海外に行くと、自国との様々な慣習の相違を目にすることが多々あります。
渡航先は両手には及びませんが、それぞれに確実に日本と異なるものがあって
興味がつきません。それが海外旅行の醍醐味でしょうか。また渡航先が欧州か
アジアかによっても、相違の内容が大きく変わってきます。
特にそれぞれのお国柄を如実に知ることが出来るのは、食関連でしょう。日常に
不可欠な“食”は、だれでもが、その違いを実感できるものです。そして海外に
行く度に、日本の食レベルの高さを再認識させられます。まず味の繊細さ、見栄え
の良さ、素材の新鮮さ、洗練度合い、清潔さ、どれをとっても日本がトップクラス
であるのは確かなようです。子供の頃から食べ親しんでいるという理由だけではな
く、料理に関するこだわり度の高さは、国民性といってもいいのではないかと思い
ます。
かの国々でいただいた旅行社おすすめのレストランでの、馬が食べるほどのでかく
固いステーキ、うどんのようなスパゲッティ、臭いが気になる魚料理、山盛りのフ
ライドポテト、油っぽい焼きめし、味のめりはりが無い巨大サーモンステーキ、生
状態の人参・ブロッコリー、菜っ葉ばかり大盛りのサラダ、お化けのような無味マ
ッシュポテト、などなども、いい経験です。逆に思い出してもよだれが出るような
ロブズターの甘辛炒め、目にも美しい点心の数々にラッキーにも出会うこともあり、
海外での食事は誤解を恐れずに言えば、まさに博打そのものです。それはそれで楽
しい。
ただ“おおらかさ”という点で妙にうれしくなってしまうことが、海外では結構あ
るのです。繊細さや見栄えの良さは、下手をするとちまちまさにつながり、手をか
ける料理は値段の高さに反映されます。
日本人から見ると、あんなに大量の、しかもたいして旨いわけでもない料理を、美
味しそうに食べている現地の方を見ていると、こちらまで驚きを通り越して、楽し
くなってくるから不思議です。一様にどの国も日本人より食欲は旺盛でおおらか。
サービスも日本ほどには丁寧ではありませんが、かつての社会主義国を別にしては、
ナチュラルな素朴さを感じます。レストランでも、何か問題はないか、楽しんでる
か、などとフランクに聞いてくれる。そこには、型にはまらない各自の接客スタイ
ルがあります。その国に、大人を感じる瞬間です。
平成21年3月15日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー