【第65回】 食環境の現状(44)

 

col_g_pic.gif

 

 食文化の豆知識  65 [食環境の現状 44]

 酷暑を原因とする野菜の価格高騰が、今でも続いています。一部には、以前の価格に落

ち着いたものもありますが、多くは高め推移のままに12月に突入しました。まだ不作

なのでしょうか。野菜の価格は、家計にもろに響きます。毎日、口に入れるものが、不

安定に値動きすべきではないのです。米の価格安定には、ことさらに熱心な行政が、こ

の野菜高騰に対して何の政策も成し得ないことに、驚きを感じます。一体、どこがデフ

レなのでしょう。

以前にも述べましたが、光熱費、医療費、そして野菜価格の高さは、何に起因するので

しょう。つまり消費者が節約しにくい分野は、ちっとも低くなっていない。低価格化に

あえいでいるのは、服飾や家電、外食関連に偏っているような気がします。気の毒に思

えるほどです。何かオカシイ。

百円ショップの品揃えには圧倒されます。近くの百円ショップも大改装され、二倍以上

の商品規模になりました。中にはそれほど値打ち感の無い品もありますが、よく百円で

売っているものだと、驚愕する商品が並んでいます。でもそこには、電気は売っていな

いし、薬もありません。生鮮品も無い。製造メーカーが血の出るような努力で、百均シ
ョップに出せる商品を開発している中で、高め推移が当然のような顔をしてまかり通っ

ている業界があるのです。超高級ホテルがあってもいいのです。一人二万円のフレンチ

レストランがあってもいい。何十万円のバッグがあってもいい。それらは欲しい人だけ

が購入すればいいからです。でも光熱・医療・ひいては教育関連にかかる費用は、欲し

くないから要らない、というわけにはいかないのです。人間生活の根幹にかかわるもの

こそ、安価で供給されなければならないのでは
ないでしょうか。

デフレといっても、多分市井の人々の生活が楽になっているわけではないのでしょう。

これから厳寒を迎え光熱費はいやが上にもあがります。風邪をひく人も増えます。病院

に行く時間の無い人は、薬を買ってしのぐことでしょうが、その高さには驚かされます。

ジェネリック医薬品は、もっと市場に出てきてほしいものです。

 

22年12月2日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

カテゴリー: 食文化の豆知識 パーマリンク