食文化の豆知識135 食文化の現状114(野菜価格の不安定さ)
野菜の価格高騰が続いています。10月中旬あたりからですので、ほぼ一カ月もの間、吃驚するような高値のまま状態です。最寄りのスーパーでは、白菜4分の1が258円!、キャベツ半分が298円でした。トマトは一個190円、きゅうりも一本が85円していました。反面、同じく10月に高騰していた玉ねぎやニンジンの価格はほぼ落ち着きました。高騰の理由は、台風と日照り不足。この2点だとか。でも不思議だな、と思うことがあります。台風被害の大きかった北海道や東北と比べて、ここ大阪の泉南地域にあっては台風は殆ど来ませんでしたし、9月くらいからは平年並みの降雨量だったはず。なのにこの値段?結局は需要と供給量の全体アンバランスからくる価格高騰なのでしょう。
やはり、野菜は価格変動の著しい相場食品です。となるとこの高騰でかなり儲けている生産者もいるわけで、それはそれで結構だと思います。その代りというか、豊作時の安値には不満を言わないでほしい。かつて、天候に恵まれて白菜が大豊作であったとき、あまりの安値に畑で生産者が白菜を出荷せずに放置している状況がテレビで放映されていました。生産者曰く、“こんな値段ではやってられない”と歎き、放映側もいたって同情的でした。逆に、今回の野菜高騰では消費者や飲食店が受ける影響は記事になっても、生産者側の不満などは一切、記事になりません。繰り返しますが、野菜は相場食品です。ただ野菜は人間にとってなくてはならない食材です。厚労省がしつこく勧める、一日野菜350g摂取もこんなに値段が高くては、無理というもの。では解決策は無いのでしょうか?
野菜高騰を理由に三重県鈴鹿市の市教育委員会が小学校などの給食を二日間中止する方針を出しましたが、世論の非難を受けて市長がすぐに撤回を指示したそうです。飲食店の多くが、工夫と努力でメニュー価格を値上げせずに頑張っているのと比べ、何とも気の滅入る騒ぎでした。野菜の価格安定は、かなりの部分で実現可能だと思うのです。農林水産省や農協の力の出しところです。コメばかりを価格保護するのではなく、色々な方策や介入によって、ぜひとも、野菜の価格安定化をはかってほしい。大規模化と地域分散化、それに水耕栽培や屋内型小型野菜の開発等、実現できる可能性を模索してほしいと思います。それより先に、民間のファームがいち早く実現してくれそうな気もしますが。
11月13日 間島万梨子 食生活アドバイザー