【第164回】 食環境の現状(143)(値上げラッシュは恐ろしい?)

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食文化の豆知識164 食文化の現状143(値上げラッシュは恐ろしい?) 

今春から、値上げラッシュが続いています。主なものでは、ペットボトル商品です。コカ・コーラ、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サントリー食品、伊藤園etc、大手飲料会社が、大型ペットボトルの値上げに踏み切りました。いきなりの値上げには吃驚しました。揃って一律20円アップ。まるで申し合わせたような状況です。理由もほぼ同じです。原材料費の高騰、人手不足による人件費の高騰、物流費(輸送費)の高騰の三つです。皆で値上げすれば恐くない、というところでしょうか。他にも乳製品や調味料の値上げも目立ちます。理由はほぼ同じ。こうなると、ハイパーインフレが起こるのではないかという恐怖心が出てきますが、どう考えても日本では起こらないのではないでしょうか。そもそもハイパーインフレの元は供給不足です。今はむしろ供給過剰状態です。戦後のように生産設備が大打撃を受けるとか、ある一つの産業のみで国の経済を支えている場合の不振の結果として自国通貨そのものが世界的信用を無くすとかであれば、可能性はありますが、今の日本ではまずは現実味は少ないでしょう。つまり、モノの量が壊滅的に不足しない限りハイパーインフレは起こしたくても起こりません。緩やかなインフレは起こり得ますが。 

然しながら、身近の食品が揃って値上げに踏み切るとなると、家計への影響は大きい。自衛?が必要になってくるでしょう。が、しかし、企業の方が危険な状態にあると言えます。値上げの循環で、またまた消費が落ち込む方が経済にとって恐ろしいはずだからです。ペットボトルの値上げへの対抗は、とても簡単。誤解を恐れずに言えば、水道の水を飲める国に住んでいる幸福を思って、水道水を飲むことです。少なくとも、水やお茶程度のペットボトルは、水道水でカバーできるのです。極端な話ですが、これからの値上げラッシュに備える必要があるかもしれません。 

日本の技術力は世界でも群を抜いているとの説があります。真実でしょう。車のガソリンエンジンひとつを取っても、日本のアナログ技術無しでは立ち行かない。で、先進国では電気自動車の開発に躍起になっている、と聞いたことがあります。その他、様々な部品関係でも日本の技術が基礎になっていることが多いのです。でも世界は劇的に変わっていきます。日本も新たな革新技術を開発し、質の高い商品を国として出来るだけ多く抱えていくことが、経済安定の要となるのだと思います。 

2019年 5月18日  食生活アドバイザー 間島万梨子

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