食文化の豆知識218 食文化の現状197(厳しい季節はいつも)
連日、すさまじい暑さが続いています。春から夏にかけて、せっかく穏やかな
気候に恵まれ、生鮮品も安定供給、安定価格に落ち着いていたのに、ここにき
て雨不足、水不足で米生産の危機が案じられます。トマトやレタスなどの野菜
も、影響を受けそうです。我が家でも、7月初旬の大雨で裏手に水があふれ、
新聞紙を敷くなど応急措置に追われたのが遠い昔のように、今は日照り状態が
続いています。かくも自然は思い通りには動いてくれません。当然といえば当
然のことですが、近年、あたかも人間が自然をコントロールできるような錯覚
に陥ってはいなかったかと。そうなのです。人間にできることは、自然災害被
害を最小限にとどめること。これにつきます。作物でいえば、リスクの拡散、
特定の場所に頼らない、ということです。そして災害でいえば、予防管理と被
害の軽減でしょうか。自然の厳しさは予想をはるかに超えているのです。いつ
もいつも気候が穏やかであるわけがない、という認識に立てば、国も個人も自
ずと、必要な対処が見えてくるような気がしますが、これがなかなかに難しい。
のど元過ぎれば・・は、自分のことを言われているようで、首をすくめるほか
ありません。
できることは、しっかりと食べて、夏バテに対応する体力を保つ、ことです。
野菜も旬の枝豆は万能食材。なすび、トマトも優等生。お高い魚は素通りして、
アジやサバを美味しくいただく。牛肉はたまのこととして、豚肉や鶏肉料理の
幅をひろげる。価格の高いものが体に良い、というわけではありません。市場
が生活シーンをリードしているわけでもないのです。消費者が市場のメインで
す。最近の値上げラッシュは、人件費や光熱費の高騰を受けて、という大義名
分が幅を利かせていますが、資本主義の基本は需要があってこそであって、積
み上げ方式で価格を上げてすむ、というわけではありません。店頭に並ぶ多く
の商品や食材は、すべて売れてこそ、なのです。自然の厳しさと同様に、ビジ
ネスの厳しさは、どんな小さい店でも、どんな大きい会社でも、同じことなの
だと思います。
食生活アドバイザー 間島万梨子