【第157回】 食環境の現状(136)(やはり食材は現物で) 

col_g_pic.gif

食文化の豆知識157 食文化の現状136(やはり食材は現物で)

 台風や大雨、地震などの影響で、野菜価格の高騰が止まりません。特に葉物はかつてないほどに、高値がついています。トマトも一個が150円以上しますし、きゅうりが一本80円!ほうれん草は一束が300円、これで、一人一日350gの野菜を食べなさいと厚労省に勧められても、実行できる人は少ないかも、などと思ってしまいます。それならば、青汁や野菜ジュースで野菜栄養を取りましょう、と盛んにメーカーが広告していますが、しぼり汁というか、エキスを飲んで、実際に本物を口から食べるのと同じ効果が得られるのか、分かりません。肉を食べる代わりに、同じ栄養素が詰まった錠剤を飲むのと同じ原理です。人間には歯があり、消化器があります。それらを使わないで、栄養だけを取りこむ?一時的な栄養の補足であれば問題は無いでしょうが、長い目で見れば、必ず人体にゆがみやひずみをもたらすと思います。 

世にあふれるサプリメントは、それらの効能書きをみると、年を取ればだれもが抱えているあらゆる症状の緩和をそれぞれ謳っています。それらが何十種類ならず、多分何百種類もあるわけですから、選ぶとなるときりがない。で、何も呑みません。20年ほど前に観たアメリカの映画で、主人公が食事の代わりに30錠以上のサプリメントを呑んでいる場面がありました。仰天して、その場面だけ鮮明に覚えています。そして今や、日本も立派なサプリメント大国です。呑まず嫌い?なだけで、実際に呑んでみたら、その効果に驚くのかもしれませんが、やはり栄養は、食材を食べることで、取り入れたい。匂いや香りを楽しみ、食感を楽しみ、味を楽しみたい。本当はそれが一番贅沢なのかもしれません。 

機能性食品もよく見かけます。ドリンクやゼリー状のものが多いです。一時期、お腹の調子を整える効果を謳ったドリンクを呑んでいましたが、突然発売中止になりました。なんでも、人体に良からぬ影響も与える成分が入っていたらしく、ぞっとする話です。その点、食べ過ぎると害はあるでしょうが、加工していない肉や野菜には、素朴な栄養素があって、安心できます。これから秋の味覚が出てきます。皆が楽しめる価格で市場に出回りますように。 

        10月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 パーマリンク