【その12】某月某日 ” 久しぶりの旅行 ” の巻き

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【その12】某月某日   ” 久しぶりの旅行 ”  の巻き
 
朝晩は、ほんのすこし、しのぎやすくなった今日この頃。夏の名残りを味わいに、近場だけど、久しぶりに一泊旅行としゃれ込みましたのよ。誰と行ったって? カレイでもなくヒラメでもない、母とよ! たまには、親孝行などしなくてはね。予算は折半だけど。
いいの。あちらは年金、たんまりもらってるんだから。
 
で、近頃、リニューアルしたばかりのリゾートホテルへ。何でも、公営から民営に変わったらしいわ。どこでも、公営は大変よね。特別室が、一泊二食で一人1万5000円って、リーズナブルなのが気に入ったの。温泉も新しく作り直したみたいだし。期待大よ!
 
おっ。エントランスはなかなか雰囲気あるわね。ゆるやかな坂のアプローチを上ったところに、ハーブガーデンなどあったりして。ヨーロッピアンスタイルって、こんなの?
部屋も広いわ。10畳の和室に、10畳のリビング。洗面室も別にあり、ゆったりとしているわね。でも、10畳のベッドルームに、 10 畳の和室、ってのがベストなんだけどな。
母の年になると、ベッドの方が楽なのよね。布団敷きに、係りの人も入ってこないし。
 
食事の前にちょっと一風呂。広々とした湯船の前に海が広がって、開放的で素晴らしい。
あああ、夏の疲れが取れていく。ちっとも仕事していないのに何疲れたの?って、思ってるんでしょ。いろいろとあんのよ。気疲れは。
食事は、別の専用小座敷へ。これは歓迎よ。部屋食って、さほどありがたくは無いのよね。
頻繁にサービスの人が部屋に出入りするより、こちらが出向いたほうが、気楽ってわけ。
堀コタツ式の座敷なのも、うれしいわ。正座はしんどいのよ。
 
で、肝心の食事は、平凡でした。ま、ありきたりの会席膳ね。海の近くなんだから、見るからに解凍した鮪や烏賊の刺身はノーパスよ。近場で獲れた新鮮な魚の刺身や煮魚を食べたかったわ。それに、一人用の小鍋料理もパス! 温かいままに、食べられるということで、今じゃ、どこでも出てくるけど、もう陳腐よ。白菜に豚肉、ほたて、の鍋など、家でしょっちゅう、食べてるわ。母の自慢料理なのよ。だれでも作れるの!
料理は、もうちょっとがんばってほしい。旅館の料理って、どこも似たり寄ったりの場合があるのよね。これからは個性の時代。街場の店に負けないものも出してくださあい。
やっぱり、料理は、記憶に残るものね。
 
【つづく…】

 

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