食文化の豆知識 75 [食環境の現状54]
原発事故による放射能漏れの影響が、実りの秋を前にした被災地域の生産者の方たちを
苦しめています。今回の放射能の人体に及ぼす有害度合いついては、まさに諸説入り交
じり、決定的な結論には至っていないようです。勿論、数値による危険比較は明らかに
されていますが、そもそも放射能は空中に漂っており、風向きなどによっても大きく
変化するもので、一概にどの地がどうと決めつけるのも少々乱暴のような気がします。
風評被害もあり、食物や木材などの放射濃度に対してもう少し許容度が高くてもいいの
にと思いますが、小さなお子さんをかかえるおうちでは、心配なことでしょう。放射能
の被爆が人体に病巣となって現れるかどうかが分かるのは数十年先のこともあると聞け
ば、なおさらのこと不安になるのも無理ありません。
でももう人生の折り返し点を過ぎた私などは、放射能がついているかもしれないといわ
れる食べ物に関してはノープロブレムで、問題とされているその地の肉も野菜もいただ
きたい。野菜はしっかりと洗えば殆ど問題ないといわれていますし、肉も焼けば大丈夫
でしょう。万が一、二十年先に体に変化が起こっても、文句は言いません。その年なら、
亡父の寿命をとっくに通り越していますから、何の不平もありません。などと、馬鹿な
ことを考えていますが、本当にもう少し、許容度を高くして、せっかく収穫した恵みを
欲しい人に有効に行き渡るように配慮して欲しいものです。
人体に与える悪影響となると、いまだに使用が許されているタール系着色料の方が余程
私には恐い。和菓子や漬け物の毒々しいまでの鮮やかな赤や黄、緑青の色彩を見るにつ
け、気分が悪くなってしまいます。綺麗に見せるためにやむを得ない、などの言い訳は
聞きたくありません。黄色四号はアレルギー性じんま疹の原因になるともいわれ、黄色
一号は発ガン性を疑われ、多くの欧米各国では使用禁止になっているはずです。
スーパーに並ぶ漬け物の大半には人工着色料が使われています。アミノ酸等の調味料も
常連です。過度なアミノ酸調味料を取ると、痺れや頭痛を起こします。自宅でぬか漬け
や塩だけのあっさり漬けを作るのがベストなのでしょうが、なかなかそこまで手が回り
ません。ですから市販商品の中から納得できるものを選ぶ努力を怠らないようにしたい
ものです。消費者から支持されなくなると、その商品は消えていきます。
23年10月3日 間島万梨子 食生活アドバイザー