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【第169回】 食環境の現状(148)(食欲促進が一番)

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食文化の豆知識169 食文化の現状148(食欲促進が一番) 

“病院食は美味しくない”という声をよく耳にします。実際、止むを得ず入院した経験からすると、それは事実です。消化器系疾患ではない場合でも、病院食を美味しいと思ったことは稀です。病気で落ちた食欲がますます落ちる。何故美味しくないのか?それは栄養を主に献立が組み立てられるからです。次には予算の問題。つまり、限られた予算の中で、いかに患者に美味しく食べてもらえるかの発想が乏しいのです。というと一生懸命献立作りに頭を悩ませておられる管理栄養士に申し訳ないのですが、“味よりも栄養”を一番におくと、だれが作っても同じです。そこには薄味の、妙な味付けの料理が並ぶのです。誤解を恐れずに言えば“栄養よりも、美味しく食べてもらえる献立作り”が必要ということです。それと柔軟性思考です。 

母が入院した際、年齢もあって食欲が極端に落ちました。病院食に殆ど口を付けない。私が見ても手を出しにくいものでした。それでせっせと、高栄養で美味しいアイスクリームを運んで食べてもらいました。ある看護師は、血糖が高いのにアイスクリームなんて、という顔をしましたが、医師のOKが出て、退院まで一体何個のアイスクリームを食べたでしょうか。それが母の命をつなぐ一助にはなったのではと思っています。

介護施設でも同様の傾向が見られます。ある施設の献立は絵にかいたような、一汁三菜。それもご飯、みそ汁、小鉢ものの内容は毎日同じ。あとの主菜1品だけが魚の煮つけであったり、塩焼きであったりするわけで、本当に能が無い。かたや違う施設の献立は変化に富んでいます。高齢者の好みそうな料理が多く出てきます。散らし寿司や丼物、お好み焼や麺類を取り入れて変化のある献立になっています。つまり柔軟なのです。それは“まずは食べてもらえるかどうか”を第一義に捉えるか否かなのです。何も、ビーフステーキや串カツなどを出さなくても、予算内でも美味しそうな献立作りは可能です。でもまずい病院食しか出せないのは“こうあらねばならない“という呪縛にとらわれているからです。このまずい食事から早く抜け出して、焼肉やお寿司を食べたい!という思いが退院を早める役目をはたしているかもしれませんが、やはり食欲促進が一番という柔軟な発想に基づいたメニュー作りが求められます。顧客満足重視の姿勢が必要なのです。

             食生活アドバイザー 間島万梨子

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【その162】某月某日 ”夜の街ってなあに?・・・・ ”の巻き

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某月某日  “夜の街、ってなあに?”の巻き

7月に入って、じわりじわりとコロナ感染者数が増えてきているのって、やはり不気味よね。ホント、手強い相手だわ。東京で三ケタ台になってしまった。で、このところ、やたらに耳に残るのが、都知事がおっしゃる“夜の街”というフレーズ。夜になるとあたり一面、真っ暗になる田舎に住んでいるので、夜の街、ってこんな暗いところのこと?なんて思ってしまうわ。思いません!知ってますわよ。夜の街とは、歓楽街のことでしょう。そりゃ、人が集まるよね。人の集まらないところは歓楽街とは言いません。はい、そこが立派な夜の街です。接客を伴うお店で、人との距離を取れ、っていうのも無理難題だよね。だれが、2メートル離れたところから、接客してほしい?どんな接客するん?大体が、2メートル離れたら、眼も見えんし、声も聞こえんし、触れんわ。どこの介護施設じゃ!

なので、ここは行く方も店も覚悟を決めるか、全面休業するか、どちらかしか無いと思う。一番簡単なのは、客が全く行かないことね。となると自然に店は休業します。でも、行きたいのよね?我慢できないのよね?はあ、難しい問題だわ。N子には、解決策は分かりません。とにかく、自分の身は自分で守れ、人に移すな、ってことぐらいしか、言えんわ。結構キツイ?でも、普通の飲食店で、あまり大声を出さずに小人数で会食するくらいなら、リスクは高くはないらしいので、当分はそれくらいで我慢しようよと、思ってしまうわ。

幸いなことに、近隣の飲食店で閉店したこところは無いので、危機感はあまり伝わらないけれど、不特定多数のお客を相手にする飲食店は、すでに大手チェーンが店の整理に踏み切っているようで、働いていた人達は大変だよね。これからは、インバウンド専用となっていたホテルもどうなるのか、考えたらアタマが痛くなるわ。とにかく、夜の街、という言い方は止めて、はっきりと業種を明らかにした方がいいと思うよ。夜が怒るわ。街も怒るよ!                     2020年7月4日 ・・ 続く

 

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 顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ 」

      顧客満足の複雑さ138「新たな需要拡大へ」

5月下旬をもって、日本全国でコロナ緊急事態宣言が解除された。まずは朗報なのだが、第二波は必ずくるとの警告が、行動や心理にまだ重くのしかかる。発症者数を一定内に収め続けるために、今後も長期間にわたって、国民、企業ともに予防策は取られるだろう。死者数10万人を数えた米国を筆頭に、2万人越えの国はヨーロッパを中心に五指を超えるが次第に収束していき、その波は今後、南米とアフリカを襲うとWHOは予想する。5月末現在で約890人の尊い命が犠牲になっているが、死者数1000人未満の日本は、まさに奇妙な?成功と、欧米各国から奇妙な評価をされている。むしろ日本から見れば、各国の死者数の多さには言葉を失う。

何が異なって、何故こんなに結果が異なったのかの検証結果は、まだ待たねばならないが、日本国民の衛生意識の高さが一因であるのは間違いがないだろう。ただ、このような時に政権を任されている人々に、どれほどの危機感と責任がのしかかっているかの、想像力は持ちたいと思う。今は、この凶暴なウイルスをあなどることなく、経済再生への道を進むことが求められる。 

4月、5月の二か月で、人の生活形態そのものが激変し、同時に企業側も自粛体制の中、大きく業績が落ち込んだ。新たな流通経済による新たな需要は認められるものの、絶対的経済の不振は免れない。今後の経済体制そのものの変化は避けられないだろう。かといって、じっと動かないでいるわけにもいかない。そこで新たな需要開拓の種々対策が、巷間に満ちてくる。供給側も、国内生産を増やしサプライチェーンの多様化という変化を受け入れざるを得ないが、肝心の需要をどう喚起して増やしていくかがこれからの大きな課題で、それこそが日本の経済体制を変えることになるのだと思う。

繰り返すが、最も重要なのは内需回帰による消費拡大だ。訪日観光客によって売り上げを伸ばしてきた観光業界、百貨店、宿泊業界などを筆頭に、戦略の立て直しが必至であり、そのために国も種々対策でフォローする必要がある。いつくるかもしれない再度の緊急事態に備えて、サプライの国内生産率を上げることの重要性は誰の目にも明らかだ。ここにきてさすがに儲け至上主義の経済界も、内需拡大への方向転換を公言しはじめた。以前にも書いたと思うが、米国経済の強さは、自国でエネルギーをまかなえる絶対的強さと同時に、内需経済のボリュームが寄与している。ここしばらくはコロナ不況の波に苦しむだろうが、この国の回復は早いような気がする。そして日本だ。今後の日本が進むべき道は、まさに内需拡大と取引国の分散化で、国内旅行需要を伸ばす具体的政策や、老舗への存続補助政策、雇用促進対策、などなど、やるべきことは山積している。新システムの導入や関連立法も必要になる。幸い、医療体制の盤石化や国内観光の活況化、雇用支援、サプライチェーン国内回帰への支援などの政策は予定されているようだが、掛け声倒れに終えることなく、着実に、そして何よりスピードをもって実現していってほしいと思う。まずは財務省を抑え込み国債を発行して、大胆な金融政策で市中に莫大なお金を投入すること、品の無いいい方をすれば、お金をばらまくことで経済や人を殺さずに再生させること、これに尽きる。小手先の手当ではなく、発想の大転換が望まれる。                                 2020年6月1日

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 顧客満足の複雑さ137「乗り切るための知恵と覚悟 」

連休明けの新型コロナウイルス感染者数動向が、日本の未来を決めそうな気配になってきた。まさに正念場といえる。日本全体で二ケタ台前半までに収まっていれば、ひとまずは緊急事態宣言は中止されるだろうし、三ケタを超える状態が続いているとなると、緊急事態を解くことは到底かなわない。その間の微妙な数の場合は、政府としては決断に悩むことだろう。宣言を伸ばし続けることによる、就労者と企業の疲弊、困窮に配慮しなければならない。ともあれ、結果を左右するのは、国民一人一人の行動にかかっていることに異論はない。 

現在も、無残な数字が日々報告されている。デパートの3月の売り上げ33%ダウンをはじめ、タクシー業界が65%ダウン。中国人向け宿泊施設は売上ゼロに近い。飲食業界もかつてない苦境に立たされている。その中にあって、スーパーマーットの売り上げは0.8%の微増となったらしい。高級品を扱うデパートが打撃を受け、生鮮品を初め日用品を扱うスーパーが好調なのは当然のことだ。有事の際にはとにかく基本的生活保持に必要な分野、例えばインフラ、物流、生鮮日用品、ガソリンなどが安定供給され、病院関連がスムーズに動くことが必至となる。一方、娯楽をつかさどる落語や高級レストラン、スポーツなどは平時にあってこそ活き活きと息づく分野なので、今は大変な状況下にあるだろう。人が動くことで商売が成立するホテル宿泊業界や旅行業界への打撃も想像を超える。著名な祭りも次々と中止が発表された。 

そんな中、有名なミシュラン星獲得のレストランオーナーが、この状態が続けばすぐれた食文化が死に絶えると公的な支援を訴えていた。訪問したことは無いが、予約が取りにくいと評判の超高級フレンチレストランだ。来客数ゼロが続いているという。一方、同ランクのある高級レストランでは、2月の時点でいち早くリッチ弁当の宅配を始めた。家庭で高級レストランの味をおせち風弁当で楽しんでください、というわけだ。予想以上の需要があるという。あるタクシー会社は高齢者の買い物代行を急遽始めた。売り上げの一助にはなっているらしい。また、アルコール製造に多くの酒造メーカーが名乗りをあげた。マスクしかりである。とにかく求められるべきはスピード性だ。一日も早い収束が、背後に迫りくる景気低下の幅を和らげる。コロナ禍は実に様々な分野を凌駕している。だからこそ、各企業や店の知恵と、国民一人一人の覚悟が大切になる。収束後の種々の楽しみを頭に浮かべながら、乗り切りたい。

2020年5月1日

 

 

 

 

 

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 顧客満足の複雑さ136「危機下で見える様々な現象 」

    顧客満足の複雑さ136「危機下で見える様々な現象」

今は何を言っても、コロナウイルスがらみになるのは致し方ない。それほどに獰猛なウイルスだと思う。蔓延しやすいところを狙って、仲間を増やしていく。日本では外出禁止令が出されていないので、自由な行動が許されているが、欧米の街の様相を見るに、まさしく戒厳令下にある。命を落とした人の多さに胸が痛む。最終的にどれだけの感染者数と死者数を出して終結するのか、だれも明言できない。“はい、これで終わりにしましょう”と、手打ちをすることもできない。そういう厄介な状況の中でも、人間の叡智やしたたかさを見ることもできる。 

国際放送で知ったのだが、英国のジン酒造メーカーでは、パブ閉鎖による消費低迷を受けて、ジン製造機械を使って消毒液を製造しだした。今や需要に追いつけないほどのフル稼働状態らしい。ジンも消毒液も大差無い、という発想か。また、ドイツのダイソンは急遽、人口呼吸器の販売に乗り出した。充分な製造技術を持っているのだ。米国でもフォードが、週に10万個の防護マスク製造に着手した。いずれも臨機応変の知恵をそこに見て、頼もしさを感じた。多分、日本でも各メーカーなどが、今出来ることを模索していて、現実に知恵を出していると思うのだが、そういう元気の出る情報は流れず、聞こえてくるのは恨み節が多い。これはメディアの責任が大きい。神戸牛やズワイガニなどの超高級食材が値下がりしたと嘆くニュースなどは興味も湧かない。需要と供給のバランスが崩れただけのことだ。またオール中国人需要のホテルがガラガラ状態であるのも、気の毒ではあるが今はどうしようもない。またTOTOが中国工場の閉鎖でトイレを作れなくなったとか、ビックカメラからパソコンが消えたとか、情けない話ばかりだ。いずれも中国頼りのサプライチェーンの入荷停止によるものらしい。 

いずれ、コロナウイルスも必ず終息はする。しなくてもワクチンや治療薬が開発される。それまでは知恵を出しつくす努力も必要になる。幸い、大都会以外で患者数が一ケタ台の自治体も日本では数多くある。移動手段さえ注意すれば、そして自分自身の健康状態の安定を確認できれば、加えて予算があればのことだが、のんびりと観光地で長期間を過ごす手もある。宿泊施設も誘致するプランを練ってほしい。飲食店も店自ら、キャパシテイの半分以下の客しか入れない方針で、安全性を打ち出す必要もある。こんな時でもインフラが安定しているのは、大きな恩恵でもある。自宅にこもるのがベストかもしれないが、メディアも文句や不平不満ばかりの情報をたれ流すのではなく、希望や知恵を発信する役割もある。が、今の日本のメディアでは無理なのかもしれない。

2020年4月1日

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【第168回】 食環境の現状(147)(今だからこそ価格安定を)

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食文化の豆知識168 食文化の現状147(今だからこそ価格安定を)

コロナ禍で、家での食事シーンが増えています。不要不急の外出を自粛する中、加えて休業中の飲食店が増えている現状下では、自宅で食事する人が多くなるのは当然のことでしょう。幸い、生鮮品に関しては健全に供給されていますが価格高騰が目立ちはじめました。冬野菜と夏野菜の収穫のはざま期にあるのも大きな原因だとは思いますが、常用する野菜群の価格が跳ね上がるのを見ると、頭が痛くなります。自宅調理が増えて、需要と供給のバランスがくずれるので価格が上がるのは当然だ、というビジネス論理は成り立ちますが、この非常時には、供給側も農協を含めて企業人としての矜持を見せてほしい、とこれは消費者側からの切なる願いです。 

市場の変化には、消費者も知恵を出す必要もあります。安定した価格の生鮮品をフルに使うということです。価格優等生野菜を手を変え品を変え、使いまくる?。一本300円もする大根とは当分さよならです。半分400円!もする白菜やキャベツともお別れです。買いやすい価格の玉ねぎやモヤシ、人参などをフルに使いましょう。いつも疑問に思うのですが、誰も手を出さない高価格野菜は売れずにしなびていきます。キャベツなど、中が黒ずんできてるのが分かります。これらはどうなるのでしょう。結局捨てられるのでしょうか。惣菜ものの材料にとて代わるのでしょうか。天候に左右され相場ものといわれる季節野菜ですが、一年を通しての価格調整への努力を目にしたことはありません。もし、されているとしたら、こちらの気づきの乏しさを恥じ入るばかりですが。 

さて、気を取り直して家での食事を楽しみましょう。出前も気分転換に利用したい。手抜き料理も堂々としていい。昼食はうどん、夕食は焼きそばでおおいに結構。幸い、日本は麺類にご飯もののメニューが豊富にあります。それも肉や野菜をどっさりと使用した栄養満点のものも多いので安心です。何も一汁三菜にこだわることはありません。この事態が収束した後には、プロの料理を味わえるのを楽しみに。

           食生活アドバイザー 間島万梨子

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【その161】某月某日 ”これは国難だあ・・・・ ”の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 161

某月某日  “これは国難だぁ!”の巻き

しばらくさぼっているうちに、世の中はエライことになっていましたわ。我が人生でこんなの初めて。18年生きてきて初めてのことだわ!って、混乱にかまけて我ながら大ウソよう言いますわ。はい、この際、言ったもん勝ち。でもほんとに大変な事態です。コロナの三文字は、多分、一生忘れないと思う。今までいっぱいこっぱい忘れてきたけど、この憎き三文字は忘れんぞ。今回の緊急事態宣言で、一般の飲食店は一応、通常通りの営業でOKになってるけど、やはり自粛しちゃう人も多いよね。万が一、感染してしまったら、調べられるのよね?この2週間どこにいたとか、誰に会ったとか、何食べたかとか(それは無い?)どんなテレビ見てたとか(これも無いか)どんな夢見たとか(これは絶対に無い)とにかくとっくに忘れちまったことを根掘り葉掘り聞かれるなんてやだわ。キミは明智小五郎か、って古!

ということで、この一カ月ほどは、外食は昼食利用だけざんす。それもゆったりとした席配列になっているところ。それもそろそろやばいのかなと思うけど気分転換しなくちゃ、カビがはえるし、根もはえる。席と席がくっついている店は、申し訳ないけど敬遠しちゃうかな。日頃は、ほとんど気にはならないのに、こういう事態になると、人との距離が・・・ね。結局は、人とは接しないようにしてください、ってことが感染防御の本筋なのよね。いろいろな業種業態が辛いなあ。だって、世の中の多くのことは、人と人とのかかわりがベースになっているもの。青空の元ならOKといっても、そこに行くまでの道中がまたリスキーなこともあって、結局、家にいてよ!てことになるのかな。

で、狭い庭をうろうろするか、近所をうろうろするか、家の中をうろうろするか(うろうろ出来んわ)。でも明けない空は無い、の如く、必ず収束はするのでそれまで、注意・自衛して、おとなしくしていましょう。昨日昼に訪問した、いつもにぎわっている日本料理店は、閑散としていたわ。がんばってね!また行くからね!

          2020年4月14日 ・・ 続く

 

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 顧客満足の複雑さ135「利用者側に立ったシミュレーションを 」

    顧客満足の複雑さ135「利用者側に立ったシミュレーションを」

先の見通しが立たない状態というのは、健康にも悪い。それがコロナウイルス感染騒動だろう。世界で感染が広がる中、英国船籍、米国運営会社のクルーズ船をめぐる日本の対応への批判などを言っている場合か、といささかしらけてしまうが、ここにきてかすかな光がみえてきた。新型インフルエンザ治療薬アビガン」の患者への投与を始めたと厚労省が発表した。新型コロナウイルスのような「RNAウイルス」の増殖を抑える効果が期待できるという。富士フイルムが開発したらしい。ほとんどの人が免疫を持たない新型インフルエンザの発生に備えて約200万人分が備蓄されている。実際に効果があるかどうかは確定できないが、朗報には違いない。服用の結果、重症化を防ぐ効果が確認されれば、まずは大きな関門を突破できる。世界に貢献できることを祈りたい。 

さて、先般、同エリアで二か所の宿泊施設を利用する機会があったが、宿泊費は二倍近くの差異があった。片やビジネスホテル系、一方はシティホテル系といったところか。いずれもツインタイプで寝心地は遜色がない。寝具、パジャマ、ベッドの広さにこれといった違いは無い。大きく異なるのは水回りだった。ビジネス系は言わずもがなオールインタイプで、シティ系は洗面台とトイレ、浴室の三種がそのまま横並びのセパレートタイプだった。価格の二倍差は、まさに広さからくる水回りの構造差に尽きるということか。ただ浴室利用の場合、シティ系は脱衣場所が無く、廊下で入浴する準備をせねばならない。むしろビジネス系の方が使いやすい、といった皮肉の一言も出そうになる。せっかくの広さがありながら、使う側に立ってのシミュレーションが不足している結果だと思える。独立型トイレはともかくも、浴室は洗面所と行き来できるタイプにしておくと、そこで脱衣もしやすいし、入浴後も便利だ。そのホテルでは入浴後は廊下で体を拭き、着衣するという極めて妙な具合だった。 

今まで、かなりの宿泊施設を利用したが、まさに前述の如く、実際の使い勝手に感心するほどの満足を感じたことは少ない。どこか、使いにくいことがある。思えばそれらはすべて、シミュレーション不足に尽きるといっても過言ではない。想像力の欠如と言い換えても良い。先のビジネス系のように絶対的狭さからくるオールインタイプはまだ許せるが、せっかくの広さを持ちながら、その広さを快適さにつなげ得ないシティ系の方が知恵が無い。鏡にしても、洗面台だけではなく、部屋のデスクにもある程度のものがほしい。化粧などに時間がかかる女性が洗面台を独占せずに済む。またグラス類があまりにもお粗末なところが多い、というか、用意されていない。結局、部屋で楽しむビールや水割りなどは、洗面台にあるプラスティックのコップで飲むはめになる。盗難防止なのか、破損を恐れてのことなのか、いずれにしてもそこにゆとり感は感じられない。今後益々、快適な住空間が増えていく中、プロともいえる宿泊施設が提供する贅沢感、ゆとり感は、まだまだ追い求めるべき課題は多い。

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 顧客満足の複雑さ134「非常時における日本の国力と伝統回帰 」

    顧客満足の複雑さ134「非常時における日本の国力と伝統回帰」 

特定国の減少はあっても、中国人訪日客の圧倒的人数で、訪日観光客数はむしろ増加している現状に、関係者の安堵する顔が見られた矢先の衝撃だった。いわずもがな、中国発のコロナウイルス騒動だ。極めて深刻な状況がすぐに解決するとは思えないが、一日でも早く、終息に向かうことを願わずにおられない。1月27日の中国当局による海外への団体旅行禁止などの出国制限の前に、すでに多くの中国人観光客が訪日し、相応の春節効果はあったものと思われるが、問題はその後だ。海外からの観光客増加による経済効果は今や多大なものがある一方、他国の事情で大きくその効果が影響を受ける。何も観光産業だけではなく、経済そのものが他国事情に大きく影響されるのはどの国も同様だろうが、その振れ幅を出来るだけ小さくするには、やはり自国が圧倒的かつ絶対的優勢を保てる資源と技術を持っているかどうかにかかっている。日本はどうなのだろうか。心配になってきた。こういう有事の際には、国力がすべてを左右する。

インバウンドで客室90%以上を占めるホテルがある一方で、国内客中心の宿泊施設もある。地域性が大きくかかわっているが、客層はある程度の多様性に満ちている方が、経営上安全に決まっている。自社にとっての黄金バランスを見極め、それに近づける工夫と経営手腕が問われる。外国人観光客だけに対象を絞ったビジネスが、将来にわたって盤石であり続ける保証などありはしない。まだ自国民のみで経営が成り立つなら、それを良しとする方が安全性は高い。大阪の心斎橋筋の両脇を固める店舗群は、見る限り7割以上がインバウンド用の店に替わった。老舗が軒を連ねていた昔の面影はない。中国人客が姿を消した場合、一体、心斎橋はどうなるのか?予想もつかない。

さて、既存のシティホテルに限らず、外資系ホテルでも、最近は和の風情を積極的に取り入れている。これも増加する外国人客向けの異国情緒提供策だとは思うが、率直に歓迎したい。生活そのものが洋風化した中で、和の美の再認識と採用は、日本文化のルネッサンスともいうべき位置づけもできる。外国人客のみならず日本人客も、周辺で失われた日本の伝統美を、そこで味わうことが出来る。一昔前はホテルといえば、各家庭には無い豪華さと洋風美があこがれの対象だったが、今や自宅の方が便利で快適という人は山ほどいる。水回り然り、寝具然り、インテリア然り。結構、高級な施設でも、どこか使い勝手が悪いものだ。となると雰囲気で勝負となるが、インテリアの豪華さだけでは飽きる。その面でも一流のホテルが、静謐ともいうべき日本の伝統美を取り入れた品格ある雰囲気造りに熱心であるのは、繰り返すが、日本文化のルネッサンスだと胸を張ればよい。

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 顧客満足の複雑さ133「観光産業国内消費増大の為に 」

     顧客満足の複雑さ133「観光産業国内消費増大の為に」 

あけましておめでとうございます。昨年は大型台風が日本を続いて襲い、甚大な被害が出ましたが、台風統計からみれば上陸数並びに大型度合いは平年を突出してはおらず、被害の大小は上陸したエリアの地形や住宅密集度も影響するということでしょうか。統計が取られ始めた1951年から2019年までで、上陸数が最も多いのは鹿児島県の41件で、高知26件、和歌山24件と続きます。いずれも山間地区が比較的多く、また台風への警戒度も高いことによる被害のくい止めも多少は考えられます。いずれにしても、いつどこにでも災害は襲ってくることを肝に銘じるべきですが、それがなかなかに難しい。ともあれ、今年は穏やかな年であってほしいものです。 

さて、日本の観光業において、訪日観光客数の増加は特定国の減少はあっても、集客増加を目指す意味では、まだまだ伸びしろがあるとみていい。ただ観光消費額をみると、2016年度の総額26.4兆円のうち、約21.4兆円が国内消費、つまり日本人による日本国内観光の消費額であり、大きな部分を占めているのだ。日本人による海外旅行消費額が1.4兆円。そして観光政策として力を入れている訪日旅行客の消費額は3.6兆円であった。しかし2018年度の国内消費額は約20.5兆円と4%ダウンとなった。一方、訪日観光客消費額は4.5兆円と急増したものの国内の消費減少を埋めるには充分ではない。となるといかに国内消費を高めるかの政策により力を入れてほしいと率直に思ってしまう。国内観光消費の減少は、少子高齢化が免罪符となりそうだが、本当にそれでいいのだろうか。果たして、国内観光消費を増やすための現実的な政策に、力を入れているのだろうか。 

国内観光消費をあげる最も有効的な対策は、旅行しやすい土壌を作ることだ。一泊泊二食型から二泊以上の長期滞在型旅行の推進は、確実に消費額を押し上げる。そのためには、まず休日のあり方の抜本的見直しが必至となる。ただ祝日をやみくもに増やしても、大きな成果は得られない。一定の日に一定の客が集中して押し寄せるだけで、年間を通じての底上げにはならない。休日法を作り、大型連休の各企業分散化を図るとともに、有給長期休暇の推進とそれに伴っての補助金、長期滞在型宿泊施設の増加など、すぐにでも手掛けるべき課題は山積している。いくら国が連休を増やしても、旅行業者や宿泊施設が瞬間的に儲かるだけで、持続した消費を約束できないのが現実だ。今の観光対策は古い。インバウンドの増加も喜ばしいことではあるが、その前に国民による消費減少を止めることの方が重要なのは明白だといえる。次に、清潔で無駄をそぎ落とした、安価な宿泊施設の進出が望まれる。一泊二食に3万円以上支払える層の増加も勿論望ましいが、連泊型旅行をサポートする新たな施設の登場が必要だ。サービスの省略化でサービス人員を可能な限り減らすことで労働生産性を上げ、一泊1万円以下を実現するのは可能だ。また居酒屋形式の食事処を併設することで、連泊対応可能なバラエティ豊かな食環境を整える。若者向けに施設に自炊機能を持たせる方法もある。とにもかくにも、休日のあり方の見直しと共に、廉価で充分に利益が出るビジネスモデルの構築が求められよう。

        

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