保健所はノールール
です。要するに店側としては、単に面倒だったのでしょう。
そして今、徐々にですが、店・客双方に、持ち帰り体制への理解が増してきて
いるようです。考えれば、注文したものは客のものです。持ち帰ろうが食べ残
そうが客の自由のはずで、持ち帰りがごく普通の習慣になってもおかしくあり
ません。ただそれには、早目に食べる、傷んでいるようなら捨てる、という消
費者の自己責任が重要で、その意識が浸透すれば、店側も持ち帰りに積極的に
なり、当たり前の習慣として根付いてくるでしょう。
平成26年12月8日 間島万梨子 食生活アドバイザー