【第163回】 食環境の現状(142)(飲食店の厳しさと乱立

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食文化の豆知識163 食文化の現状142(飲食店の厳しさと乱立)  

食文化という大きな枠組みの中には、飲食店も含まれます。世界文化遺産になった和食は、料理そのものを指しますが、それらを商売にして成り立っているのが飲食店です。勿論、一口に飲食店といっても、洋食系、中華系、和食系、喫茶軽食系etcと幅広く、様々な業種業態があります。本当に数が多い。遊興地区は飲食店ビルが乱立しており、それぞれに数店舗が入って営業しています。1階や地下1階は、看板やエントランスの工夫で歩行者にアピールしやすいですが、2階以上に入る店は、いわゆるフリ客は期待できず、口コミやリピート客に頼らざるを得ず、かなりの営業努力が問われるでしょう。過酷な競争下にあることは想像できます。 

先日、遊興ビルの10階にある、串焼き店に5名で行きました。人気店と聞いていたので勿論予約の上です。6時30分の入店時には半分ほどの客入りでしたが、すぐに満席状態になり、スタッフから二時間制になっている旨を告げられました。時間制を取る店は避けているので、予約時に言ってもらいたかったと思いましたが、やむを得ません。きっちり二時間で出ましたが、それにしても途切れずに客が入る状態で、出店時にもまだウエイテイング客がいました。で料理は?となるのですが、とにかくボリュームがあって、リーズナブル。これにつきます。飲食店の原点を押えている店でした。客層はやはり若い層です。ゆっくりと歓談を楽しむ、というより、がっつり食べて、さっさとさよならするべき店です。これはこれで、軸のある店だと思いました。 

他国の状態は分かりませんが、日本のように、飲食店が入っているビルがずらりと軒を並べているエリアを数多く持つ国は無いように思います。基本的に、いわゆる飲食店ビルは見かけません。大体が1階に店を構えています。商業ビルはあっても、店子がすべて飲食関係で占められているという飲食店ビルは日本独自のスタイルでしょう。ある意味、すさまじい光景です。毎年、30%以上が入れ替わっていく。出店・閉店のエネルギーを考えると、他にそのエネルギーを生かせないものかと、ふと考えてしまいました。簡単に出店できる飲食店ゆえの淘汰ですが、今後もこういう状態が続いていくのか、それとも全く違った景色に変わるのか、少子高齢化の枠を超えた分析論を、経済の専門家に教えてほしい気分になりました。 

2019年 4月14日  食生活アドバイザー 間島万梨子

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