顧客満足の複雑さ 114 「インバウンドの増加と末端経済」

顧客満足の複雑さ114「インバウンドの増加と末端経済」 間島  

訪日外国人の増加は今のところ、とどまることを知らないようだ。地形学的に見て観光客の出身国にかなりの偏りがあるものの、新たな国からの訪日客が加わることで、その偏りも徐々にではあるが分散されてくるのではないかと思う。つまり万国から人がやってくるという理想的未来構図だ。アジア各国はまだまだ成長過程にある。観光客として今までに経験のない国からのお客さんも増えてくるだろう。となると、交通機関や小売店・観光地にほぼ定着した案内言語の種類、つまり日本語に英語と中国語とハングル語、この4種の言語にまた何種類かが新たに加わるかもしれない。おもてなし精神にあふれる日本人のことだ。遠くない未来、世界の言語が随所随所にほぼ羅列され、絶えず各国言語での案内放送が流れている状態を想像すると、いささか少し頭が痛くなる。 

かつてドイツを訪問した際、総合的にとても整った、折り目正しい国との印象を持った。ただ、観光客に優しいというわけでもなく、地下鉄では標識案内板は原則ドイツ語のみ、よくて英語併記で、おのぼりの我々観光客たちは下車駅を間違えないようにとても緊張していた記憶がある。車内放送はもともと無い。駅のホームにある駅名標識を必死でチェックするしかなく、不親切な国だなあと思ったが、こちらが異邦人なのだから仕方が無い、という認識もあった。今は多くの移民を抱える国として、どういう状態かは分からない。一方、日本に来る外国人客はうらやましい限りだ。デパートでも駅でも自国語の放送が流れる。日常に利用する大阪府と和歌山県を結ぶローカルな電車内でも、中国語の案内音声が流れる。今まで、それらしき観光客は見たことが無いのだが、とにかく流れている。おもてなしは無償の愛に通じるのだろう。 

これだけ増えたインバウンド効果が経済を潤しているはずなのに、その利益はどこに還元されているのだろうと不思議に思うことがある。経済は分からないことだらけだ。人手不足によりパートやアルバイトの時間給が引き上げられているのは分かる。需要と供給のバランスの問題だからだ。しかし、観光客増加で、立地に恵まれたデパートやホテル、交通機関、飲食店などは軒並み売り上げを増進しているのに、そこで働く人たち、正社員の給与が増えたという話は聞かない。忙しくなっただけだ、との嘆き節を聞いたこともある。企業が内部留保を増やしているのか、別件に投資しているのか、またはこっそりと仲間うちで使っているのか、蚊帳の外にいる人間としては、色々と想像してしまう。 

街を歩けば景気の良い風景に出会うことが多いのに、国内消費量が伸び悩んでいるのは、これもまた何故なのだろうと思う。日本人は豊かになったので、あえて欲しいものがもう無いのか、将来への不安感が強く家庭内留保にいそしんでいるのか、本当に貧乏なのか、いずれにしても、いびつな経済指数だと思う。潤沢な国内消量で、常に景気の良い米国と比べ、日本人は賢いのか、臆病なのか、慎重なのか、自分も含めて謎が多い。                  

                                               

カテゴリー: 顧客満足の複雑さ パーマリンク