備蓄食品として何種類かの缶詰めは常備しているものの、日常的に食卓を
飾るほどの存在感は無い、というのが缶詰めに対する一般的な評価でしょうか。
我が家でもツナ缶やコーン缶などはまずまずの頻度でサラダ料理の材料に
使用していますが、それ以外は余り登場しません。焼き鳥缶や魚缶はどうしても
味付けが濃くなりがちだし、カニ缶を除いては安価ではあるものの、素材の魅力
に欠けるという先入観があります。
ところが先日、超大手スーパーの缶詰め売り場を見て、吃驚しました。品揃え
の豊富さもさることながら、高級缶詰めコーナーが登場していたからです。
牡蠣のオリーブ漬け、希少地鶏の香草焼き、ムール貝のガーリック炒め、ホタ
テのバター炒め、鴨のくんせい風etc、ほとんどが国内産で、一缶が500円
から1000円ほどの価格で並んでいました。なじみのあるサバ缶やいわし缶、
さんま缶と比べても3~4倍の値付けです、でも、いかにも美味しそうにパッ
ケージされたそれは高級感にあふれ、食べてみたいと思わせる訴求力にあふれ
ていました。簡単にちょっと贅沢な味わいを、というアピールです。
試しに購入した二個の高級?缶詰めはまだ食品庫に置いたままなので、ここで
価格並みの値打ちがあるかどうかを申し上げることができませんが、缶詰め高
級品の登場自体がこれからの市場を予見しているように思うのです。この傾向
はますます加速するでしょう。高齢者だけの少数家族の増加と、豊かな食への
飽くなき欲求を持つ層の誕生が、こういった高級品消費を支えていくだろうか
らです。今までも、フグ、神戸牛、ズワイガニ等、高級食材は市場に数々あり
ます。でも、庶民の味方ともいうべき缶詰め食品にこういった高級品が参入し
たことは、まだまだ色々な商品に価格差が広がっていくはずです。選択肢の広
さは単純に歓迎すべきですが、どこに自分の身の丈の軸を置くかが大切になっ
てきそうです。
平成27年4月3日 間島万梨子 食生活アドバイザー