【第138回】 食環境の現状(117) (農業の競争力強化)

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食文化の豆知識138 食文化の現状117(農業の競争力強化) 

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、発効が不透明になりましたが、農業の競争力強化のため施策は待ったなしです。強い農業、もうかる農家への対策は急務だと思います。30年産のコメから減反廃止になるといわれていますが、スムーズに移行できるでしょうか。減反廃止に向けては、稲作からの転換がまずは求められますが、あと1年しかありません。農林水産省は、稲作から高収益作物への転換を促すためや、コメの転作を促すための予算を大きく計上して転作促進を図ろうとしています。農地の効率的利用の促進はとても必要なことで、減反廃止が農業全体の競争力強化につながることを期待したいものです。

平成21年の農地法改正で、個人・法人が農業に参入しやすくなり、実際に参入企業や参入者は増加しています。ただ真に、農業が儲かる産業になるには色々な難関を克服していかざるを得ないでしょう。まず何といっても、農業は自然の影響をモロに受けますし、病害を防ぐのも大変です。でも、収穫した作物が順調に売れて収益が上れば、苦労して育てたかいがあるというものです。高収益作物といっても、簡単にひとくくりに出来るものでもなさそうです。露地野菜と施設野菜では、施設野菜の方が高く売れるでしょうが、その分、費用もかかります。また、高く売れても、育てる手間が多いなら、それは生産性が高い作物とは言いきれません。

となると、儲かる本質はスケールメリットにあると言ってもいいのではないでしょうか。規模が最終の利幅率を左右するということです。他企業の合併・再編成・吸収がなぜ加速化しているのか。目的は力の確保です。農業も根本は同じなのです。日本の農業がなぜ国際的に競争力が弱いのか。日本の農業は良いものだから海外でも売れる、という側面もありますが、効率の向上なくして収益の向上もありえません。認めざるをえない、原理原則です。目的を農業の大規模化に絞ると、おのずと対策は具体的に上がってきます。そろそろ、小手先の対策から転換しないと、日本の農業は変わることは難しいと思うのですが。

2月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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