顧客満足の複雑さ160(介護サービスのレベル)

     顧客満足の複雑さ160「介護サービスのレベル」 

 同居する母が老齢になり、様々な介護サービスを受けるようになって久しい。おかげで介護度による保険適用上限額や、サービス内容の種類、自費負担内容に関しての基本的ラインは少々詳しくなったが、その知識が、いざ自分の時にどれだけ役に立つかといえば、疑問符がつく。果たして、現行のサービス体制が、団塊の世代の利用を迎えてもなお持続できるのか、多分誰も明確な答えは出せないと思う。すでに発足から何回ものサービス内容の変更が重ねられ、その都度利用者の負担は増している。将来どうなっていくのか分からない。それほど、介護サービスは綱渡りのシステムの元で運営されている。 

投入されている税金の多さもさることながら、この介護サービスは人的能力レベル如何で異なったものになるということの危うさを含んでいる。数多くの介護事業所があるが、経営者の理念や働く人たちの意識の違いが、その事業所のレベルに影響する。勿論、病院でも人の影響は大きく、それが肌に合うか合わないかで、快適度や信頼度は異なってくるが、医術を施すという点ではどこも一致している。しかし介護サービス事業所は病院ではない。老人ホームにも通じるが、あくまでサービスの提供なのであって、病気を治療する大目的は有する必要は無い。そこのところを勘違いしている事業所も少なからずあるところが、厄介なのだ。 

例をあげれば、食事内容の考え方にしても、利用者の好みに出来るだけ添ったものを提供する努力を見せているところがあるかと思えば、まるで病院食のように栄養と経費だけを重視しているところもある。娯楽提供も、おざなりなところと、利用者に楽しんでもらおうと熱心に励んでいるところがある。衛生管理も手抜きがみえみえのところと、徹底しているところの違いは大きい。雨後の筍のように増えていく介護サービス事業所だが、今後益々、レベル差は大きくなるだろう。当然に、顧客満足度の充実が集客に及ぼす影響は看過できなくなるはずだが、利用者の属性を考えると、利用者の満足の判断力が適切に及ぶのも難しい。となると、外部による定期的なチェックシステムが必要となる。行政が行うのか、依頼された専門会社が行うのか、いずれにしても、介護事業は、巨額の医療保険が投入されているのだ。そのレベル維持に関してのチェック機能が行政に強く求められる。

               2022年4月1日  間島

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